2016年01月

いろいろとゴタゴタ続きで心身の調子が思わしくありません。
そんな中でもライブ行ったらレポも書いたりするんですが、しばらくはその予定もなかったり。
なのでまた当分何も書かないと思いますが、気長にお待ち下さい。

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さてお馴染み、昨日のレポですが、これまたお馴染みの注意事項…1回でもこのツアー中に行かれる方は読まないで下さい。昨年末までとは微妙に変えてるけど基本的に1ツアー中は同じセットリストで通すため、ご本人がネタバレを極度に嫌がっておられますので。なら書かなくてええやん言われそうですが、やはり行きたくても行けない方も多いことを考えたらこういうことになりました。

そもそも今回は期待半分、不安半分といったところであった。期待半分は既に得ている情報から、デビュー40周年にふさわしいベスト選曲であることだったのだが、不安半分はご存知の通り年末の岩手で声が思うように出なくなって中断、そのまま振替公演ということになったために「今回も大丈夫か?」ということと、私自身が人生初のインフルエンザにかかって先週後半ダウンしていたために、果たしてこちらも最後まで無事でいられるだろうか?ということだった。

まあ、私の方はどうにか回復基調にあったために神戸までの遠路?にも耐えられたのだが、それでも不安は拭い去れないまま入場待ちすることに。前回のツアーから本人確認書類で照合という面倒くさいことが始まってたが無事通過、立派なパンフを購入するために再び長蛇の列に並んで思いのほか早くに購入出来た。これも毎回書いてるけど、本当にこの人のパンフは立派です。エレカシが3500円もしたのにただの写真集だったのに対し、2600円でインタビューや経歴、ディスコグラフィ等の詳細な記事が掲載されており、これは「僕のパンフに写真いっぱい載せても誰も喜びませんから」ということかららしいけど、それにしても近年珍しい優れものの手の込んだ内容なのでそれは特筆したい。

さてキャパ2千人ちょっとという大して大きくもない会場はどんどん埋まっていき、開演前には満席の状態。大阪城ホールみたいな大きなとこでやったら本数も少なくて済むのにと思うが、その辺は後ほど書く通りにご本人のこだわりがあるからで。ということで定刻となり、諸注意のアナウンスが流れて開演となった。

まずはお馴染み「SPARKLE」から。短縮バージョンなのもお馴染みだが、相変わらず歌声は素晴らしく、その声量と声の張り・艶に驚かされる。もうここで背筋がゾクソクきていた。私は前回のツアーをすっ飛ばしていたが、定番曲を避けて長いことやらなかった曲にスポットを当てたという前回とは異なり、「DAYDREAM」「WINDY LADY」という美味しい選曲。そしてデビューした当時所属のバンドであるシュガーベイブの代表曲「DOWN TOWN」…これは本当に美味しいぞ。

ここで最初のMCが入るが、270曲以上のオリジナル曲を作ってきたら長いことやってない曲も出てくるわけで、前回はそういう曲を一挙放出するために敢えてへそ曲がりな選曲でやった(本当はライブハウスツアーをやりたかったが諸事情により不可能になったという事情もある)のだが、それでもまだまだ日の目を見てない曲が多いし、昔のツアーの意味合いはアルバムを発表してそのプロモーションだったために新作からの曲をメインにして他はそれ以前の代表曲を選んでいったらどんどん「ツアー中1回しかやってない曲」が増えたために、ここからはそういう、シングルでありながら滅多に披露してこなかった曲をやるとのことだった。40周年なのでシュガーベイブの曲もどんどんやり、辛気臭い曲はやらずに明るく、というのもテーマだとか。

