2018年05月

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神戸でまたプラド美術館展やってるけど、この絵は持ってこないのかな?
それなら東京だけの開催になっても行くのに。
これ目当てでスペインまで行って、修復中で見れずに悔しい思いをしてから20年…

そう、あれから20年、日本から出ていない(^-^;

以前は「リベンジのためにもう一度行きたい!」思ってたけど、今じゃ「面倒くせえ~。日本に持ってきてよ」だもんな。
やっぱり海外は若くてエネルギーのある時に行くがいいよ。

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さて、今回は元々書く予定じゃなかったので現地の証拠写真もなく、でもやっぱり書こう!と思った矢先に休日出勤が入ったために疲れたのやらテンション落ちたのやらで、今朝書きかけて途中で断念してしまった。
でも、一寝入りしたらなんとなく書けるかも?という気がしてきたので、とりあえず書いてみよう。

私がマキゾーのライブに行くのは4回目になるが、実は10年ぶりである。10年前も10年ぶり…そう、98年に大阪城ホール2回(2日連続で取れてしまったので)、08年に神戸国際会館1回、そして今回、というわけだが、大阪城ホールでやってた人がオリックス劇場…旧厚生年金会館?随分規模が縮小されたのね、まるでリッチーが抜けたパープルみたいやねと思いきや、今回は全都道府県をくまなく80ヶ所以上、それも1年以上かけて回るという、陰陽座もびっくりなもの。ファンの年齢層を考えて土日中心がいいとか、本人の体のことも考えてとかあるだろうが、言っちゃ悪いがとっくに旬を過ぎてしまった人にしては異様に精力的。それも各地でソールドアウトしてるってんだから、やっぱり待ってた人も多いのね。

そもそも私がマキゾーの歌を知ってはまったのは94年の「夏が来る」からだが、当時はZARD同様、TVに出ない、ライブもやらないという不思議な存在だった。でも本人は雑誌のインタビューで「ライブもやりたい」と言ってたし、結局それは97年頃に現実の話となった。
今みたいにネットも普及してなかったから最初のツアーは開催されてたことすら知らず、2回目のツアーで行けることになったのだが、アマチュア時代とかバックコーラスでの下積み時代とかに経験済みとはいえ、デビューしてからの現場叩き上げではなく、本人名義でのライブがいきなり大会場ってのは無理がありすぎる。確かに大阪城ホールでのライブは完成度も高く、選曲も良かったから満足出来た。でも、MCも含めて2日間全く同じ内容ってのはどうなのよ?と思ったのも事実。

それから「充電期間」(実際には休みなく働きすぎて疲れたからだったらしい)を挟んで復帰した時には、歌声の劣化と楽曲の質の低下が目立ち、だから私の中で彼女の占める割合はどんどん下がっていってしまってた。そう、今でこそ竹内まりや(この人は長いこと不動)・水樹奈々・鬼束ちひろが日本の女性シンガーの3トップだが、それまでは長いことマキゾーと坂井泉水がまりやさんと並んでたわけ。
そんな中でも2回目…神戸に行ったんだが、3時間の長丁場ながらも声は出てた方だと思うが10年前より明らかに衰えてたし、昔のヒット曲連発で救われていた感があった。

そして体調不良による再びの活動休止、しかも今度はかなり長い…坂井泉水も亡くなってたし、次々と気になる女性シンガーたちが出てくる中で、もはや私にとってマキゾーはすっかり「過去の人」になってしまった。
だが近年、諦めかけていた再復帰が実現。しかもCDになった新曲やTVに出演した時の歌を聴けば、全盛期には及ばないながらもいい感じで復活していた。これなら今後にも期待が持てるだろうと、去年から開催の全国ツアーでは行ける機会を狙っていた。そして今年になってようやく全ての条件が整い、まさに待望のライブが見れることになったのだった。

この日は朝から大雨で、そのため家を出るのが遅くなって会場に到着したのは開演ギリギリだから焦ったのだが、席はなんと1階の18列目。今までが後ろの方ばかりだったので、これは嬉しい。そして10分くらい押して開演となった。

