Disc 1
1. SIREN SONG
2. NIGHT BY NIGHT
3. DON'T LEAVE ME NOW
4. DON'T TELL ME LIES
5. HELTER SKELTER
6. SHOCK WAVES
7. KEYBOARD SOLO II
8. I FEEL THE POWER
9. YOU'RE THE ONE FOR ME
Disc 2
1. KYOJI'S GUITAR SOLO 1989
2. NIGHTLESS CITY
3. KEEP ON MOVING
4. HURRICANE
5. ROCK ME NOW
6. SHOT IN THE DARK
7. DONCHA WANNA CUM (HANGAR 15)
山本恭司:Guitar
人見元基:Vocal
厚見玲衣:Keyboards
新美俊宏:Drums
Neil Murray:Bass
昨年の山本恭司&厚見玲衣DUO LIVEで予告されていた89年3月8日・英レディングでのライブアルバムが、今年になって形になった。
一部で既にその存在が知られていた音源だが、公式なものとしては初お目見えとなる。そして今回の発売にあたって恭司さんがマスタリング、実に生々しく迫力ある音に仕上がっている。
私がVOW WOWの現役時代にライブを見たのは88年の冬の1回だけだが、その直後とあって、おぼろげな記憶にあるセットリストとかなり近い。「SIREN SONG」でスタートするのは、当時の最新作「VIBe」にオープニングにふさわしい勢いのある曲が欠けていたからだと思うが、あの時「完成度は高いが生々しさに欠ける」と感じていて、だから再集結ライブの方がその点では上回っていると感じた。だが今こうして聴くと、若々しい勢い、そして迫力が十二分に伝わってくる。
まず耳を惹くのは元基さんのスタジオ盤以上に迫力あるヴォーカルだろう。元の高さがとんでもない部分では若干のフェイクも見られるが、原曲の印象を損なうことなく、またライブならではの生々しさを感じさせる。英国でのライブとあってMCも英語だが、これがまた素晴らしい。GENKI SESSIONでの無駄話だらけのダラダラMCとは大違い(笑)。実に歯切れよく進めている。
そして演奏面の充実ぶりも見事なもの。「HELTER SKELTER」の間奏のバトルで「SPEED KING」の掛け合いをお遊び的に挟み込んでいることに象徴される通り、恭司さんも厚見さんもライブならではのオリジナルな弾き方をしているのが楽しめる。2人のソロコーナーも、それぞれが「曲として」聴けるくらいにまとまった内容だし。
更に特筆すべきは新美さんのドラムだろう。こんな迫力のある音で叩いていたのかと、改めて驚かされた。フロントの3人ばかりが注目されがちだが、バンドの屋台骨を支えている彼の貢献度の大きさはもっと認められるべきである。
半面、ニールのベースが目立つ場面はほとんどないのが惜しいが、彼はもともと華やかなギタリストと一緒だと支えに回ってしまうため(だから弾きまくっていたのは実のところムーディ&マースデン在籍時ホワイトスネイクくらい)、まあそんなもんだろうと思うしかない。
それにしても、よくこれだけ素晴らしいライブアルバムが発表されたものだと思う。キンさん在籍時の「HARD ROCK NIGHT」がその「煽るベース」の存在ゆえに勢いのあるアルバムになっていたため、こちらがちょっと心配ではあったが、杞憂だったどころかそれ以上の驚きそして感激を与えてくれた。
これは全てのVOW WOWファン、いや全てのロックファン必聴!と断言してしまいたくなる、それほどの作品である。