そして歌われた「土曜日の恋人」は本ツアーが初披露というのも意外だったが、続く「ENDLESS GAME」は辛気臭い曲やん…でも私が大好きな曲なので嬉しかったし、再び聴きながらゾクゾクする感覚を味わった。「風の回廊」に続いてシュガーベイブ時代の「すてきなメロディー」、これはもう1人の歌い手として同バンドの両翼を担っていた大貫妙子とデュエットした曲なのだが、彼女のパートはコーラス隊の1人…今回から3人の内の女性陣2人が入れ替わっていたのだが、その片方が担当していた。
そう、ドラムが青山純(既に故人)から小笠原拓海に、サックスが土岐英史から宮里陽太へと交替して若返りが図られていたのだが、ついに国分友里恵さんたちもお役御免となり、「おかげで平均年齢がグッと下がりました」とのこと。
それから達郎自身がセットに腰かけてアコギを弾きながらの「過ぎ去りし日々」に続いてはカバー曲のコーナーだが、それまで誰もやらないようなへそ曲がりな選曲でやってきたが今回はおもくそベタな「CAN'T TAKE MY EYES OFF YOU」だった。そして決して明るくない世間の情勢を鑑みて歌うということでの「DANCER」、唯一の重い歌詞の曲で異彩を放っていたが、演奏陣のバトルもたっぷり味わえて聴きごたえたっぷり。奥さん(竹内まりや)のライブでは達郎含む全員がごっそりバックで演奏するのだが、そちらでは難波弘之・柴田俊文のキーボード2人や佐橋佳幸のギター、伊藤広規のベースが活躍する場面もなく歌のバッキングに徹しているのに対し、こちらでは皆さんの見せ場もあるから、やはりほとんど同じメンバーでありながら両者のライブというか音楽の性質は全く異なると言って良いだろう。

ここからは1人アカペラのコーナーで「CHAPEL OF DREAMS」「おやすみロージー」「ANGEL」と続いた後、達郎と言えばこれ!という人が多いであろう「クリスマス・イブ」。そこからは「希望という名の光」「さよなら夏の日」というこれまたベタな選曲が続き、またもシュガーベイブの「SUGAR」。ここでは佐橋さんと達郎のギター・バトルも聴けた。
そしてその後がまさかの「BOMBER」。浪人中に編集もののミュージック・テープで愛聴していたが、それと全く変わらない歌声が聴けたのはまさに驚きで、つまり発表された78年当時と全く変わらないってどういうこと?みたいな。キーも落としてないらしいし。伊藤さんのベースや小笠原氏のドラムの見せ場もあり、そちらも圧巻だった。
さあその後はこれもド定番の「LET'S DANCE BABY」。ここから立ち上がる人が増え、♪心臓に指鉄砲~では一斉にクラッカーが。私は持ってこなかったけど(笑)。終盤では亡くなった大瀧詠一の名曲の数々も織り込まれ、ラストは引っ張る引っ張る。そして「アトムの子」で本編は終了した。

そしてアンコール。「HAPPY HAPPY GREETING」に始まって、こちらもお馴染み「RIDE ON TIME」。終盤ではステージセットの足場の高いところに上がって、マイクなしで圧倒的な歌声を轟かせた。これは私が予備校で同じクラスだった奴が「達郎ライブの警備のバイトやった時に、あれでびっくりした」言うてたが、まさかそれから30年経った今も同じことをやってると聞いたら彼はどんな顔をするだろう。それから「恋のブギウギ・トレイン」で最後の挨拶をして、基本アカペラでサックスのソロが入るのみの簡略化バージョンの「YOUR EYES」で全編が終わった。

若干駆け足(でもない?)でのレポになったが、しめて3時間15分、先日のエレカシと同じだがあちらのように本編2部構成ではなくぶっ続け、それでも私が1度もトイレに中座することもなかったのはやはり歌声が生理現象を止めてしまうほどの力を持っているということだろう。
ステージセットもそれなりに立派で要所要所では照明が凝ってたりしたが基本は歌と演奏で聴かせるシンプルな構成で、それだけでこの長丁場を一気に聴かせてしまうのはやはり歌声、演奏、そして楽曲そのものの力だ。今時の演出第一な連中には出来ないであろう。これもまさに「本物」の証明なのだ。

この人の売りといえばMCもだが、自身のルーツになった黒人音楽の話はマニアックすぎて私には理解しきれなかったし、他には危ない発言も相変わらず多いからそこは割愛せざるを得ない。だが、印象に残ったものを幾つか紹介してみる。

「僕も60過ぎて、あと2年少しで年金がもらえるんですが、最近はあの曲やってとか、この曲はやるなとかよく聞きますが、この年になると聞く耳を持たなくなります。だから好きなようにしかやりません」

「岩手で声が出なくなって、低音やファルセットは問題ないけど、ある一定の高さが出なくなりました。痰が絡んでいるような状態でこのまま続けられないから中断したんですが、次の日の青森では何ともなかった。東京で医者に診てもらっても異常はなく、空気が乾燥してたのと事務所の働かせすぎが原因でしょう」