まずはデビュー曲「STOP MOTION」が流れる中で当時から今に至るまでのいろんな写真が映し出される。で、この曲まるまる終わっちゃいました(笑)。そして幕が開き、バンドと本人の姿が現れ、「IT'S ALRIGHT」から本編がスタートした。
実はその後が驚きで…「DA・KA・RA」「チョット」「別れましょう私から消えましょうあなたから」「Harlem Night」「あなただけ見つめてる」「白いGradation」と、ヒット曲を年代順に披露。全て短縮バージョンだったし10年前にもこのパターンはやったけど、若かりし日の自分に戻れたような気がして嬉しかった。

そう、今回はツアータイトルに「中高年よもっと熱くなれ!」と付けられていることが示している通り、やはりファンも昔からの人がほとんどで、若い人の姿は非常に少なかった。もっとほのぼのした歌が受けている今、こういう熱い歌を聴かせる人の居場所はないんだろうなと思ったら寂しいが、総立ちとはいかないまでも立ち上がった人の多かったのは、やはり10年前のこのパターンが「新しい曲が盛り上がらないから」と思わせたのとは違い、懐かしい曲で若かりし日の熱い気持ちを蘇らせた人が多かったということだろう。

じゃあ次はあの曲?とはいかず、「ネッ!~女、情熱~」「アンバランス」「永遠の夢に向かって」を今度はフルコーラスで。やはりヒット曲を多く持ってる人は強い。MCを挟んでの「あぁ」、それに続くは某生命保険会社の社歌として作られた新曲だったが、そっち系のブラックな実態を知ってるだけに「こんなポジティブな歌詞でいいの?」と苦笑いしてしまった。

それから衣装替えのために一旦本人は引っ込んでバンドだけの演奏が披露され…バンドのメンバーも凄いんです。ドラムがLUNA SEAの真矢、パーカッションがスティーヴ・エトウ、は10年前と同じだけど、ギターが原田喧太って、これなかなかじゃないっすか?
で、次はバラードが1曲…実はあんまり馴染みのない曲で、ちょっと箸休め的な感じになってしまい、やはりマキゾーは元気な歌の方が力を発揮するんだねと思ってしまった。どうせなら「Stay with me baby」を聴きたかった…と思ってたら前日はそっちだったらしい(笑)。

さてそれから新しめの曲を2曲歌った後、最後まで突っ走る曲のオンパレード。「ゲンキダシテ」「Lie,Lie,Lie」「熱くなれ」「夏が来る」「いちばん近くにいてね」「Anything Goes!」って、曲名見るだけで息切れしません?本人の声が持つのかが一番心配だったけど、最高音になる部分を伸ばさずに切り上げてた以外はよく出てたし、涸れてもいなかったからそれは大したもの。そして「ROCKs」で本編が終了した。

アンコールはバラード1曲と、おなじみ「ら・ら・ら」。私は特別好きな曲でもないのだが、やはり場内は大きく盛り上がる。そして2回目のアンコールで新曲を1曲、3時間に及ぶライブは終わった。

…無理のないスケジュールだったこともあるだろうけど、本人の歌声が10年前よりよく出てたし、昔のヒット曲中心なセットリストには賛否両論あろうけど、私は素直に楽しめたし、新しい曲もしっかり聴きごたえあったのでそれはそれで良し。
歌声にゾクゾクする感覚というのはそれほどなかったが、それは昔からだし、そういう感覚というのは数えるほどの人しか味わえないから問題ない。でも「求心力」というのは確かにあるし、よく高音シャウトの迫力だけで語られてしまうけど、中低音の旨みがあるからこそ歌も生きるもので、年を重ねた分、その辺も深みを増していたのは意外な収穫だった。

まあ、歌詞はよく飛んだり間違えたりしてた(笑)。永ちゃんの言葉を借りれば「責任があるから飛ぶんだよ」なんだろうが、永ちゃんと違って自分で書いた歌詞なのに?まあ、坂井泉水もよく間違えてたからその辺はご愛嬌ということで。でもその分、生々しさは過去最高だった。バンドとの一体感やステージでの動き等、やはりマキゾーにはこういう場所がふさわしい!完全復活!おかえり!おめでとう!と連発したくなった。

