2016年05月

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私は今年になってから有名どころのライブのくじ運がやたらと良い。エレカシに山下達郎、井上陽水、氷室京介、矢沢永吉、更には鬼束ちひろまで当たってしまった。日頃パワハラやら何やらに耐えてるご褒美と思えばそれも良いが、どちらかと言えばパワハラの主の存在が消えてくれた方が(今の心情では)ありがたいのだが。
それでも最優先事項はBOW・VOWな人たちとテラな人たちだったりして、前者は3月にまとめて見れたし先週も恭司さんを見てきたとこだが、後者だってAPHRODITEと今回のクルベラに関してはいずれも1回ずつ飛んだだけで関西ではほぼ皆勤だったりする。で、このところ岡垣さん出演のライブに行くことは多かったのだが、クルベラつまり赤尾さんの方は去年の7月以来ご無沙汰だった。バンド自体が動いてなかったんだから仕方ないんだが、それだけに今回は非常に楽しみだった。

そう、今回の楽しみと言えば、バンドが動けなかった最大の要因であるドラムのボンさんが骨折から立ち直ってようやくの復帰ライブということで、7月に叩いてたのは板倉さんだったし、その前となったら4月にANOTHER DREAMでやった三宅さんのバンドとのダブルヘッダー以来?だから1年以上ぶりということで、まさに待望!であった。

だが、ライブ開催の数日前に、まさかの「ボンさん、またもや骨折」…おいおい、こんなギリギリにどうなんのよ?と思ったら、サポートにはkegoiという全く知らない名前のドラマーが加わるとか。板倉さんみたいに全員と馴染みの人でもなさそうだから、どうなるのか非常に不安だった、というのが正直なところ。

で、もう3回目となるこのU6という会場も最初来た時に感じていた違和感はもうなくなり、今じゃこのバンドがここでやるのは当たり前みたいな感覚になっていた。クルベラ以外では中之島花子と渋皮ボーイズが1回あったが、ああいう音楽性ならしっくりはまるのだが、こういうハードな音楽には不釣り合いと言えば不釣り合い。でも例えば恭司さんが「弾き語り・弾きまくりギター三昧」をやったとしても違和感はなさそうだし、その辺はもう深く考えなくて良いだろう。

定刻を少し過ぎて開演、まずはオープニングと言えばこの曲、になってきた「海図」。注目のkegoi氏は見た感じまだ若そうだが、案ずるより産むが易し?で、しっかり「穴埋め」以上のドラミングを聴かせていた。そのまま「マンダリン」に続くが、赤尾さんの歌声は最初の曲からそうだったが調子は良く、特に私の席はステージの真ん前だったからマイクを通さない生の声もよく聞こえるんだが、そこでいかにこの人が凄い歌声の持ち主であるかを実感していた…って、毎回書いてるような気がするが。
赤尾さんが「この店いいでしょ」という話を少しした後、「ズールースーツ」を。途中で鎌田さんのベースソロが入るが、MARINO時代からその腕には定評があるだけに、またサポートとはいえもう長いことこのバンドで弾いてきてるだけに、しっかり聴かせどころを押さえていた。

さてここでメンバー紹介の後、今回ボンさんがまたもや骨折、kegoi氏の急なサポート参加の経緯が語られる。先週の東京ではしっかり叩いて大歓迎されたボンさんだったのだが、今回の数日前に突然電話がかかってきて「ごめんなさい、またやってしまいました」…赤尾さんは目の前が真っ暗になってしまったようで、まあそれは当然だろう。で、広美さんが「大和路線の会」ネットワークを生かして動き出したのだが、そこで見つけたのがkegoi氏とのこと。急な依頼も快諾し、わずか2日ほどのリハで数々のややこしい曲をものにした、という話。

ムードのある「夜光虫」に続き、「ピエロの心臓」。そして広美さんのソロから続く「帳」と、まったくタイプの違った曲が続いたが、どれだけ幅広い曲想を持ってるかを改めて知った気がした。
そして赤尾さんが「今何時?え!もうこんな時間?あかん、喋りすぎた」…いつものことだから気にしてません(笑)。むしろその方が面白いです。ということで第1部最後の「ブランコ」をやるのだが…この曲のソロ回しが実は凄くって、広美さんも鎌田さんもその辺はもう説明不要かと思うが、驚いたのはkegoi氏のドラムソロ。パワフルな上に手数も多く、これがたった2日ほどリハをしただけでこの場に座ってる人のものであろうか?私はずっと呆気にとられていた。いやあ、彼を引っ張ってきたのは大正解だったと思います、はい。

休憩を挟んでまずはアコースティック・タイム。広美さんはナイロン弦のギター、赤尾さんはマイクなしで。「昔のストリート・ミュージシャンはマイクなしで歌ってた」という感じを出したかったということで、まずは「キウイ」。その後が意外な「単細胞」。元が激しい曲をアコースティックにするとどうなるか…私は「フラメンコになってるやん」と感じたが、まあつまり、それだけ見事に変身したということに解釈して下さい。

その後にバンド編成に戻るが、ここからは今回先行発売の新作「CONICALIFY」から数曲やるとのことで、今までに出してきた作品について語られる。最初の作品はテラ・ローザな様式美色を残していたが、どうやらそれは昔からのファンに馴染みやすく聴かせるための半ば意図的なものだったらしく、その後は「ハード・ロック」という大筋はブレないものの、どんどん様式美から離れて行き、実際私も2・3作目と続く中で「もうこれ、様式美でも何でもないやん」と思ったものだ。そして今回はキーボード抜きで作った初の(形を伴う)アルバムということで、メタルな色を出してみたとのこと。実際、「CHAMBER」「場所」「CYPRESS」と3曲披露された新曲はどれもメタリックで、それでもジューダスやメイデンとも全く違う、このバンドでしか作り得ない独自のものだったから恐れ入った。

そしてついに本編ラスト。久しぶりの「業火」だったが、キーボードがいないことでこの曲もかなり感触が変わっていた。でもやっぱりカッコ良かった。

そしてアンコール。以前も1度やって驚かせてくれたカバー曲「GOING DOWN」。渋さと迫力の同居する独自のアレンジが素晴らしく、見事にライブ全編を締めくくった。