「僕の音楽は所詮サブカルチャーですから、大きな会場でやっても似合いません。だからこういう小さいとこでやるんです。口パクも出来なきゃプロンプター使ってもわかるし、ごまかし効かないから全て人力でやってます。大きなとこでやったら本数も少なくなるし効率はいいけど、僕自身いろんな人のライブも行く立場から言わせてもらえば、歌ってる人が豆粒くらいにしか見えなくてスクリーンにアップしてても、そんなのライブとは言えませんよ」

「ライブってのは一期一会だと思うんです。もう『クリスマス・イブ』やるなって常連さんの声もありますけど、ベテラン歌手のライブ行って代表曲やヒット曲やらなかったらがっかりするでしょ?初めての人や一見さんが『クリスマス・イブ』聴けなかったらそうだと思うんです。常連さんは何度も聴いて飽きてるでしょうけど、そういう人たちのために5分くらい我慢して下さいよ。ということで、これからも『クリスマス・イブ』は歌い続けます」

…細かい部分はうろ覚えで話した内容そのままじゃないけど、大筋はこんな感じだったと思う。そして何より、「あと何年歌い続けられるかわかりませんが、三波春夫さんが72歳で最高のライブやってくれたのを見てますから、そこまでは頑張りたいと思います」というのが心強かった。何年もアルバム制作やライブが思うように出来なかった時期もあったようだが、今はコンスタントにツアーをやってるし、回を追うごとに声の出が良くなってるように思う。
「ファンの皆さんも平均年齢が上がってますから、目とか肩とか腰とかいろんなとこに不調が出てくると思います。でもお互い気を付けて、またライブでお会いしましょう」
…おあとがよろしいようで。

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これはエレファントカシマシのライブのパンフからなんですが…

同じことをグラハムやジョーがやってたら、問答無用で即刻クビだったろうな(笑)。

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3連休ライブ3連チャンのラストは西九条ブランニューだったんだけど、今回レポ書くのどうしようか非常に迷ったんです。だってMASTERMINDのレコ発だってのに主役の出番を待たずして帰っちゃったんだから、主役を見てないライブのレポ書くのってフェアじゃないように思うし…それでもメインアクト+オープニングアクト2組じゃなくてスリーマンだから3組対等っちゅうことで頭2組たっぷり堪能したからいいよね?と自分を納得させて「書く」と決めたのであった。

そもそも京都でのFINAL FIGHT PROJECTに続いてエレカシだったし、それだけでも濃い~2連チャンだったから昨日どうするかはエレカシ終わってからの体調次第ということで考えてたんです。思いのほか終演後の調子は悪くなかったというかむしろ気分良かったので、その勢いでチケット買ったんですね。ちゅうことでほくほくしながらその晩は眠りに就いたのですが…
昨日の朝にレポ書いてからが大変だったんです。
朝早くに書いたもんだから晩に備えてもうちょっと寝るか、と思ったら「この時間帯に」と思ったあたりに眠れず、変な時間に寝落ちして、最終的に目が覚めたらそろそろ出て晩飯食べないと開演に間に合わないくらいになってたんで、慌てて準備して出発したのであった。

まあそれでも着いてしまえば開場時間にもまだ余裕があるくらいだった。なので心にも余裕が出来、これなら3バンド楽しんで帰れるな、と思ったんですね。少なくともこの時は。
ちゅうことでワクワクしながら開演時間と相成った。

EMERALD AISLES

ギタリスト・三谷哲也率いるこのバンドは、度重なるメンバーチェンジや活動が不規則になったりというアクシデントを乗り越えながらも今、非常に充実した状態にあるように思える。三谷さん以外のメンバーは全員他に本業のバンドがあるとは言え、今のラインナップでもうかれこれ1年以上になり、一体感も非常に強力なものであると感じられた。特にヴォーカルの千田忠彦はDEAD EYED SPIDERやJILL'S PROJECT-EXで聴くことの出来た野太い声でのパワフルな歌唱が素晴らしく、今まで何人も入れ替わってきたヴォーカルの中では三谷さんのギターとの相性も最高じゃないかと思えた。
そして主役の三谷さんだが、よくあるイングヴェイ系ネオ・クラシカルでひとくくりにされがちだが、明らかに他の速弾きギタリストとは違った個性を持っている。確かにイングヴェイの影響は否定出来ないしご本人も認めてるというかむしろ開き直っているが、荒々しくて力強く熱のこもったプレイは他の小綺麗なだけでロックを感じさせないギタリストたちとは完全に一線を画している。だから綺麗声のヴォーカルよりも千田さんみたいな野太い歌声が合うのだろう。
リズム隊の働きも良く、フロントの2人を見事にバックアップしている。
約50分のステージ、たっぷり満喫することが出来た。
近年少なくなったタイプの音楽そしてバンドではあるが、これからもブレずにこの調子で続けていってほしいと感じた。

