2015年07月

先日のセカオワ騒動から始まった、日本ロックの今を憂う話、今回で終われるかなあ…

茶化しやお祭り騒ぎじゃない真面目なコメント頂けた方とのやりとりの中で、こんな話が出て来たんですね。

「今は歌にしても演奏にしても、上手いけど小手先の技巧ばかりで情熱の伝わらない人と、ヘタクソで聴くに堪えない連中の両極端が目立つ気がする」って。

そう、そういう連中がそのままプロになってしまって売れているってのが現状なんです。
やはりプロを名乗るからには歌い出しの第一声、ギターの音色やドラムの一撃でノックアウトしてしまう、そんな凄みがあるべきだと思うんです。
それが仲間内でもてはやされてるとかバカ騒ぎで盛り上がってるとかで話題になってそのままプロになってるものだから、私がどれだけ今の日本の音楽界に失望を抱いているか、おわかりでしょう。
小さなライブハウスで地味な活動ながらも一生懸命やってるアマチュアの人たちの方によっぽど心打たれることの方が多いですよ。

上手いと言っても小手先ばかり、聴くに堪えないヘタクソ、この両方の共通点は「自己完結してて井の中の蛙で終わってる」、そういうことなんです。

対バン相手の歌や演奏も聴いて「あいつら凄いな、負けてられないな」って刺激を受けるわけでもなく、「恭司やシャラのギターなんか中坊でも弾ける」なんて言って自分の現状のテクニックで満足してみたり、フロアが暴れ放題でグチャグチャになってるのを「盛り上がってる」と勘違いして、「俺たちはスターだ」と思い込んだり…
アホくさいと思いません?

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別にフロアがモッシュの嵐とかを否定はしませんよ。私が年齢や体力の問題でついていけないだけで。ただ、「ライブ=暴れる場所」と勘違いして、音楽性関係無しに暴れ放題の客の方にも問題あると思うんです。
あ、私の周辺のメタラーさんたちはその辺よくわかってると思います。時には押しくらまんじゅう(別名:モッシュ)とか輪になっての鬼ごっこ(別名:サークルピット)とかもやりますが、それにふさわしいバンドや楽曲の時だけで、聴くべき時には聴いているし、きちんとメリハリがついていると思います。
でも、ライブが始まった→即暴れる、そして最後まで…この流れが果たして健全でしょうか?こんなんじゃ「聴く」余裕もないし、だから本当にそのバンドが良いのか悪いのかわからない。それじゃ本当に優れたバンドも出てきようがないし、だからやかましいばかりで中身のない連中ばかりがもてはやされるという結果になってるんじゃないでしょうか?

小手先だけの技巧小僧たちも一緒で、ベテランの「伝説」と言われる人たちがなぜそう言われるのか、それをもっと生で体験すべきですね。そして自分の鼻っ柱を折られて一から精進する、それが必要だと思います。

さて、「客の方にも問題ある」って話が出ましたが…

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モーターヘッドのレミーは、あんなに激しい音楽をやっていながらもモッシュとかが嫌いで、特にステージによじ登ってダイブするような行為を忌み嫌っています。

曰く「ステージに上がるのは歌や楽器が出来るようになってからにしろ」…ごもっとも。

私も以前、ステージからダイブしてきた奴に頭を蹴られ、それ以来そういう激しめのライブでは前方を避けるようになりました。
そもそも、ステージによじ登る行為が是か非か…やってるバンドの音楽性にもよるでしょうが、私としては肯定出来ません。

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ちょっと脱線しますが、そもそも相撲の土俵と同じく能舞台も聖なる場所であり、佐野史郎&山本恭司の「小泉八雲の世界」朗読会が能楽堂で開催された時、恭司さんは佐野さんから「能楽堂でこういうことをやるのがどれだけ名誉なことか」を聞かされて心打たれたそうです。陰陽座も能楽堂ライブをやったことがありますが、日本の伝統文化に造詣が深く、敬意を表している彼らだからこそ許されたんだと思います。モッシュやダイブでもみくちゃのラウド系やヒップホップ系じゃあまず許可が下りないでしょう。