…それにしても今回驚いたのはkegoi氏のドラムだったと言ったら「おい、ちょっと待て」言われそうだが、こんな逸材がいったいどこに隠れていたんだろう?やはりこのバンドのドラムはボンさんでなければという思いが強いから、早期の回復と復帰を願っているが、それまでの間は彼に叩いてもらっていいんじゃない?本当に凄いドラマーだから、サポートが終了してもその動向はちょっと気になるところだ。
そしてやはり、このバンドは何度も足を運んでるけど今後もそうしたくなるものを持ってることが改めて知らされた。それだけ音楽そのもの、各メンバーの力量に惹かれるものがあるからだ。だからこそ!ボンさんにはくれぐれも治療とリハビリをしっかりやって頂いて、完全な形で拝みたいと思ってるんです。

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お待たせしました、2日目のレポ、やっと取り掛かれます。

日曜開催のライブを翌日にレポするのがどんどん辛くなってきてて、いつも週末にやっと書ける、という感じになって久しい。そりゃ平日の間はずっと仕事だし、近年はとにかく早く寝るようにしてるから、帰ってからの持ち時間が非常に制限されるわけ。だからこうなるわけです。
特に今週は忙しくなるからと気張ってたんだが、火曜の朝に頭痛と不快感、腹痛その他でダウン。医者に行ったらなんと食中毒→3日間の予期せぬ(望まぬ)オフ。なのでますますもって平日の間に書き上げるのが不可能になってしまったから、というのもあるのよね。

さて当日の話に時間を巻き戻すけど、前日の寿太郎さんライブが素晴らしかったために、こちらの初日がまたもや前菜になってしまった感はあったが、この日は最後まで見逃せない!ということで、じっくり座って見るために(実は体調を考慮した)2000円足して椅子席にしたのであった。ちなみに、またもや最初の出演者は出発時間の関係で割愛させて頂きました。

足立祐二

前月の「毒演会」でたっぷり堪能したけど、時間は短くてもやはりリズム隊も生演奏の方がいい。とにかく音色に痺れるね。セッションコーナーのゲストはトモ藤田。前年と同じ組み合わせ、しかもまたおもろい話をし始めて、これで時間を食うなと思いきや適当なところで切り上げてセッションへ。今回は前回感じられた「ジャンルの壁」というのがかなりぶち抜けてきてて、張り合い具合もいい感じだったと思う。

Kelly SIMONZ

この日の出演者の顔ぶれの中では、どちらかと言えばこの人が一番異色だったかもしれない。ネオ・クラシカルな速弾きをする人は他にいないし、しかも自ら歌うのは恭司さんとこの人だけだし。しかし最終的に思い返してもそんなに浮いていなかったのがこの人の凄いところなのかも。セッションのゲストは先程出演のYOUさん。2人の漫才(笑)が可笑しくて、そのまま喋り続けてもらっても良かったような。でも、ケリーさんが歌う「CROSSROADS」でのバトルはまた壮絶で、漫才とのギャップに驚かされた。佐村河内守と橋下徹がギターバトルやってらあ、と思ったけど、それは私の胸の内だけに秘めておこう(笑)。

矢堀孝一

前回一番の新鮮な衝撃だったのがこの人の速弾きだったんだが、今回もそれは健在。同じ速弾きでもさっきのケリーさんとは全く異質のもの。どちらが良いとかの話ではなく、持ち味が全く違うから全くの別物ということで。滑らかな指遣いと力強いピッキング、これは他に類を見ないものだ。そして今回もセッション相手は恭司さん。ビリー・コブハム「STRATUS」でのぶつかり合いはまた強烈で、いやあいいもん見れました、ってな感じだった。

Toshi Hiketa

このイベントの主催者で、かつてはデヴィッド・リー・ロスのサポートでも活躍したという強者だが、迫力のプレイで圧倒してくれた。で、セッションはアコースティックという掟破りで、相手はトップバッターで出演していた(でも私は割愛してしまった)岡本博文さん。前日からの流れの中では異色な、でも良いアクセントになっていた。

トモ藤田

前年は矢堀さん以外のフュージョン系のギタリストたちに感ずるところがなく、だから今回も「どうかな~」と思っていたんだが、今回は前回とは打って変わって迫力あるプレイを堪能させてくれた。やっぱり本当に上手い人ってのは何でも出来るんだし、ジャンルも関係ないんだね。更にはセッション相手にケリーさんを呼び込んだのも、まさに「ジャンルの壁」が完全に打ち砕かれたのを目にしたようで、その熱のこもったバトルともども感銘させてくれた。

山本恭司

そしていよいよ大トリ。前回は曲数もゲストの人数も他の人より多めという反則技を使ったが、今回はそういう反則はなし。まずは自ら歌う「PURPLE HAZE」。この人がこの曲を弾いて歌うのはもう、何度も何度も聴いてきているが、すっかり自分のものにしているのが凄い。私なんか慣れすぎて、この曲のイントロが聞こえてきたらジミヘンより恭司さんの声が頭の中で再生されてしまうくらいだから。続いては1stソロアルバム「HORIZON」からの「DOG FIGHT」。リズム隊とのバトルが壮絶で、特に2日間出ずっぱりの星山さんのドラムソロの凄いこと。長丁場を叩き切る体力、あらゆるジャンルに対応出来る振り幅の広さ、そして確かな腕…いろんなとこでそのプレイを目にしたが、やはり凄い人だ。そして恭司さん本人はもう、音色だけで圧倒的だし、アームの遣い方もトリッキーなだけでなく、まさしく「体の一部」として機能しているようだ。そしてセッションにはHiketa氏を呼び込んで「LITTLE WING」を歌入りで。もうあれこれ講釈は不要。至高の芸術、まさにその一言に尽きた。

そして最後はこの日の出演者全員に、前日の出演者数名を交えての大セッション大会だったのだが、恐らくはブルースのカバーで、日本語の歌詞を恭司さんが歌い、各ギタリストが順繰りでソロを弾くというもの。それぞれが個性的なプレイを繰り広げたのが圧巻だった。

…ということで、9時前にはこの大イベントも終わり、私はさっさと帰途に就いたのだが、やはり「ジャンルの壁」が取っ払われてきたことが強く感じられ、全員が「ギターを愛する心」で強く結ばれていたのを感じ取れた。ダンスユニットや、楽器を重視しない「(自称)ロックバンド」が主流の今、こういうイベントで演者も観客も一体となることに大きな意義があったと思う。ギターって良いものなんだと、特に若い人たちが関心を持って、自らもギターを手にして、その中から新世代のギター・ヒーローが生まれることを願ってやまない。