APHRODITE

バンドが始動して以来、1回(被りのため)欠席した以外は関西でのライブはほぼ皆勤のはずだが、毎回迫力の演奏と見事な歌唱で魅了・圧倒されるのでやっぱり何度でも足を運びたくなるんだよね。
岡垣さんのバンドだからTERRA ROSAの片鱗を求めてだろうと思うでしょ?確かにそういう部分もないではないが、やはり今やってる音楽が魅力的だからこそ。それは赤尾さんのKRUBERABLINKAも同じで、今や両者がやってる音楽は全く違った感触で、とてもかつて一緒にやっていたとは思えないくらい別の方向を向いている。でも両方とも足を運ぶ頻度が高いのは、岡垣さんのオルガンも赤尾さんの歌声もそれぞれに強い求心力があること、そして音楽自体の魅力あってこそなのだ。
「ANCIEN REGIME」に始まり、やや久しぶり?の「人形愛」、そして去年出した新曲2連発ということで、「LONG LIVE THE DEAD」「詩人シャロー」と続く流れは新鮮だった。おどろおどろしい「FEAR」で別世界へ飛ばされた後は、終盤のインストバトルがお馴染みになった「EDGE OF THE WORLD」。そしてラストは疾走する「紅蓮の炎」…曲目自体は毎回お馴染みのものがほとんどだが、曲順が違うとかなり印象も異なるのはやはり各メンバーの力量ゆえか。
岡垣さんのオルガンの音とアクションの迫力はもう言わずもがなだが、このバンドで特筆すべきはマイさんのヴォーカルと西村氏のギターだろう。マイさんがSTARLESSでも聴かせていた伸びやかで表情豊かな歌声はここでも味わえるし、むしろここに来て更に聴きごたえを増したように思う。そして西村氏のハード・ロックに留まらない多彩な素養を持ったギターはバンドに独自の色合いを与えている。キャリアの違いこそあれ、岡垣さんとのバトルもすっかり対等に感じられるから大したものだ。
もちろん、アニカツさんのベースと堀江仙人のドラムによる強固な土台の存在も忘れてはならない。
回を追うごとに白熱しすぎて長くなる傾向があるが、今回はいい具合にぴったり1時間くらいで収まっていた。

…さて、本当はこのまま勢いでMASTERMINDも見たかったんですね。既に購入済みの最新ミニアルバムも良かったし、今までライブ見たこともないはずだから、この機会に拝んでおきたい…でも、体の方がNGサインを出してきました。濃厚な2バンドの後で更にもう1つ濃いであろうバンドとなれば、終演と同時にぶっ倒れる恐れがある…年末のボロボロぶりからはかなり立ち直ったとは言え、まだまだ不安なのが実情。ということで無念のリタイアとなりました。

ついでに、最近このハコは「動画はダメだけど写真撮影は可」ということが増えたので今回はそちらにもチャレンジしてみたんだけど…やはり私には動いてる被写体の一瞬を切り取るより、建築物や風景の方が合ってるということがわかったのでした。もうライブの写真は撮りませんよ(多分)。その分、文章での表現に力を入れることにします。

それでは書きますが、今日行かれる方やWOWOW放送を見るという方で内容を知りたくない方は読まないで下さい。

そもそも今回ライブに行くのを決心するまでに、私が昨秋から彼らにドはまりしていることについて書かねばなるまい。
元々、TVドラマの主題歌に使われた「今宵の月のように」でその存在は知っていたのだが、当時は地味に感じられたこともあってかそれほどはまりもせず、シングル1枚買っただけでアルバムにまで手が伸びずに長い年月を過ごした。が、ある日たまたま見ていた「ミュージックフェア」でセカオワのフニャフニャした歌の後に出た彼らの歌と演奏はとても力強く、私のハートを鷲掴みにした。それから動画をあさり、いかに素晴らしい楽曲を多く残していたかを今更ながらに知り、ちまちまとアルバムをつまみ食い的に買っていった間にどんどんはまり、ついにはほとんどのアルバムを揃えてしまうまでに至った…という具合である。そう、もう廃盤で手に入らないと思っていたものも運良く手に入れることが出来たりで、ついには3作目の「浮世の夢」を残すのみとなったのだ。あれだけはもう新品が軒並み全滅で、中古品もアホみたいに高い値が付いているので、今回の物販に賭けてみるか?ということになった。結局置いてなかったんだけどね。
同時にライブDVDにも手を出し、派手な演出全くなしに音楽だけで勝負、それで惹きつけられてしまうのだから凄い!と感じ、これは一度生で見ておかねばなるまい、となってたまたま新春ライブの先行予約がまるで私を待っていたかのように始まっていたので申し込み、運良く当選した…というのがここにいたるまでの経緯である。