終盤の長いMCでは休養から復帰に至るまでの話がされ、本人も涙ぐみ、こちらももらい泣きしそうになった。それをここで再現するのは不可能だけど、要約すればこんなところ。

「手術の後、もう大きな声は出せないと言われた。でも誰も私に癒しの歌なんか求めてないだろうし、それくらいなら作家に専念しようかと思った。でもやっぱり歌いたい一心でここまで戻ってこれた。織田哲郎さんや坂井泉水さんみたいな天才たちに囲まれて過ごしたから、いかに自分が凡人であるかを痛感してきた。でもただの凡人じゃなく、努力の好きな凡人だから、自分が思い描いてる、皆さんが求めてる大黒摩季になれるよう努力してるんだ」


「そこ違う!」というツッコミあったら入れて下さい。それにムカついたら削除しますから(笑)。
マキゾーを凡人だとは思わないけど、確かに鬼束ちひろみたいな狂気と紙一重の神がかった感じはしない。でも、やはり努力を重ねてあの栄光の日々があったわけだし、今もこうして待ってるファンが(かなり絞られたけど)多くいる、それが全てを物語ってるんじゃないか?今受けてるほのぼの系の女性シンガーでどれだけこんな長いこと支持される人がいるだろう?
私は今の水樹奈々やMardelasのマリナさんに昔の大黒摩季(ここでマキゾーと書くと重みがなくなる)を重ねて見聴きしている時がある。それぞれその人たちにしか出せない魅力があるから支持してるんだけど、一生懸命歌ってる、その姿と歌声が元気をくれるという意味で共通してると思ってくれたらいい。
そして別に彼女がその先駆者ではないんだけど、もはやベテランの域に入った今、これからも行けるとこまで行ってほしい、それをしっかり見届けるから、という気持ちになった。
次に見るのはまた10年後?いや、もっと短いスパンで見ておきたいな。

おまけ

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さて、今回はきちんとしたレポに出来るのか非常に不安である。なんせこのバンドの名前は知っていたけど音楽は聴いたことがなく、再結成アルバムでやっと触れることが出来たというくらい縁がなかったんだから。でもそのアルバムが良かったし(ほとんど昔の曲の焼き直しだけど)、しかもかつての活動期間中に発表したアルバムもリマスターされて会場先行発売されるというから、名古屋まで足を伸ばそうと決めたのだった。

そもそもこのバンドは83年に結成されて87年に解散してるというから、元々の活動期間は非常に短い。そりゃあ当時はBOW WOW~VOW WOWに熱中してて、あとはLOUDNESS、EARTHSHAKER、浜田麻里くらいしか日本のHR/HMはまともに聴いていなかったから、彼らの存在を知る由もなかったわけだ。
それがここ10何年かくらいで昔のジャパメタも掘り下げるようになり、やっとこさ彼らにたどり着くことになったわけで…いろいろ調べてると、おどろおどろしい歌詞と曲調、そしてライブでの演出が特徴ということを知ったが、じゃあ同時期にメジャーデビューしてた聖飢魔Ⅱとどっちが先なの?という疑問にぶち当たった。ほんま、時期が同じくらいなのでこれは当然出てくる疑問だろう。だが、もうちょっと前にSABBRABELLSがそういうことを始めてたので、おそらく両バンドともそちらを手本にしたのではなかろうか?まあ、海外ではアリス・クーパーとかMERCYFUL FATEとかそういうのはいくらでもあったので、結局3バンドとも「たまたま」似通ってしまったのかもしれない。

さて、このままじゃ前回のGALNERYUSの時と同様に「論文」になってしまうので(それはそれでいいと思うけど)、そろそろレポートらしいことを書いていこうと思う。

名古屋に着いてからまずはいつも通りあちこちのCD屋を回る。今回はHEAVENで収穫があったけど、別に今回のライブとは関係ないので詳しくは割愛。
開場時間が迫ってきて、ELL前には入場待ちの人が集まってくる。知った顔もちらほら。入場したらすぐに先行発売で今後一般流通されるものとは内容が異なるというCDを購入。
それからどんどん人が増えてきて、予定の開演時間を過ぎてもまだまだ入ってくる。かなり前にSHOW-YAを見に来た時より多いんじゃないかい?そんなこんなもあってか、20分くらい押しての開演となった。