以上、若干駆け足ながら2日目のレポ、書き終えました。やっと任務終了です。あーやれやれ。

昨日は久しぶりの(でもないか)ハシゴだったんだけど、実は仕事の疲れが溜まっててかなり辛く、金曜の晩の段階でも「この土日はどこも出かけずに休むがいいかなあ」という感じだった。でも、「やっぱり行く!」と決めてまずはGUITAR TORNADOのチケットを購入、更には勢いで寿太郎さんライブの取り置きも出演者の方に(日付が変わるギリギリに)お願いしていたのだった。

で、朝起きたら疲れの方は多少マシになってたが抜け切れてないので、やはり出かけるギリギリまで寝転んで過ごし、少しでも体力を回復させてから出よう、ということになった。

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ということでまずはこっちなんだけど、しょっぱなに開催されてたアマチュアのコンテストの方は割愛させて頂き、見たい人たちに絞って…となったら2番目からの入場となった。

安達久美

まずは去年に引き続いて唯一の女性であるこの人なんだけど、フュージョン系に見られることの多い彼女の本質はやはりロックなんだと再認識。出番終わりに恒例の「もう1人呼んでセッション」はichiro氏とのジミヘン「LITTLE WING」をインストでやったんだけど、呼ばれた彼もなかなかいい感じだったんじゃないかい?と思った。

三宅庸介

続いては先日「様式美大作戦」でその腕前をたっぷり味わったこの人だが、やはりこの人のギターは大音量ながらそれが全く不快にならず、むしろ心地良く感じられるから不思議なものだ。セッションのコーナーはISAO氏を呼び込んでだったが、ここはキャリアの差で三宅さんの存在感が上回ってた、といったところ。

西村守

彼もAPHRODITEでもう数えきれないくらい見てきているが、インストでの演奏はそちらでのハード・ロック然としたものと違い、フュージョン的な感触も伺えた。でも根っこはやっぱりロック、みたいな。で、こちらのセッションには先程出たばかりの三宅さんを呼び込み、コージー・パウエルの1stソロから「KILLER」。2人してゲイリーの鬼神のようなプレイを再現してたのは圧巻だった。

さて、ここで次の開演時間も迫ってきたのでこちらを引き揚げたのだが、見たい人たちが頭の方にかたまってて良かったよ本当に。
で、レポが随分あっさりだけど、これは次で目いっぱい書く予定だからです。

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御堂筋を横切ってsomaに到着、客席にたどり着いたら最初そんなに人は入ってなかったが、次第に増えて最終的には立見もかなり出たくらいだった。

にじいろグローバーJ

何ですかこのアイドルみたいな名前は?と思われそうだけど、実はこれ、後期レインボーのカバーをやるバンドで、にじいろ=レインボー、グローバー=ベースのロジャー・グローヴァー、J=寿太郎、という意味なんです。
で、キーボードが筒井さん、ドラムが西さん、ヴォーカルがRAYさんという、以前「MADE IN JAPAN」をやった時と3人被ってて、ギターはBLACK MASQUARADEの新田さんで、更には女性コーラス2人も加わった編成。あの時はギランになりきってたRAYさんがジョー?と思ったが、これが意外にはまってた。
ほぼ全曲暗記するくらい聴いたレインボーだから曲目全部書いちゃうけど、「SPOTLIGHT KID」「STRANDED」「FOOL FOR THE NIGHT」「MISS MISTREATED」「STREET OF DREAMS」「I SURRENDER」「CAN'T HAPPEN HERE」「DEATH ALLEY DRIVER」という、当時のライブではお馴染みだったであろう曲の連発。レインボーをやるならもっと前の方のイメージの強い寿太郎さんも筒井さんも思いのほかしっくりはまってて、懐の深さを改めて思い知った気がした。

スターレス・セルフカバー

本物を集めるのは今の状況では困難なこともあってか、ご本人とドラムの堀江さんだけが本物で、あとはあちこちから集めてきたメンバー。キーボードはクラフォレの里知さんで、ヴォーカルはさっきコーラスやってた2人の片方。この人が意外にジュラさん度が高く、初期楽曲でのはまり具合は見事だった。さっきのレインボーと違ってこっちは4曲で終わったが(なんで?)、1曲目の曲名は思い出せなかうったが、「瞳の奥に」「予感」「銀の翼」と、懐かしい世界に浸らせて頂いた。

ネルフェルティ

これはテルズ・シンフォニアのトリビュート・バンドで、平山照継公認を名乗ってるがヴォーカルは本家そのままの徳久恵美さんだし、要は平山さんのいないテルシンといったところ。このバンドだけ寿太郎さんが参加していないが、他の人のアニバーサリー・ライブでもゲスト枠があったりするから、これもそうだと判断。実は生で聴くのが初めての徳久さんの歌声は力強くて深みがあり、やはりキャリアのある人は強いねえと感心。ってか、さっきのスターレスがちょっとだけだったので、今回のメインは最初のレインボーとこのネルフェルティですか?何だか不思議なアニバーサリーやのう…しかもテルシンの昔の曲だけじゃなくて「ネルフェルティとしての」新曲も披露されるし…ところが、この次に意外な展開が待ってたんです。

一通り持ち曲をやり終えてメンバーがステージから退くと、アンコールの手拍子が起こる。ここでこうなるのは不思議な気がしたが、それに応えてメンバー再登場…と思いきや、ベースのちょくらさんがいない。そこでかつては実際にテルシンのメンバーだったこともある寿太郎さんがそのポジションに入るんだけど、ここでまさかの事態が。
もう1人ゲストを呼ぶってことだったんだけど、それがまさかの平山照継!だったのだから場内は驚きと歓喜で一気に沸いた。

ここ何年かの間で体調を崩して表舞台からは遠ざかり、だからノヴェラとして声のかかったイベントに出演することもなく、ファンの誰もが心配していたし、特にファンとは言えない私でさえやはり優れたギタリストであり創作者である平山さんには一目置いていたから、今回のサプライズ出演は本当に嬉しかった。そして寿太郎さんと並んでステージで演奏…数年前のスターレスにゲストで出た時以来となるが、やはりその光景は特別なものとして記憶に残ることとなった。

シェラザード・セルフカバー

さあいよいよこちらを残すのみとなったが、寿太郎さんと堀江さん以外のメンバーは知らされてなかったし、一体どういうメンバーが出てくるのかと思ったが、幕が開いて私は先程のネルフェルティ以上に驚くことになった。ギターにはそのまま平山さんが、そしてヴォーカルにはこれまたまさかの…アンジーさんが!