そう、能舞台に限らず、ステージというのは客席=俗世界と隔てられた聖域であり、たとえ段差が10cmくらいだとしても、そこに上がるのが許されるのは神が認めた者…というのが大袈裟であるにしても、少しでも良いものを聴かせようと精進(鍛錬と言わないのが私)を重ねた者だけであるべきと思うんです。
私も吹奏楽部や詩吟部で舞台経験あるのでその辺は多少なりともわかっているつもりですが、ステージに上がって芸事をやるのはそれ相応の覚悟とそこに至るまでの精進が必要です。精進を重ねていない連中はそこに上がるべきではなし、ましてやただの客がよじ登ってフロアに飛び込んで…思いっきり罰当たりな行為だと思います。

…あんまりこの話を引っ張ると皆さん引いてしまうだろうし、逆に変な信仰の持ち主からの勧誘が怖いとこですから(しつこいようですが私はいかなる宗教団体にも属することはありません!)この辺でやめときますが、話を強引に戻すと、客席側もただバカ騒ぎするだけじゃなくて、演者のやってることや技量にふさわしい反応をするべきだと思うんです。やってる人の音楽が優れているからこそ盛り上がる、そういうのが自然に出来るようになったらいいなと思ってます。それこそが本当に優れたバンドを底上げして、結果的にロックシーン全体を盛り上げることにつながるんじゃないかと考えてます。

私のライブレポだって、ただ持ち上げてるだけじゃないんですよ。恭司さん・厚見さん・元基さんとか岡垣さん・赤尾さん、あるいは一晃さんや金谷さんあたりは毎回素晴らしいものを聴かせてくれるから毎回熱のこもったものが書けるわけだし、懸命さ・質の高さが伝われば他の人でもどんどん書きますよ。別に書かなかったからと言ってつまらなかったとかいうこともないんで、それは「いつもと違うことをどう書こうか悩んだ結果書けなかった」と解釈して下さい。つまらなかったり期待はずれだった時ははっきり書いてますんで。その辺は皆さんよく御存知でしょ?

慌てて書いたから何が何やらわかりにくい文章になってしまったし、収拾もつかなくなってきたのでこの辺にしときます。以上!

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ちょっと前にmixiの方でやらかしちゃいましてね~。いつもみたいにライブレポやCDレビューで好きなミュージシャンの方々を持ち上げ…じゃなくて褒めてる方が書いてて楽しいし、特定の集団(敢えてバンドとは呼ばない)を批判するのって、ゴタゴタして気分良くないな~というのを実感したって話です。
矢沢永吉コミュの方に書いたものですが、ブログの方に載せるといろいろ問題が生じるんで、こちらに全文転載します…ちゅうことでFB限定にしてたんですけど、より多くの人に考えてほしいことなので敢えてこっちにも(加筆して)転載してみます。
さー、どうなるか知らんで~。

……………………………

はぁ~(溜息)。私、やっちゃいました…疲れました…

いや実はね、数日前のmixiニュースで「バンドをやる若者が減少云々」ってのがあったんですね。
それに対して「セカオワがロックバンドと思われてる現状は憂うべき」って一言つぶやき入れたんですが…
とんでもない反響が来ちゃいました。

この記事に対するつぶやきの「イイネ!」の数、1位ですよ?
しかもどえらい数のコメント…私、全部いちいち返事しました。それだけで疲れた…
皆さんいろいろ考えを持ってるようですが、とりあえず粘着質のファンから何も言ってこなくて救われたというか…
私同様に「あいつら嫌い!」から「悪口はやめた方がいい」、かと思えばかなり「俺様最高!」みたいな独善的な方まで。

セカオワって、言うまでもなく今人気の「SEKAI NO OWARI」のことなんですが、やってる音楽に「ロック」も感じなきゃ、編成も「バンド」とは言えないことからついつい文句も出るんですが、まさかここまで反響があるとはね…

いや、あの編成が「既存のロックバンドはこういう編成でなきゃダメ」という固定観念に反発してとか、もっと力強い歌と演奏で心に響くとかならいいですよ。でも、腑抜けた歌に「そもそも演奏してんの?」というくらい存在感のない楽器陣、必要あるのかないのかわからないピエロ…

「ロック」や「バンド」のあり方が変わってきたと言えばそれまでなんですが、私にはどうにも釈然としないんです。
我らが矢沢永吉こそが日本ロック界の象徴であり、忌野清志郎、甲斐よしひろ、氷室京介といった人たちの歌に心震わされ、VOW WOWとTERRA ROSAが理想のバンドであり、山本恭司のギターに心打たれ、樋口宗孝のドラムに魂を揺さぶられ…いつまでもそんな時代じゃないんでしょうか?名前挙げた人の中で何人か今はこの世にいませんし。