実は私が大学生だったバブル真っ只中にデビューし、それから20枚以上のアルバムを残している彼らになぜ今はまったか?それはやはり、セカオワやゲスの極みみたいな話題先行で音楽に魅力の感じられないものが人気を得ている現状で、そういった連中とは全く逆に何の飾りもなく武骨とさえ言えるロック本来の姿に魅了されたからに他ならない。無数のハード・ロック/ヘヴィ・メタルやプログレのCDを所有し、ライブにもたびたび足を運んでいるのに満足しきれなかった?いやそうではなく、一般のJ-POPと呼ばれる範疇で現存しているバンドでこれほどの衝撃を受けたのが久しぶりだったからだ。昔はYMOやRCサクセション、BOOWYといった素晴らしいバンドがあったがいずれも現存せず、甲斐バンドは新しいものをほとんど創作せずに過去の遺産を食いつぶしながら解散と再結成を繰り返し、サザンはもう長いことバンドとして機能しておらず、長いこと休んでたまに出てきてアルバムを出してツアーやってまた休み、という具合。そんな中で四半世紀以上も一度のメンバーチェンジもなしにほぼノンストップで活動を続けている姿がとてつもなく素晴らしいものに思えたのだ。中心人物であるヴォーカルのミヤジこと宮本浩次の耳の不調で少しの活動休止はあったが、そのために初めて3年半というブランクを置いた後に発表されたアルバム「RAINBOW」がまた素晴らしく、ライブへの期待も大いに高まったのだ。

そして待ちに待った昨日、ライブ当日を迎えた。大阪フェスティバルホール…過去に何度も著名アーティストのライブで行く機会があり、改築が済んでからは井上陽水と山下達郎にしか行ってないが、音響の良さ等で演者たちからも高い評価を得ている場所。会場へ到着すると高ぶっていた気持ちは更に高ぶることに。

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そしてほどなく開場となり、場内への入場が開始されるが、意外に思ったのは女性客の姿の多かったことだ。ポップに徹したミスチルやスピッツ、華やかなGLAYやラルクみたいに女性受けする要素も少ないし、特にイケメンなメンバーもおらずファッショナブルでもない彼らはきっと男性のファンばかりだろうと思っていたらとんでもない、男女比は見た感じ半々くらい、しかも若者からご年配の方まで実に幅広い年齢層の人たちが集まっていたのだ。確かにポップで親しみやすい曲や心にしみる美しいメロディを持った曲も多いがそれも半分くらいで、あと半分は激しかったりぶっ飛んでいたりで、この人たちはそういう二面性をわかっているんだろうか?でも、先述のバンドたちみたいにドームを埋めるほどではないにしても、これだけ「本物」を支持している人がいるんだと思えば何だか嬉しくなってきた。

やがて開演前の諸注意のアナウンスが流れ、場内で流れていた音楽がオルガン曲に変わり、それが「チゴイネルワイゼン」に…と思ったらCD演奏ではなく人間の弦楽器隊による生演奏だとわかった時、場内のボルテージは一気に上がった。ほぼ女性ばかりの弦楽器隊は近年彼らがやってる大規模なライブではレギュラー的に帯同しているからだ。私は3階の最後列というちょっと辛い場所だったが、1階席を見下ろせば総立ちの状態。やがてバンドのメンバーが現れ、ついに開演となった!