アンジーさんが前の晩に同じsomaでライブやってたのは既に知ってたし、平山さんも出てきたとなったら、全曲やらないまでも本編ラスト1曲とかアンコールでとか、そういう形で参加するんじゃないかということはある程度予想したが、まさかこのセクション全部がほぼ「本物のシェラザード」になろうとは!
もちろん永川さんは関西に出てきてないから青木さんが代役だったのだが、かつてのオリジナル活動期もキーボード=青方→永川、ドラム=引頭→秋田と入れ替わった中で寿太郎・平山・アンジーの3人は最初から最後まで不動だったのだから、つまりはバンドの中核3人が久しぶりに揃ったわけで…これには本当に驚かされた。
アンジーさんは「平山君と寿太郎君が出会ったことで日本のロックの歴史が大きく動きました。そして僕もそこに加われたことがとても光栄です」と言ってたが、そう、このメンバーがシェラザードとして「ロッキンf」に応募したデモテープが入賞し、デビュー時には寿太郎さんの代わりにヨシロウさんとモックさんが加わって「ノヴェラ」になってたけど、その通り日本のロックを大きく動かしたバンドの中核メンバーがこうしてまた一堂に会している様子は、それだけで感慨深いものがあった。
結局アンコール含めて4曲だけだったが、曲数の問題じゃない、この光景こそが意義のあるものなのだ。
平山さんも何だか年取って小さくなったように見えたが、ギターの方は相変わらずの素晴らしいプレイを聴かせてくれたし、「復帰」という言葉が何度も聞かれたので、それほど精力的なことは期待出来ないにしても、少しずつ音楽活動を再開してくれるのならこんなに嬉しいことはない。永川さんも含めたシェラザードのワンマンライブも久しぶりに見たいし、まだまだ独自の世界を展開して、本当の「ファンタジー・ロック」とは何か、それを見せつけてほしいと思った。

何だか平山さんがクローズアップされてきたが、アンジーさんが勢いで発案したという今回のライブも、こういう機会が提供されたことを考えたら単なる「寿太郎さん、ベース弾いて40年おめでとう」という緩やかなものではなく、日本プログレ史に残る一夜になったと言えるだろう。

今回のレポ、昨日の朝の段階ではどうせ書いてもあっさりでゆるゆるなものになると思ってたが、いざ書いてみたら非常に濃密なものになった。でも今日の方はわかりません。そもそも明日から仕事が忙しくなるので書くのは週末までのおあずけになるかもしれない…と言いつつ、濃い~のを書いてしまうのが私なので、その辺はまあ、焦らずゆっくりお待ち下さい。どうなるかは今日の中身次第です…多分。

先日の矢沢永吉レポにコメント来たと思ったら、こんな内容でした(以下原文そのまま)。


読ませて頂きましたが、文中に「この人」と言うワードが複数回でできますが、矢沢永吉さんを、この人なぞ言う貴方は真のファンではありませんね。
ファンなら敬意を払うべきです。

2016/5/16(月) 午後 8:40 [ ey0*21*665 ]
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ほっとこうかとも思いましたが、精神状態よろしくないゆえ売られた喧嘩は買ってしまいました。


ならば、どういう言葉を選んで使えばよろしいのでしょうか?
私は「このおっさん」とか「このおば…じゃなくてお姉さま」とも書いて、小規模なライブなら出演者ご本人から感想を頂き、それに関して文句があったことは一度もありませんが…?
私は永ちゃん一筋でもないですし、神とあがめてるわけでもありません。人間として尊敬していますが、「この人」がダメならどう書けばよろしいのですか?
そうおっしゃる貴方はブログを開設しておられないようですが、こちらに文句をつけてこられるのなら、ご自身もきっと立派な、完璧な文章を書かれるんでしょうね。
是非ともブログを開設して、手本を示して下さいませ。

2016/5/16(月) 午後 9:05 SUGI-SACK


どういう表現をするのがいいのか?いつも気を遣いながらあちこち手直しして「よし、出来た!」と思った時に公開してますが、それでも後から修正することはよくあります。
しかし、「この人」と書いたところで馬鹿にしてるわけじゃありませんし、それは文章全体を読んで頂ければわかることと思います。
そもそもこの方のおっしゃることに従うなら「矢沢さん」とでも書けば良いのでしょうか?「永ちゃん」と呼んでる人はファン失格ですか?ならライブに来てる大半の皆さんがファン失格になりますよね?

自分でブログも書いてない人に、この手のイチャモンは付けてほしくないですね。

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ファンの皆さんなら一昨年から既にご存知の通り、「Z's」というのは永ちゃんがオーディションで集めた若いメンバーと結成したバンドであり、その目的はキャリアを積むにつれて回ることのなくなってきた地方の小会場でのライブを(しかも平日中心に)開催、都市部の大会場にはなかなか来られないファンと身近に接する機会を設けること…ライブ中のMCでも言ってたけど、「初心に返る」ことに大きな意義があった。
とは言え、本人の年齢や体力を考えたら昔みたいに長期間で多くの会場を回るというのも物理的に困難。その折衷案として、関東と関西では大会場で開催、他の地方みたいに地元優先でなく全国どこからでも申し込めるというやり方を採ったのだった。そして関西はいつもの大阪城ホールではなく、そちらより少し小さめの神戸ワールド記念ホール。しかも関東(幕張)が平日なのに対してこちらは土日。ならこっちに行くしかないということで抽選に申し込み、見事当選したのだった。

さてこの会場は、5年前に浜田省吾のライブに来て以来2回目なんだが、とにかくアクセスが良くない。電車が近くまで行ってくれる分まだいいじゃないかと言われそうだが、いつも大阪城ホールは近くていいなと言ってる私にとっては、まず大阪から三宮までワンステップ多いことに加え、更にそこからポートライナーに乗らなきゃいけないのが結構辛かった。名古屋や東京だったら最初から「遠征」という覚悟が出来るけど、この中途半端に近くて遠い距離は今の私には厳しいものがあった。
実際に来てみればいつも通りの出で立ちのお客さんたちが会場周辺に集まっていつも通りの雰囲気。日産スタジアムや東京ドームみたいに「特別なイベント」でもないから変に騒いでる集団もいない。あと、グッズがいつもより少なかったけど、今更ほしいものも特別ないし、毎回恒例のパンフも今回はなかったのでその分の出費がなくて済んだと思えばまあいいでしょう。