荘厳なSEの流れる中、ドクロが肩に乗った十字架、ステージ中央に据えられた棺桶、その辺の諸々を触る三角頭巾の西洋黒子…そしてメンバーがステージに現れ、棺桶からヴォーカルさんが登場。それでも顔のメイクは目の周りとか一部に限られ、聖飢魔Ⅱほど徹底してはいない。だが、その後に聞こえてきた音楽は実に素晴らしいものであった。

重いギターリフと重低音のリズム隊、それに乗るハイトーンのヴォーカル…どちらかと言えば聖飢魔ⅡよりSABBRABELLSの方が近いかな?というのが率直な感想。聖飢魔Ⅱはメンバーにフュージョンやロックンロール志向の人もいて非常に音楽性の幅は広かったが(おっと、聖飢魔Ⅱ+フュージョンはNGワード?)、個人的には「譜面から大きく外れていない音楽」という印象だったし、「譜面から逸脱した熱さ」を感じさせるという点ではSABBRABELLSの方が近いように思う。だが単なる類似品ではなく、しっかり彼らならではの個性も感じさせた。

やはり元々80年代のバンドということもあって、おどろおどろしいコンセプトもわかりやすいし、曲もコンパクト。70年代のBLACK SABBATHみたいな本人たちが酩酊感を味わいたいがために演奏を引き伸ばしたのとも、90年代のCATHEDRALみたいにその雰囲気だけ素面の頭で強引に真似したのとも違い、重くて遅い曲ばかりじゃなく、速くて明快な曲も多い。
ホールには往年のファンばかりでなく、若い人の姿も結構目立ったが、今時の「トッピング全部のせ」みたいな詰め込みすぎのものが多い中、こういう音楽が新鮮に感じられるのかもしれない。

本編とアンコール2回で2時間弱のライブだったが、場内は非常に盛り上がって熱気に満ちていたし、終わった後の満足感もなかなかだった。

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ほんまはあかんのやろうけど、終演後ということで大目に見てやって下さい(懲りない奴)。

そのまま日帰りしようと思ったら出来るくらいの時間帯で終わったけど、もしものことを考えて宿を取っていたし、まあ今回はそれで正解だったかも。

それにしても、今回は反応が良かったからまたここでやりたいって…「東京・大阪でもやりたい」って言ってほしかったな。まあそれは今後に期待してみよう。

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これが再発された過去の音源と、無料配布の「DON'T BE IN A HURRY」新録日本語バージョン。
いくらリマスターされてるとはいえ、元が低コストだったからかやはり音の薄さはどうにもならなかったようで…
でも、それを吹き飛ばして余りあるのが制作当時の若さゆえの熱さだろう。
今は超絶技巧や録音の良さで「聴ける」けど冷たい感じしかしないものが多いが(GALNERYUSやMinstreliXは違うよ)、あの時代に他と違った個性を打ち出そうとして一生懸命だった作り手の熱意、そういうものが伝わってきた。

CROWLEYはこれまで私の中で特別大きな存在ではなかったし、そりゃ恭司さんや岡垣さんみたいな存在が「でん!」と居座っているから今後もそれは大きく変わらないだろうけど、わざわざ名古屋まで足を運ばせたのには「何かある」と思わせたからだし、そしてその「何か」は上手く表現出来ないけど、行っただけの、いやそれ以上のものはあったと確信させた。
ほんま大阪にも来て下さいよ、是非!私でさえ「また見たい」思ってるんだから、熱心なファンのことを考えたらね。

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さて、今回は3連休最終日だし翌日は仕事だし、もうレポ書かなくていいでしょ?思って書くつもりはほとんどなかった。どうせ彼ら、私が今ここでプッシュしなくても人気者だし…
でも、ある方面からリクエストが入ってしまった。別に流してしまっても構わないんだけど、やはりここで書いておくべき意義があるだろうと思い直して「よし、書こう!」となった。