まずは「脱コミュニケーション」「今はここが真ん中さ!」という景気のいい2連発。ミヤジの「えぶりばでー!」という叫びでまた盛り上がる。2曲が済んで短いMCの後、早々と「悲しみの果て」が。これもかなりヒットした曲だけに場内の反応も上々。続いて「バラードを1曲やります」の言葉の後に出てきたのは「デーデ」…どこがバラードやねん、というツッコミを入れたくなったが、初期からの定番曲だけにこれも盛り上がった。
「彼女は買い物の帰り道」「あなたへ」「TEKUMAKUMAYAKON」「なからん」「昨日よ」「シナリオどおり」という新旧・緩急織り交ぜたバラエティに富んだ楽曲が次々披露され、「永遠の旅人」ではここまでで初めてと思われる照明が派手に点滅する演出が。しかし最終的にはこれが今回で一番凝った演出だったのだからどれだけシンプルなステージングなのかという話。
ここで一旦メンバー紹介。サポートのギターとキーボードも含めて手短に次々紹介、最後に「総合司会の宮本です」。それに続いたのは「愛すべき今日」…最新アルバムに先駆けてシングルとして発表された曲だが、やはり素晴らしい。続いて「古い曲をやります」の言葉の後に出てきたのは「曙光」…初期に目立ったサイケデリックな曲で、ポップな曲しか知らない人や新しいファンには驚きだったかもしれない。
「Under the sky」「雨の日も風の日も」の後は最新作冒頭を飾った「3210」「RAINBOW」の2連発。大いに盛り上がり、ここで一旦メンバーは引っ込んだ。

私はこれが「第1部」とわかっていたのでここでトイレに直行したのだが、本編が終わったと思った人が多かったのかアンコールの手拍子が場内に鳴り渡る。ほどなくメンバーが再登場、ミヤジが「第2部始めます」とアナウンス。実は第1部では弦楽器隊がずっと演奏しており、たまにそちらのリーダーでバイオリンの金原千恵子とチェロの笠原あやのの2人が前に出て彩りを添える場面があったが、ここからはほぼバンドとサポート2人の6人による演奏に。「I am happy」「so many people」「ディンドン」「めんどくせい」と続き、ミヤジがアコギを持ち出しての「偶成」へ。懐かしく穏やかな曲に場内は聴き入っていたが、それが済んだ後にスタッフに渡そうとしたとこに誰もおらず、盛大に落とすというハプニングも。ここで金原・笠原両名が再び前に出てきての「リッスントゥザミュージック」、それから「Destiny」と続いた後、「桜の花、舞い上がる道を」。大好きな曲だけにこれが聴けたのは収穫だったな。
「笑顔の未来へ」「新しい季節へキミと」「ズレてる方がいい」と更に盛り上がっていく中、ついに出ました「ガストロンジャー」!歌のメロディがほぼ存在せずにひたすら言葉を乱射する曲だが、近年は終盤のハイライトだけに盛り上がりも最高潮。ここまでほとんど座っていた私も立ち上がった。そして本編最後は「ファイティングマン」。1stアルバムのオープニングを飾った曲だが、いまだにライブではお馴染みの定番曲のようで、先程からの盛り上がりもそのまま引き継がれて第2部は終わった。再び引っ込む前にミヤジが「第3部もあるよ」…それはアンコールの強制ですかい?

そして第3部…普通はアンコールと呼ばれるものだが、まずはこれもCMでお馴染みになってた「俺たちの明日」。ベタと言えばベタだがやはり盛り上がる。続く「四月の風」「風に吹かれて」の後は「ゴクロウサン」「花男」をぶちかまし、本当にライブ全てが終わった。

…25周年のさいたまスーパーアリーナのDVDでは4時間やってたから「まさか今回もそんなにやるの?」と思ってたら3時間15分くらいだったからまあ、長いけど今まで経験した長丁場に比べたら許容範囲だ。しかしまあ、長丁場にも関わらず、しかも聴き始めて日の浅い私にとっては知らない曲の方が多いという状況なのに最後まで飽きずに聴けたのは楽曲自体の魅力と熱いハート、これに尽きるだろう。あ、曲名全部書けたのは昨夜の内にセットリスト上げた人がいたので参考にさせてもらっただけなんで。

率直に言えば、決して上手いバンドではない。ギターの速弾きが凄いとかドラムがやたらパワフルとかベースがブリブリうねると言うでもなく、むしろ粗さが目立って、私が西九条や心斎橋周辺で馴染みの皆さんの方がよっぽど上手いくらいだ。でも、粗くても雑ではない。長いことメンバーチェンジもなく一緒にやってるからこその一体感が強く感じられた。ミヤジの歌も声の良さとか声量の豊かさは魅力だが、序盤は高音が出てなかったり裏声が不安定だったり声がひっくり返ったりで、中盤以降は調子良くなってきたものの、やはり完璧を求める人には辛いだろう。だがそれを補って余りあるのがステージから伝わってくる熱気と一体感だ。それがあるからこそ、最後まで演出らしい演出もなしに聴かせられるのだろう。今時の演出第一で歌も演奏もおろそかな連中に同じことが出来るか?そんな腐った今の音楽シーンに一矢報いてほしい、それを期待してしまうのだった。