会場に入ったら、私の席はスタンドの最上段。ステージからは遠くなるが、それでも大阪城ホールの同じ条件の席に比べたらまだずっと近い。浜省の時はアリーナだったけど、永ちゃんに関してはこれで15回目だがいまだにアリーナというのはないなあ、面白いくらい。
そして開演までの間にあちこちから「永ちゃんコール」が起こるのもいつも通り。最近は規制がどんどん増えて、これも「後ろを向いてやっちゃダメ」と規定されるようになったが…そこまで厳しくしなくてもいいのになあ、というのは個人的な感想。これがなきゃ永ちゃんのライブに来た気がしないのにねえ?
そして開演時間が迫るにつれてコールもどんどん大きくなり、やがて場内が暗転、定刻通りに開演した。

若いメンバーを集めたバンドということで、もっと小人数のシンプルな編成を想像していたが、ギターは2人だし途中でサックスも加わる場面もあるし、更にはキーボードもいたりで、結局はいつものライブでの編成からコーラス隊やらホーン・セクションを抜いただけ、みたいな。いや他の地方でどうだったかは知らないが、これじゃいつもとそんなに違わないじゃない?みたいな。ついでに言わせてもらえば楽器の数は同じなのに音圧が全然違う。毎回メンバーの入れ替わりはあっても、欧米人のリズム隊とサックス、キャリアも実力も折り紙付きのギターとキーボードが揃う年末恒例のツアーのメンバーに比べたら、やはりその辺でキャリアの差が出るのかなと思った。いやもちろん永ちゃんが選んだメンバーだから腕に申し分はないのだが、永ちゃんの圧倒的な声量と存在感を支えるには弱いのかな~という気がした。それを考えたら恭司さんやトシさん、ジェフ・ダグモアたちは凄いんだなと改めて思ったり。

そして、やる曲の方も何とまあ渋いところばかりで、「さまよい」「闇を抜けて」「気ままなロックンローラー」「ゴールド・ラッシュ」「雨のハイウェイ」「真っ赤なフィアット」「グッド・タイム・チャーリー」「天使たちの場所」という、以前オールタイム・ベストを出した年のツアーみたいな初心者にも優しいセットリストではなく、まさに上級編というか、オリジナルアルバムは一通り持ってる私でもあまり重点的に聴いていないような曲がほとんど。これも「普段あまりやってない曲を重点的にやる」というコンセプトからのようだが、途中まで結構戸惑いましたよ、私は。

途中で何回かMCが何回か入るのもいつも通りだが、「何だか皆さん静かに聞いてるね」…って、そりゃファンクラブが「MC中の野次はやめて下さい」とか規制するからでしょ、とツッコミの一つも入れたくなったが、昔はMCもほとんどなしで「OK、ヨロシク」だけでワーッとなったりしてたとのこと。そっか、年取って話が長くなってきたのは井上陽水や山下達郎だけじゃなかったのね(笑)。
で、今回のツアー初日が熊本で、そちらのライブが凄く良かったものだからその晩に起きた大地震のことで悩み、一時は「このままツアーを続けて良いものか?」とも思ったそうだが、「こんな時だからこそ最後までハッピーにやってほしい」という多くのファンからの声に押されてここまで来たという話も。浜省をここで見た時、彼は「震災から立ち直った神戸から、東北に向けてエールを贈る」というメッセージをここかしこで発していたが、永ちゃんはそこまで言葉にしなくてもひたすら熱唱することで示す、といったところだろうか?それもまたこの人らしさだろう。

それからも「NO NO NO」「傘」「居場所」「SORRY…」「ひとりぼっちのハイウェイ」と渋い選曲が続き、「レディ・セブンティーン」「0時5分の最終列車」「二人だけ」という、キャロル3連発。この後のMCで「ジョニー大倉はスウィートないい歌詞を作ってくれたね」と、故人をたたえる言葉が。亡くなった当時の対応には冷淡さを感じてそれを疑問にも思ったものだが、今になってそういう発言が出てきたのは感慨深いものがあった。
その前後のMCでもいろいろ面白いものがあったんだけど、こればかりはその場にいないと面白さが伝わらないので割愛。

そしてラストスパート、「Oh!ラヴシック」「M3/4」の後に「I LOVE YOU,OK」が来た時は「おお、これが聴きたかったんだよこれが!」となった。で、本編ラストは「What Do You Want?」とまたもや渋いとこで終わった。

そしてアンコール。「カモン・ベイビー」「古いラヴ・レター」「サイコーなRock You!」と続き、ここでメインステージからの花道を抜けてバンドのメンバーとともに立ったセンターステージがせり上がるという演出も。東京ドームの時みたいにそれが宙を舞うことはなかったが、レーザー光線が飛び交って、この日一番の演出となった。それまでにも火柱が上がったりもしたが、この人のライブにはそんなに派手な演出もないし、それ以上に歌で惹きつけてくれるからいいでしょう。
そして最後の最後は「止まらないHa~Ha」。やっぱりね、タオルの舞う場面がないとこの人のライブは終われませんよ。そしてもう一発あれやるか?と思ったが、そこで全編が終了した。

…同じ関西でありながらいつもと違う会場、手練れを集めたいつもの編成でなく若いメンバーばかりのバンド、そして定番を外しまくった選曲と、何から何まで異色ずくめで、3年目にして初めて体験する「Z's」としてのライブは戸惑いの連発だった。でも、築き上げた地位に安堵することなくチャレンジする姿勢は素晴らしいし、それさえあればこの人のキャリアはまだまだ続いていくと確信した。

あ!最後に一つ、心残りが。いつも通り「美味いビール飲んで帰ってね」と言われたのに、昨日は帰って寝るまで全く飲んでない!…まあ、たまにはそんな日があってもいいでしょう。

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基本、ブートには手を出さない主義の私ですが、通常の正規ライブアルバムよりも発掘ものの方が惹かれるんですよね~。元はブートで出回ってたものも多いようですが。
「まさか、あの時代のあの公演が!」というワクワク感と、あんまり手直ししてない(恐らく)分、リアルさもダイレクトに伝わってくるからでしょうね。

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もちろん、これらだけじゃありません。
ロニー&コージー在籍時のドイツ4公演を2枚組にまとめたものと、その内3公演をフル収録した6枚組もありますよ~。

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私はライブレポートとかCDレビューとか、音楽関係の文章を多数書いてきてますが、文体がかなり独特でしょ?音楽以外に関してもそうですけど…
音楽やってる人なら、誰でも「この人に影響を受けた」っていうのがあるはずですが、楽器を諦めた私にはそういう話をしようがありません。でも、そこそこ好評な?文章についてなら言いようがあるかも。

