お待たせしました、日曜のレポートです。例によって長い導入部から始まります(笑)。
日本は「シルクロードの終着駅」と呼ばれてきた通り、古来から東西文明・文化の良いところを数多く集約し、自国のものとして消化してきた。その一例が今日から開幕の、奈良国立博物館の「正倉院展」で拝める宝物の数々である。
一応宣伝させてもらいますが、この本は私の同級生が編集を担当したものです(実話)。
さて、時代は現代になってもその伝統は続いており、ロックも例外ではなく、ことハード・ロック/ヘヴィ・メタル、プログレッシブ・ロックにおいてはそれらを生み出した英国でもほぼ絶滅しかけているものが残っており、今やそういう「懐かしい音で新しい楽曲をやる」バンドが最も多く現存するのは日本ではないかとさえ思えてくる。
そう、まさしく日本は「ロックの正倉院」と呼んでも差し支えないと私は思う。
そう、まさしく日本は「ロックの正倉院」と呼んでも差し支えないと私は思う。
確かに今もこれらのジャンルで新しいものは国の内外問わず多く出てきてはいる。だが、テンポが速すぎとか音を詰め込みすぎとかで、何かが違うのだ。
それに、新世代のギター・ヒーローと呼ばれる存在でさえ数少ないのに、キーボードでスター・プレイヤーと呼ばれる人がどれだけいるだろう?今では技術の飛躍的な進歩により、機材のコンパクト化、ひいては打ち込みでの代用も増えたが、やはりロックのキーボーディストは要塞に囲まれて卓越した技術を見せてほしいのだ。
それに、新世代のギター・ヒーローと呼ばれる存在でさえ数少ないのに、キーボードでスター・プレイヤーと呼ばれる人がどれだけいるだろう?今では技術の飛躍的な進歩により、機材のコンパクト化、ひいては打ち込みでの代用も増えたが、やはりロックのキーボーディストは要塞に囲まれて卓越した技術を見せてほしいのだ。
こんな感じのね。なお、この要塞の所有者は関西の人ではないので今回出演していません。
そこで立ち上がったのが今回の主催者である片岡祥典さん。昨年の大阪城野音での一大イベントを成功させた人であり、今回は自らも出演して演奏という力の入りようである。
そしてトップに掲載したフライヤーをご覧になればわかる通り、錚々たる奏者たちを擁したバンドが集結した。今回はスケジュールの都合によりFORCEFIELDの出演は叶わなかったが、後述するようにキーボードの岡田氏はゲストで出たので、名前の挙がったキーボーディストは全員出演したことになる。
それでは本題に入ります。お、今回は導入部が短く済んだ…実はこの文章、一度書きかけて佳境に入ったところで全部消えてしまって、書くのは2度目。だからあちこち端折りつつ言いたいことだけ要約して書いてるわけ。
今回の会場は八尾ということもあり、私の家からほど近い。とは言え、乗り換えしなきゃならないから結局難波や日本橋まで出るのとそう変わらないのだが。
そして駅に着いてから方向音痴が発動してしまったために迷いに迷い、到着したのは開演ギリギリだった。
そして空いてる席を見つけて座った頃には開演したのだった。
Claudia Project (feat.石上文)
元々は新生CRYSTAL ARROWとして出演する予定だったが、諸事情でこういう形に。フロントの女性陣3人以外のリズム隊はサポートで、ドラムは堀江仙人。Ayaさんの入院やそういう事情もあっていろいろ懸念されたが、結果的にはこれで良かったとさえ思えるものであった。オムニバス収録曲以外はAyaさんのソロプロジェクトからのインスト曲やTERRA ROSAのカバー曲等だったが、他のところでもよく一緒にやってる3人だけに息はピッタリ。Ayaさんの重厚な演奏と豪快なアクション、薫子さんの素晴らしい歌唱力、Mayuさんの巧みなギタープレイが強力なリズム隊に支えられ、心配は杞憂に終わった、どころかそれ以上に満足させてくれたのだった。
PRIMAVERA (feat.山内めぐみ)
続いてはSTARLESSとの対バンで既にお目見えのプログレッシブ・バンド。複雑な展開ながらも親しみやすいメロディと和風なテイストが特徴。こちらも女性ヴォーカルだが見事な表現力。そしてMeiさんはシンセとオルガンを巧みに使い分け、またハイトーンのコーラスも圧倒的。なお、MeiさんのMCも面白くてこれも聞きものだったかも。
ALL IMAGES BLAZING (feat.片岡祥典)
続いては今回の主催・企画・運営の片岡さん率いるプログレッシブ・バンド。こちらも長くて複雑な曲が中心だが、歌メロはポップで聴きやすい。だから敦子さんの歌声もすんなり入ってくる。それにしても凄かったのは片岡さんの要塞で、ここまでのお二方もかなりの重装備だったが、これだけの機材を弾きこなすのも大変だろうし、セッティングもそうだったろう。しかしそこは百戦錬磨の剛の者、見事にその凄腕ぶりを見せつけてくれたのだった。
そしてショルキーを持ち出しての演奏の途中で先述の岡田氏を呼んで彼にそちらを弾かせ、自らは要塞に戻ってバトル、という予想だにつかなかった展開。これには本当に圧倒された。
CLOUD FOREST (feat.前田里知)
プログレなバンドが2つ続いた後は、ずっしりヘヴィなこちら。ダウン・チューニングのギターと重低音ベース&ドラムに絡むは里知さんのこれまたゴツいオルガンを中心にした演奏。それに乗って歌うK.JUNOさんの歌唱力と個性的なアクションも見もの。気がつけばその独特の世界に引き込まれる、これもまたこのバンドの凄いところなのだ。