その理由の第一として…

関西のローカルバンドだった彼らが大躍進を遂げたことが後続の励みになること

私は彼らがまだスタート間もない頃、CONCERTO MOONの前座で見たことがある。当時のメンバーで残っているのはギターのSyuただ1人だけなんだが、心斎橋MUSEのステージで30分程度の出番、確かに当時から上手いとは思ったが、まだ個性も確立されておらず、それほど印象に残ったわけではなかった。
だが、メジャーデビューして初のアルバムを聴き、「大化けしたな」と思った。YUHKI、佐藤潤一という強力なメンバーにサポートされ、それが彼らの元々持ち合わせていたものを引き出したのか、Syu & YAMA-Bという当時の中核2人がそれまでの間に進化してきたのを後押ししたのか、とにかく「凄い」と言えるようになっていた。
そしてアルバムごとにその「進化」は更に進み、私が彼らのワンマンを前座時代と同じMUSEで見た頃には見違えるようになっていた。動員数も着実に増え、山さん最後のライブではMUSEが超満員で完売になったほど。後任に小野さんが入ってからも会場の規模はAKASO → クアトロと大きくなり、今や800人収容のBIG CATを埋めんばかり。もう最初からいるメンバーはSyuのみとなったが、彼の若い頃を知っている他のバンドマンたちには誇らしいようだし、今や彼らを目指してバンドを始めた若者たちも少なくない時代になった。X JAPAN、聖飢魔Ⅱといったところは別にして、LOUDNESSやANTHEMというベテランにも負けない実績を打ち出し、今や陰陽座(あちらは更に凄いところに来てるけど)と並ぶ存在になったと言えるだろう。

そして第二の理由として…

小野正利の「今」を知ってほしい

よく誤解されるのが、「小野正利が入ったから人気が上がったんだろう」ということだが、先述の通りそれ以前から動員数は右肩上がりになっていた。小野さんの加入はそれに拍車をかけただけのことである。
そして、当時の「小野正利」のネームバリューがどれほど有効だったか?ソロとしてレコ大の新人賞を受賞するほどの大ヒットを飛ばしたが、その後は低迷し、ものまねタレントとして食いつなぐような状態だった。HR/HMのオムニバスアルバムやイベントでその声を聴かせる機会はあったが、それが知名度の復活につながったとは言えない。
そして山さん脱退前に既に決まっていたイベントに助っ人参加してそのまま居座り、アルバムもライブもレベルアップ…バンド、小野さん双方にとって良い方向に作用したからに他ならない。歌唱力は高いものの癖が強くて好き嫌いを大きく分けた山さんより一般受けする小野さんの加入で、それまで二の足だったファン予備軍が一気に流れ込んできたからこその人気上昇と考えていいだろう。
そしてバンドの人気が上がるとともに、「え?小野正利って、あの?」という人たちも取り込んだ。J-POP時代を期待してぶったまげた人も多かったろうが、彼は元々「こちら側」の人である。「ザ・夜もヒッパレ」で聴かせた「移民の歌」の凄まじさは忘れもしない。ハードな音とのマッチングは予想以上で、今や小野さんが入ってからの方が期間も長く、アルバム数も多くなった。私は彼の加入初期にはヴァン・ヘイレンにサミー・ヘイガーが入ったような感覚を持っていたのだが、ああいう「出来上がったバンドに大物が入った」ではなく、双方が自然に溶け合っている、それが今の彼らなのだと思う。

おーっと、余談が長くなった。じゃあ本題に!

私は今回、諸事情でギリギリまで行くのを迷っていた。だが会社の同僚から「そりゃ行った方がええで」と背中を押され、それこそギリギリにチケットを購入、更にはこれまたギリギリで会場に入ったのだが、もう場内は人で溢れんばかり、だから後方で見るしかなくなっていた。
去年の「LOUD∞OUT FEST」で見てはいたが、ワンマンは結構久しぶりである。しかし、ライブの内容は本当に期待以上の素晴らしい、いやとんでもなく凄いものであった!