というわけで、私が独自の文体を確立するのに影響されたのは、音楽ライターのどなたでもなく、ホラー作家で神仏や民間伝承に関するエッセイも多く残している、加門七海さんなんです。

ハード・ロック/ヘヴィ・メタルについて書くことが多いけど、「BURRN!」関係者諸氏の真似にしたくない、というのがまず頭にあります。こっち方面のファン以外の人が読んでもわかりやすい文章にするために、まず横文字は極力使わずに平たい言葉を選んで書く。だってあの雑誌の文章読んでたら、「こんなややこしい横文字言葉使わなくても、日本語で○○って書いたら済むことやんか」と思うことが多数ありますので。
それから、小野島・山崎・今泉あたりとは主張が相反するから最初から違ったものを目指してるし、大野さんは尊敬してるけど真似するのは違うだろうと思うし…

そんな私は音楽のみならず歴史や寺社・古美術について書くことも多いので、そっち方面のいろんな人の文章を読んでいった中で、加門さんの存在が目に留まったんですね。

小説ではスリリングでおどろおどろしい文章ですが、エッセイでは豊富な知識を駆使し、なおかつユーモアたっぷりの軽妙な文体で神仏やオカルトな事物に対しても親しみやすく読める…
彼女のエッセイを読んで、「やりたかったことを先にやられた!」という思いがあったんですよ。
だから、そっち方面のことを書いたって「加門七海の真似やん」と言われるのは回避出来ないだろうし、それなら音楽関係で同様のことをやればいいか、と思って今の私の文体が出来上がってきたんです。

確かにいろいろ読んでたら影響も受けるし、それは否定しません。でも「自分が持てる知識をありったけに駆使し、かつ読む人が入り込みやすいようにユーモア(のつもり)も交える」というスタンスが共通してるから「手本」にしてるだけであって、「真似」ではないんですよ。この違い、わかって下さいね。

そんなわけで、加門七海さんがどういう文章を書くのか興味のある方、写真の「うわさの神仏」あたりから読んでみることをおすすめします。それで私の言わんとしていることがわかって頂ければ幸いかなと。

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はあ~、非常に充実した一夜でございました。

一夜っていうか、GWに入って(いや、その前の週から)今回の会場であるBIG JACKに通う頻度が非常に高かった。まずは「足立祐二毒演会」があったわけだし、GWに入ってからもMUTHAS PRIDE、5月の方の3連休初日は梶山章プロジェクトであるKing Armed Pentagon、そして1日空けてこちら、だからね~。

前の日から思いっきり体調を崩し、その余波がこの日の朝まで続いたから心配してたんだけど、午後には持ち直したのでどうにか出かけることが出来た。
受付では言葉にこそ出さなかったけど「また来ましたね」ってな顔されてたし、お客さんでも毒演会以外では毎回見かけた顔ぶれも。自身もオルガンを弾く方々が数名、そして開演前の場内に流れるは第1期ディープ・パープル…と、既に何やら独特の雰囲気が。
私は後方に用意された椅子に陣取ったが、開演近くなると更に多くの椅子が出され、私は下手側ステージ前(つまり岡垣さんの真ん前)へと移動、やがて開演となった。

まずはここ特有の前説。今回は主催者で主役でずっと出ずっぱりの岡垣さんが「鍵盤楽器とは」という話を。同じ鍵盤を押す楽器でもピアノは弦を叩く弦楽器で、パイプオルガンは長いパイプを空気の振動で鳴らす管楽器であるという話からだったが、きちんと答えてた三谷さんに対し、とんちんかんなことを言ったのは私です(笑)。
…この辺の話だけで長くなりそうなので、さっそくライブの方に行きます!

JILL'S PROJECT-osk

岡垣正志:Keyboards
三宅庸介:Guitars
千田忠彦:Vocals
杉森俊幸:Bass
星山哲也:Drums
このバンドはメンバー構成によっていろんなバージョンがあり、それによって「EX」「Z」「D」が付くんだけど、今回は大阪限定ということで「osk」。いつもと最大の違いはベースがアニカツこと関勝美さんじゃないこと…もそうなのだが、今回のテーマにふさわしく、ギターが岡垣さんとはTERRA ROSAで一緒だった三宅さんであること。実はこの人がセッション以外の、岡垣さんの「今の」音楽を一緒にやるというのは珍しいとは三宅さんご本人談ではあったが、厳密には「CREATURE 3」で自身のソロアルバムに「TERRA ROSA集合!」させた2曲に岡垣さんそして赤尾さんを招いたことはあったにせよ、確かにパープルやなんかをやるセッション以外で見かけるのは珍しい。

で、まずは序曲で引っ張って、それから聴き慣れたイントロが流れて幕が開き、メンバーが姿を現す。まずはイントロから想像された通りの「REACH OUT FOR SOMETHING」で、千田さんが登場して歌に入るんだけど、最近三谷さんのEMERALD AISLESで見る機会が多いとは言え、このバンドでは久しぶり。いつもの太くてパワフルな歌声が圧倒的。そして間奏でギターとオルガンのバトルになるが、自身がメインのトリオ「STRANGE,BEAUTIFUL and LOUD」ではジミヘン的な色の濃いプレイが身上の三宅さんがそちらと全く違う様式美色の強いプレイをしてるのが興味深かった。岡垣さんと組むと自然とそうなるのだろうか?ただ、イングヴェイ以降のネオ・クラシカルなギターではなく70年代レインボー的な、でもリッチーのようではない(この辺のニュアンスわかるかな?)独自のプレイが光を放っていた。もちろん岡垣さんのオルガンもいつも通り、いやいつもに増しての迫力だった。
その後は「I HAVE THE SHAKES」「HEAVY RAIN SHEDS BLOOD」と重厚な曲が続くが、どちらも終盤で弾きまくる三宅さんが見事。アップテンポの「NAKED EARTH」を挟んでこれまた大作の「CRAZY ME」が来るんだけど、これだけ重厚長大な曲が連発されるのはこのバンドならではだし、他ではなかなかお目に(耳に)かかれないものだ。こういうことをやってくれるバンドというのは日本、いや世界でもなかなか類を見ないものだろう。
さてその後はTERRA ROSAのインスト曲「FATIMA」という意外な展開から、メドレーでコージー・パウエルの1stソロからゲイリー・ムーアがギターを弾いた「KILLER」へ続くという、これまた意外な展開。様式美とはやや距離を置くこういう曲もやれてしまうのがこのメンバーの懐の深さと言うべきか。そして岡垣さんの鍵盤のみをバックに千田さんが歌う第3期パープル「SOLDIER OF FORTUNE」からホワイトスネイク「CRYING IN THE RAIN」というメドレーは、恐らく千田さんの歌唱をクローズアップするために用意されたのだろう。今の本家には出せないであろう(あーあ、言っちゃった)迫力そして深みのある歌唱が見事。
そしてラストは「UPSURGE. UPCONSCIOUS.」で盛り上げて第1部終了となるんだけど、ここまでで約1時間半…メドレーを1曲と数えたら、8曲しかやってないんですよ。それらを分割しても10曲、もうどれだけ濃いかわかりますか?女性ヴォーカルでポップな歌メロに変拍子を隠し味に用いたAPHRODITEでも引っ張る曲があったりして長くなるけど、元が長めの曲に演奏も熱がこもったら更に長くなり、この通りの結果に。まあとにかく、それだけ聴きごたえたっぷりということでございました。