おまけ

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終演後に写したパネル。ほんま味も素っ気もないけど、音楽そのものに強い力があるから彼らはこれでいいんです。

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そしてパンフ…なんだけど、3500円もした割に中身はただの写真集。何だか騙された気分…水樹奈々みたいに可愛い女の子(って年でもないか)だったらそれでいいけど、自分と同い年のおっさんたちの写真が並んだものを手にしてもあまり嬉しくない。でもまあ、最高のライブの記念にはいいか。
そう、初めてのエレカシだったけど本当に内容は最高だった。これからも熱い「本物のロック」をやり続けてくれることを強く願う!

お待ちかね、昨日のライブレポ行きます!

この3連休は濃い~3連発になることが決まっており、まずその1発目が京都は四条烏丸のKYOTO MUSEで開催のこちらであった。

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開場時間よりやや早めに到着したんだが、既に対バンのBLACK YAK.のお客さんと思える人たちがたむろしていた。やがて知った顔もちらほらと見られるようになり、入場が開始された。

オールスタンディングと思いきや、中には椅子も用意されており、年末から体の方がボロボロだった私には丁度良かった。念のため今はかなりマシになってるけど、やはり大事を取って無理せずに座ることにした。
でも1発目のバンドの時はそうもいかず、前に行ってワーッとやることに。

DEATH☆LAND

言うまでもなく西九条や心斎橋界隈ではお馴染みなのだが、意外なことにバンド創設15年にして京都でのライブは初めてとのこと。速い曲を中心に攻める体制できた。熱のこもった天太さんのギター、やっちさんの伸びやかなヴォーカル、そしてそれを支えるリズム隊の迫力で、いつも以上に聴きごたえのあるものになっていた。

BLACK YAK.

メタルな演奏にアイドル的な歌が乗るこのバンド?ユニット?はそのミスマッチぶりが私にはしっくりこずに、ババちゃんがドラムの時以外はあまり集中して聴いてなかったのだが、相変わらず歌声が受け入れにくいとは言え、演奏がしっかりしてたこともあって思いのほか聴けたように思う。

EBONY EYES FINAL FIGHT PROJECT


それまでのバンドたちは30分ずつの出番だったが、真打のこちらさんは長めにやるということは早い段階から知っていた。エルガーの「威風堂々」に導かれて登場するメンバーたち…ババちゃんこと福村高志(Dr.)、レオこと宇都宮清志(Ba.)、岡垣正志(Key.)という錚々たる面々に主役の金谷幸久(Gt.)なのだから、それだけで期待が高まる。まずはその演奏陣で「HORIZON」が奏でられ、ヴォーカルの藤本朗が登場、「RUN TO BE FREE」へとつながる。この流れで既に場内のボルテージは高まった。間髪入れずに「ON THE LOOSE」へと続き、更に熱気が上昇してきた。

さてそれから最初のMCに入るのだが、かつて解散ライブをやってから京都は24年ぶりということなので、敢えて今回もレコ発ファイナルは京都にしたとのこと。一昨年の暮れに始まって大阪2回の東京2回…でいいんかな?…というゆっくりペースではあるが、金谷さんがTRIBAL SOULもやってる現状ではそうなるのも仕方ないのかなと。で、藤本さんは今年55歳になるそうで、昔は55歳と言えばジジイだなと思っていたが今その年齢を迎えようとしている今、海外のベテランに負けずにこれからも活動していくという言葉は心強かった。

そして疾走感のある曲調と裏腹に歌詞が重くてやりきれない「DIRTY,BUT SO BEAUTIFUL」、歌詞をかみしめながら聴くと結構しんどいんだが、スピード感に身をゆだねていると普通にカッコいい曲である。そして最初から感じられていた金谷さんのギターの鬼気迫る響きにはやはり惹きつけられる。喜怒哀楽の感情で言えば、TRIBAL SOULでは自然体でリラックスした「喜」「楽」とすれば、こちらは「怒」「哀」を前面に出している感じか。それにしても力量の拮抗したこのメンバーの中では俄然説得力を増すから凄いものだ。次の曲は「ENDLESS FLIGHT」だったと思うけど、すいません、記憶が定かでありません(正解は「NIGHT TRAIN」)。