まずはセットリストの見事さ。まだツアー中だからネタバレ防止のためいちいち書かない…というか、実は彼らの曲と曲名が完全に一致するほど聴き込んでいない。私のレポをよく読んでる人ならおわかりかと思うが、曲名を詳細に書いているのは、恭司さんや岡垣さんといった一部の人に限られている。その辺の方々は間奏のフレーズまで暗記するくらい聴き込んでいるからなんだが、それ以外の多くは「雰囲気」しか書いてないでしょ?山下達郎や水樹奈々みたいなメジャーな人の場合は、翌日にはセトリがネット上で拾えるからそれを書き写しているだけのことである。

まあそれはいいとして、緩急の対比が見事に決まった選曲だったのは書いておきたい。速くて激しい曲と聴かせる曲のバランスが見事で、長丁場が予想されるにも関わらず、全くダレることも疲れることもなく聴き通せた。

そして歌と演奏の見事さ。元々超絶技巧の演奏とすば抜けた歌唱力のバンドだが(無駄に上手いと揶揄されることも)、Syuのギターは速弾きでは熱く、泣きは胸に染みる、それが更にパワーアップしており、もはや完全に大物の風格。
小野さんの歌声も絶好調で、高いだけでなく深い味わいも感じさせ、国内屈指のHR/HMシンガーとしての威力を見せつけてくれた。
キーボードのYUHKIさんのプレイも素晴らしく、ここまでの3人だけ見たらかつてのVOW WOWの中核3人に匹敵すると言えるのではないだろうか?
その分、リズム隊が割を食って目立たない?いやいや、超人3人を支えるには相当な実力がなければならない。彼らの働きももっと評価されるべきだろう。

何の曲をやったか全く書かないのも寂しいと思うからちょっとだけ…本編最後は大曲の「ANGEL OF SALVATION」だったんだが、こちらも何度かライブでやってるとはいえ、久しぶりに聴くとその完成度の高さ、と言うだけでは語り尽くせない凄みが感じられ、つくづくこのバンドの持つポテンシャル(珍しく横文字使ってみた)の高さを実感させられた。

さて、アンコールでまずは小野さんだけが出てきて話を始めるのだが、「確定申告」という単語だけで笑いが起きたり、車で警察の検問に遭った時にいろいろ尋ねられた話も面白かったんだが、これは詳しく書かない。当日行ってた人は思い出して笑って、これから行く人は現場で聞いて笑って下さい。

2回のアンコールも定番曲の連発だったが、これもまた大きく盛り上がる。やはり上手い上に良い曲を持ってるバンドは強いねえ。そしていつもなら3時間超えも珍しくないのに2時間半くらいで終わったんだが、非常に大きな満足を得ることが出来たのだった。

サミーの入ったヴァン・ヘイレンを例に出したけど、ロニーの入ったブラック・サバスに例えることも出来るし、山さん時代の方が好きなファンもいまだ少なからずいるので、どちらが好きか?ということではそれらに匹敵するかもしれない。山さん時代はもっと暗くて粗かったし、それに比べれば今は随分垢抜けて明るくなったように思う。私は元々の暗さ・粗さと小野さんの歌のバランスが見事だったアルバム「PHOENIX RISING」が好きで、それ以降は「ちょっと綺麗すぎるかな~」と思ってるんだが、それはそれで「正常進化」と思えばいいだろう。

それにしても、更なる進化を見せつけたこのバンド、どこまでそれが進むことやら、これからがますます楽しみになってきた。

気がついたら「レポート」と言うより「論文」になってしまった。でもまあ、今の彼らの凄さを知ってもらうにはこういうのも悪くないだろう。

ここで声を大にして言いたいのは、「こういう本当に上手いバンドのライブを体感して感性を磨きましょうよ」ということと、「今は小さなハコでやってるバンドでも大化けすることがあるから、光るものを感じたら早い内から追っておく方がいい」ということ。たとえ世間で人気があろうが、ゴミクズみたいな連中の多い今のご時世、やはり「本物」がきちんと評価されてほしいんです。それはファンにもかかっているんです。せっかく良いものをもちながら志半ばにしてその歩みを止めてしまうバンドも多いので、今「これは!」と思ったらそこからの応援が大事なんですよ!

これで終わったらほんまにライブ感のない、「ただの論文」になってしまうので、一応写真2枚ばかりどうぞ。

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これ、あかんやろうって?まあ、終演後なので良しとして下さい。

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