…その後は幕が閉じられて転換して次のセクションにという普通の流れにはならず、まずは岡垣さんが1人でオルガンの仕組みの解説を。普通に「ド」の音を押しても上の方のつまみ(名前覚えてない)を操作することでオクターブが変わったり、「ド」が「ソ」や「ミ」になるという話、等々。それから先程熱演を済ませた三宅さんと、次に登場の梶山さんを呼び込んでストラトキャスターに関する話も聞けるが、2人のギタリストが影響を受けた人で意外な人たちの名前が出てきたことやら、ストラトは低音が弱いから補強のためにピックアップをハムバッカーにすることもあるけど、やはりシングルコイルの音が良いとか、まあ大筋はそんな感じだったかと。確かにリッチーもジョン・ロードが相方だったおかげで低音の弱さをオルガンで補強してたよね。だからメンバーチェンジの激しかったレインボーでも鍵盤奏者は欠かさなかったんだけど、どなたさんもシンセ比率が高くてジョンほどに低音の補強には貢献出来てなかったようで…という話をし出すと、こちらも長くなって1回で収まらないからこの辺にしときます。皆さんのお話も熱が入ってこのままだと一晩中話してそうな感じになってたし、まあそれと同じです(笑)。

WHO DO WE THINK WE ARE

岡垣正志:Keyboards
梶山章:Guitars
濱哲哉:Vocals
宇都宮清志:Bass
星山哲也:Drums
岡垣さんと星山さん以外は入れ替わり、2日前にもここで演奏した梶山さん、今はTRIBAL SOULで歌ってる濱さん、そしてこういうとこに呼ばれる頻度の高い、手堅さに定評のある宇都宮レオさんに。今回の目玉である梶山さんが岡垣さんと共演するのは98年の虹伝説のアルバム以来…ライブではもっと前の「PURP DEEPLE」以来じゃないか?私はそっちを見たことがないが、元基さんが歌ってたんだよね?あの人は超絶なシンガーだけど、パープル楽曲に合ってるかと言えばちょっと違うかな?いやもちろん凄いんですよ。ただ、ツェッペリンやハンブル・パイあたりのもっとブルージーな方が持ち味を発揮するタイプだし、濱さんがパープルを歌うのも何度も聴いてるけど、この人もなかなかいい感じなのはよく知ってるから、期待はしていいものと思われた。実際には期待以上だったんだけどね。
まずはベタな「HIGHWAY STAR」から始まるが、岡垣さん、そして梶山さんのプレイは物凄く、更には「徐々にテンションが上がっていくのもこの曲のミソ」であり、その鍵を握る星山さんのイアン・ペイスぶりも見事そのもの。続く「SPEED KING」も同様。
で、よく「日本のリッチー」の代表格と言われる梶山さんだけど、確かに通じるものはあります。でも音色やフレージング等にはっきりした個性があり、ただの真似ではない。これは力説しておきたい。

ここで岡垣さん、「様式美大作戦なんて言ってますけど、第2期パープルなんて様式美じゃありませんから。フリーフォームのジャズバンドに近いです」…これ、私が今書いてるレポで突っ込もうと思ってたのに、先に言われちゃいました。やはりやってる方の人はわかっていらっしゃる。そう、乱暴な分け方をすれば、1期=サイケ、2期=ジャズ、3期=ブルース、4期=ファンクなわけで、私が浪人の頃にカシオペアに第2期パープルと同じ匂いを感じ、「カシオペアってパープルの影響受けたんちゃうか?」と言って「それはお前おかしいやろ」言われたが、野呂さんがアマチュア時代にパープルのコピーをやってたというのは後で知ったことながら、どちらも根っこが同じという点ではあながち間違ってはいなかったなと。

また無駄話が長くなるのでライブの話に戻るけど、次は「CHILD IN TIME」。濱さんの声がどこまで出るのか?が気がかりだったがよく出てたし、岡垣さんと梶山さんのプレイは、2人が一緒に演奏した96年のトリビュート・アルバム(歌は現アンセムの森川さん)でのものに迫る、いやそれ以上だったかもしれない。レオさんのベース・ランニング、星山さんの場面転換に沿ったドラムも見事。

続く2曲は第1期から。まずはインストの「AND THE ADDRESS」、続いて「MANDRAKE ROOT」。後者の後半部分が第2期で「SPACE TRUCKIN'」に流用されたのは皆さん聴いておわかりと思うが、ついでに言えば今はAPHRODITEの「EDGE OF THE WORLD」にも。まあ、サイケデリックで第2期以降とは別バンドと言われることの多い1期だけど、それ以降に通じる部分も多いし、本当にパープルが好きな人は1期も好きになって当然と思うけどいかがですかな?