次のMCは、藤本さんのお母さんが心臓に穴が開いてそれの手術をして…という重い話だったんだけど、驚くべきはそれが生まれつきで、穴の開いたまま陸上部にいたということで、それがなかったらオリンピックに出れてたかな?などと笑いを取る。まあ、その後はちょっと危ないので割愛しますが(笑)。
で、藤本さんは方向音痴なのでここにたどり着くまでに随分迷ってスマホで場所を確認してようやくわかったとか…まあ、私も同じようなもんです。いつも同じビルに入ってた焼肉屋の変な歌が目印(耳印?)だったのがなくなったために通過してしまうことが多いから。
更に藤本さんは佛教大学の出身だが、ババちゃんが作った新しい校歌というのがまた可笑しくて…サビなんか完全にギャグだったので場内は笑いに包まれた。

そんな感じでMC中は和やかなんだけど、曲に入れば打って変わってシリアスそのもの。X-RAYの名バラード「DAMSEL」での藤本さんの聴かせる歌唱、そして金谷さんのギターも泣きまくりからテンポが上がるとこではまるでサンタナのバラードの展開を思わせる激情をぶちまけるような弾きまくりへと移り変わる、これがまた凄いんだ。
次の曲は…すいません、完全に失念しました。藤本さんも歌詞を間違えたそうですが。全体の流れの中では「MAGICAL KISS」かと思ったけど違うような気もするし、記憶あやふやですみません(正解は「POWER」)。
その後は金谷さんからいろいろ告知があったんだが、出来たてほやほやのTRIBAL SOULのミニアルバムを持ってきてるので買って下さいとか、肝心の「CRY FOR THE MOON」がまだまだ残ってるとか。私はとっくに持ってるけど、本当に素晴らしい作品ですから、是非是非まだの方はゲットして下さい。

さてその次はインストの「SUNSET」。ゲイリー・ムーアとは関係なく金谷さんのオリジナルなんだけど、岡垣さんの荘厳なオルガンから始まってドラマティックに弾きまくる金谷さんが見事。それを支えるババちゃんとレオさんの貢献度の高さも忘れてはいけない。
さて岡垣さんと言えばそれに続いてソロのコーナーが設けられていたが、それまでほぼバッキングとたまに弾く曲中のソロで堅実に存在感を発揮していた感じだったが、ここでは完全に主役。そしてそのまま「やりきれない歌」シリーズ後編の「HAPPY WEDDING」へ。やはり歌詞は重いけどカッコいい曲です。
さあその後は「JAILBREAK」で盛り上げ、藤本さんも「ハード・ロックというのは本当に素晴らしい音楽です。これからも次の世代に伝えていくために我々はやり続けます!」という頼もしい言葉を。
いよいよ次が最後の曲とのことだったが、なぜか演奏陣が好き勝手にパープルの曲のさわりを弾き、しまいにレインボーの「MAN ON THE SILVER MOUNTAIN」を全員で(1番だけ)やってしまうというハプニング?も。そういうお遊びの後はX-RAY時代のライブ終盤のMCまで再現しての「FOOLISH BOYS」。前から書いてるけど、ババちゃんも岡垣さんもX-RAY結成メンバーだったのでバンド初期に作られた曲をやるのは自然な流れなわけで、ガッツリ盛り上げて本編は終わった。

さてアンコール。「この曲はスーパーファミコンで最初だけやってつまづいて諦めたゲームから曲名を付けました」と紹介された「FINAL FIGHT」。ここまで地味にボトムを支えてきたレオさんのソロが入ったりして意外な展開であった。最後の最後はまたもやX-RAYの「LONELY GUYS」、もうこの流れもお馴染みだがやっぱり燃える。これで約1時間半超のステージは終わった。

まだこのバンドは続くけどひとまずレコ発のツアーはこれで最後ということでこれまで以上に気迫が感じられたし、全員の力量の高さ、そしてそれをバックに鬼神の如き壮絶なギターを聴かせた金谷さんの底力を見せつけられた思いだった。年々活動ペースが緩やかになってきてるし、今年は当分大阪でやらないとのことだから今回わざわざこうして京都まで出向いたんだけど、その価値は十分に、いや十二分にあったと言えるだろう。

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