MUTHAS PRIDE (feat.筒井佳二)
出演全バンドの中で一番オーソドックスな音楽性であり、また唯一の男性ヴォーカル。筒井さんのプレイは派手さはないものの、各メンバーを引き立てながらも随所で自己主張がキラリと光っており、南さんのヴォーカル、新加入の池内さんのギター、そしてリズム隊も見事なものだった。王道ハード・ロックはここ日本に健在なり、それを強く感じた。
APHRODITE (feat.岡垣正志)
いよいよトリのこちらは、もう何度もレポしてるのだが毎回読んでる人ばかりでもないと思うので、やはりあれこれ書いていこうと。それまでのバンドがじっくり聴き込むタイプのものだったのに対し、より攻撃的な音楽性。ただ、ポップな歌メロとそれに相反するような変拍子も隠し味として用いられているところがこのバンド独自のところ。
それまでじっくり座ってた客席からも拳を突き上げる姿がちらほら。もちろん私もそれに参加したが。
曲目はほぼ定番通りだが、「EDGE OF THE WORLD」後半のインプロ合戦、これが実は毎回違ったことをやってくれるためにとても楽しみなのだ。
TERRA ROSAやJILL'S PROJECTでも時にはギターを負かすほどのド迫力の演奏とアクションで圧倒する岡垣さんは、やはりここでもその存在感を大きくアピールしていた。
そしてラストの「紅蓮の炎」ではマイさんからの「皆さん立ち上がって!」という呼びかけに応え、続々立ち上がる。私もはっちゃけさせてもらった。
時間が押していたためにアンコールはなかったが、とても満足のいくものであった。
…全編通してかなりの長丁場だったけど、全く飽きることなく聴き通せたし、非常に高い満足を得ることが出来た。
出演者でかなり体調の悪かった人も何人かいたようだが、そんなことは全く感じさせない熱演ぶりだったし、何よりハード・ロックにおけるキーボードの存在の大きさというものを改めて知った思いだった。
出演者でかなり体調の悪かった人も何人かいたようだが、そんなことは全く感じさせない熱演ぶりだったし、何よりハード・ロックにおけるキーボードの存在の大きさというものを改めて知った思いだった。
私はロックの入り口がゴダイゴやクリスタル・キングだったりRCサクセションに熱中した時期があったりしたため、HR/HMの入り口になったLOUDNESSにもBOW WOWにもキーボードがいなかったことにむしろ違和感を持っていた。やがてBOW WOWがメンバーチェンジでVOW WOWになって「これこそ俺が求めていた音楽!」と思い、同時期に再結成されたDEEP PURPLEから70年代HRの底なし沼へとはまっていったわけだけど、やはりあの時代の、オルガンやモーグ等が活躍する古式ゆかしい音を最も美しい形で継承しているのは日本のバンドたちだという気がしてならない。
もちろん元祖であるDEEP PURPLEやURIAH HEEPは今も健在だが、本国にそれを継承する若手がいないし、かといってDREAM THEATERも良いのは良いのだが、やはりアメリカのバンドゆえか、「トッピング全部乗せ」みたいな大味さが気になってそうしょっちゅうは聴けないのだ。
もちろん元祖であるDEEP PURPLEやURIAH HEEPは今も健在だが、本国にそれを継承する若手がいないし、かといってDREAM THEATERも良いのは良いのだが、やはりアメリカのバンドゆえか、「トッピング全部乗せ」みたいな大味さが気になってそうしょっちゅうは聴けないのだ。
伝統的な音を土台に他の要素も程良いバランスで取り入れ、新しい楽曲をやる、そういう存在は何度も言う通り日本がバンドの数も品質もトップクラスだと私は思う。
ある年代より上にはいまだに舶来至上信仰がまかり通り、国内のバンドを軽視、しまいには聴きもせずに蔑視する輩も多いが、こういうイベントが開催されることで少しでも偏見をなくしていってほしいものだ。今じゃ「BURRN!」で紹介される最近の海外のバンドもほとんど興味を惹かれるものはないし、むしろライブハウスで「これは!」というものに当たることが多いのだ。
もはや日本の伝統文化と言ってもよいハード・ロック/ヘヴィ・メタル、プログレッシブ・ロック、これらを今出来る人たちがやって、若い世代につないでいく。そしてずっと続いていってほしいと願うばかりだ。
ある年代より上にはいまだに舶来至上信仰がまかり通り、国内のバンドを軽視、しまいには聴きもせずに蔑視する輩も多いが、こういうイベントが開催されることで少しでも偏見をなくしていってほしいものだ。今じゃ「BURRN!」で紹介される最近の海外のバンドもほとんど興味を惹かれるものはないし、むしろライブハウスで「これは!」というものに当たることが多いのだ。
もはや日本の伝統文化と言ってもよいハード・ロック/ヘヴィ・メタル、プログレッシブ・ロック、これらを今出来る人たちがやって、若い世代につないでいく。そしてずっと続いていってほしいと願うばかりだ。
こちらが今回出演のバンドの曲を収録したオムニバス。非常に質の高い音楽が詰まっているので、今回のイベントが本展覧会とすればこちらは図録として、繰り返し聴いてその素晴らしさを味わってほしい。
最後に、主催の片岡さんはじめ出演のキーボード奏者の皆さん、全バンドの皆さん、お疲れさまでした。これからもますますのご活躍を祈念いたします!