「あっという間に残り2曲となりました」って、まだ5曲しかやってないのに、この辺もパープル・セッションならではやね~。ということで続くは「FIREBALL」。ギターソロのない曲だが、その分レオさんのベースソロが聴けるという特典も。そして最後は「BURN」。結果的に3期からは唯一の選曲になったが、いろんな人たちがやってるのをいろんなとこで聴いてるとは言え、その完成度は抜群だった。さすがこのメンバーだからこそ。ということで本編は終了。

アンコール、1曲目はまさかの「KILL THE KING」…っておいおい、それはレインボーでしょというツッコミはともかく、素晴らしかったから文句はなし(笑)。そして最後は三宅さんも呼び込まれての「HUSH」。オルガンが主役で、岡垣さんが面目躍如とばかりに弾きまくり、元々ギターソロはないのだが、2人のギタリストが独自の解釈でソロを入れて、それがまた圧巻!そして唖然とするしかない状況の中、ついに全編が終わった。

…こちらのセクションも9曲で約1時間半と、非常に濃かった。4年前に半分くらいX-RAYの曲だった時、2年前に1時間くらいやった時も良かったんだけど、やはり個人的に消化不良だったのは否めない。その点、今回は本当に満足出来た。まさしく「これが聴きたかったんだ」というところ。

次の日は仕事だし、すっかり遅くなってたから私は出演者の方々にほとんど挨拶する間もなくさっさと帰ってしまったんだけど、でも非常に充実した内容で心から満足出来た。またこういう機会があったらいいなと思いながら1日どうにか仕事をこなし、帰宅してすぐは厳しかったからひと寝入りしてこれを書いたんだけど、いかがなもんでしょうか?無駄話が多いとか細部が間違ってるとかあると思うけど、まあこんなとこでご容赦下さいませ。

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「恵比寿天」って、明らかに間違っとるやろ。
毘沙門天・弁財天はインドの神々そのままだから「天」が付くのは正しい。大黒天も日本風にアレンジされてるけど元はインド発祥だからこれも正しい。
でも恵比寿様は純然たる日本の神様。だから「天」を付けるのは間違い。
駅のポスターだからってこの間違いは恥ずかしいぞ。

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昨日はMUTHAS PRIDEのレコ発ライブということで、待ち焦がれてた日がついに来たという感じだった。思えばバンドがスタートしてからの年月も結構なものになっており、その間にメンバーも次々入れ替わってきたため、もう8年前になるようだが当時制作を進めていたアルバムも完成せず、やむなくミニアルバムという形での発表となったのだった。私がこのバンドのライブに行き始めた頃のヴォーカルはMIKOTOさんだったのだが、彼女は無料配布音源を残しただけで脱退、それからしばらくバンドの動きも止まっていたように思うが、まさかの南さん…そう、HURRY SCUARYの南安秀というキャリア・実力ともに十分な強者の加入で再びバンドは勢いづいて活動も安定、そして待望久しいフルアルバム制作、そしてついにそれが完成し、今回とうとう会場で先行発売という日を迎えたのだった。
考えてみたら南さんってHURRY SCUARYの88年発表のフルアルバムからこっち、細切れの音源しかなかったはずだし、リーダーの筒井さんもMARINOがまだ「魔里乃」表記だった頃に脱退してるからあのバンドのデビュー当時にはいなかったわけだし、その後もセッション参加した作品がちらほらあるくらいで、「きちんとしたバンドの」「フルアルバム」は出してなかったんじゃないか?その辺も考えたら今回のアルバムがどれほど切望されてたかは推して知るべし。

今回は3バンド共演だったので、最初のバンドから書いていこう。

Crystal Arrow

今回出演のバンドは3つとも鍵盤入り5人編成で、しかも前2バンドは女性ヴォーカルだったのだが、まずはこのバンド、ある人が猛プッシュしてたのでどんな感じか非常に楽しみだった。で、これがまた凄く良かった。歌も演奏も聴きごたえ十分で、楽曲の良さも光ってた。演奏の上手さと一体感、そして何と言っても歌声が魅力的で、これなかなか掘り出し物じゃない?今はアルバム制作中らしいけど、そっちも楽しみになってきた。

Mitty & Foolish Boys

こちらはDream Chaserが活動停止中のためヴォーカルのMittyさんが元X-RAY等のベテラン鍵盤奏者である藤井さんたちと結成したバンドなのだが、ギタリストが脱退→後任も休業で現在そのポジションが安定しないために、何とEBONY EYES EXCELLENTの清水さんをサポートに迎えてという、なかなかに豪華な編成。同年代で和気藹々?とやってた感のあったドリチェとは違った緊張感が漂い、みっちゃん…おっと、Mittyさんの歌もいつもに増してハイテンションだった。

MUTHAS PRIDE

そしていよいよ真打登場なんだけど、毎度のことながら歌も演奏も非常に安定感があるし、今回はそれに加えてレコ発ライブということもあってかいつも以上に気迫が伝わってきた。南さんの歌声はさすがの迫力と表現力だし、どちらかと言えば静的なイメージの筒井さんも派手なアクションなしで落ち着いたたたずまいなのはいつものことながら、歌やギターを引き立てる人というそれまでのイメージだけでなく、今回はオルガンの音も結構前に出ていて、ソロ等の見せ場もいつもと同じくらいのバランスのはずなのに随所で「おおっ」と唸らされる場面があり、改めてそのキャリアに裏打ちされた実力を思い知った。
南さんのMCは毎度のことながら面白く、それとは裏腹に歌詞はメッセージ性の強いものが多くてその説明の真剣さのギャップがなかなか。
で、リズム隊の働きもなかなか良かったんだけど、ここで特筆しておきたいのはギターのRonnyこと永守さんのこと。かつては44MAGNUMやMARINOに在籍しながらメジャーデビューに至るまでの早い段階で脱退してしまったために、より華やかだったりやたら存在感があったりする後任たちが脚光を浴びたことで割を食ってしまった感がある。確かに寡黙だしたたずまいに派手さもないものの、腕は彼らに劣るものではないし、手堅い上に楽曲の良さを最大限に生かす感覚はもっと評価されていいと思う。
バンド全体としても伝統的で古典的な音楽性のために聴衆もそれなりの年齢層だったが、若い人たちにも「今はこれが新鮮」と注目してもらえたらいいなと思うのであった。

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で、これが今回先行発売のフルアルバム。待望久しかった分、その期待を裏切らないさすがの内容で、DEEP PURPLEやRAINBOW、URIAH HEEPあたりの好きな人にはあちこちでツボを突いてくる、なかなかの好作品です。比較的若いリズム隊が底辺を支え、全体的には落ち着いていながら時にスリリングに展開する筒井さんのオルガンと永守さんのギター、そして独自のカラーを持ち込んだ南さんの歌と、全てにおいて聴きごたえは十分。もっとキャリアの長い(つっても活動してない期間も長いけど)紫がもうじき新作も出るということで期待が高まってるけど、そんな離れ小島(おっとっと)のバンドより先にまず関西にこれだけ素晴らしいバンドがあるってことに注目してみましょうよ。今回のライブに来れなかった人も、今月中旬からは一般発売されるので是非!一人でも多くの人に聴いてほしい、そんな作品なのです。

ご覧の通り、終演後に全員からサイン頂いたわけですが…南さん、「To ブログ王」って…そんな大層なもんじゃありませんから(笑)。

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