犬神サーカス団のドラマーでありリーダーの犬神明氏がゴールデンボンバーの「エアバンド」という形態やボーカロイドが人気を得ていることを危惧している内容をブログに書いていました。今のバンドに求められているのは生演奏ではなくネタであり、MCであり、振付である…これが一過性のものでなく主流になる恐れがある。だから自分たちは逆にMCをやめ、歌と演奏のみで勝負する方向にシフトした、と。

そして彼が危惧したことは当たり、セカオワの人気爆発、まさかの日産スタジアムでワンマンという信じられない現実が突きつけられたのです。

サザンやX-JAPANだって最初は色モノ扱いだったじゃないかという意見もありますが、彼らには優れた楽曲とメンバー各自の演奏力で魅せるものがありました。でも、セカオワにそれがあるのか…ファンの意見はわかりません。でも私にはそれが全く感じられないのです。

別に若い人がやってることを全面的に否定はしませんよ。今世紀に入る前後、陰陽座やGALNERYUSみたいな優れたバンドが出てきたあたりから「今」にも目を向け、そして現時点ではGacharic SpinやD_Driveに「おっ!」と思い、他にもMardelasやMARY'S BLOOD、キノコホテル、首振りDolls…興味惹かれるバンドはいくらでもあります。でもそのどれもが確かな「魂の鼓動」を感じさせてくれるんです。
そう、「魂の鼓動」さえあれば、国籍・キャリア・性別・有名無名も関係ないんですよ。心に刺さる歌、演奏、そして楽曲。それこそがロックのロックたる所以なんです。

私の好みじゃないからと言ってセカオワを全面否定するのもアレですが、やはり奇抜さだけで話題になってるだけにしか思えません。これから10年20年と息の長い活動が出来るのか?バンドがずっと続いて、もしくは解散しても深瀬君がデビュー40周年で再び日産スタジアムをいっぱいに出来るか?その辺は大いに疑問が残ります。
「今ウケてるんならいいじゃん」って言う方、そういうファッション感覚こそロックの精神と相反するものなんですよ。私みたいに「長く付き合えるものを求める」姿勢も違うだろうと言われそうですが、心底惚れぬいたバンドなりソロの人は、その後も売れていようがそうじゃなくなろうが結果的に長く付き合える存在になる、そういうもんです。

本当に、ライブレポとかで好きなバンドやミュージシャンを褒めてる方が気が楽ですよ。こういうネガティブな話題って、好きな人には気分良くないだろうしと思ったら自分も気分良くないんで書くのが辛いんです。

でも最後にやっぱりもう一発ぶちかまします。
「お前らもっと歌と演奏を練習してちゃんとした曲作れるようになってから出直してこい!」

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で、この件の続きなんですが…

先日のセカオワ騒ぎで最初のmixiつぶやきに頂いたコメントの中で、「松本孝弘とか布袋寅泰のようなウンコギターが優れたロックギタリストだと思われてるような現状では、なかなか本物のバンドサウンドが一般聴衆に根付くのは難しいでしょうね」「B'zなんかよりアジカンなどの方がよほどロックとして音も洗練されてるしバンドとしてメンバーがやるべきことをキチンとやってます、連投失礼」(原文そのまま)とのたまう方がいました。それに対して私は「どういうギターをもって「優れたギタリスト」「本物のバンドサウンド」と感じておられるのかわかりませんが、彼らには優れた作曲者としての面もあり、B'zやBOOWY並びにソロの布袋が強烈な求心力を持ってる事実もありますよ」「アジカンは聴いたことがありませんが、その辺の感じ方は個人差だったり世代の違いだったりじゃないでしょうか?ちなみにディープ・パープル的な音を好む私には、国内ではVOW WOWとテラ・ローザが理想的なバンドサウンドです」(原文そのまま)と答えました。

私は(ギタリストとして)布袋さん好きだけど松本さんはそうではありません。世間の評価は高いけど音に色気が足りなくて、ただデカい音の金属音そのままみたいな気がしてね(あくまで個人的な感想)。でも作曲家としては素晴らしいと思うし(パクリ多いけど)、楽曲の魅力があれだけ多くの人を惹きつけてる事実は否定出来ません。打ち込みをバックにした時はギターも機械的に聞こえるけど生のリズム隊と一緒ならエネルギッシュだし。彼らを否定するからには一体どういうギタリストが理想なのか?この方のプロフィール拝見しましたが、ジャズ系が好きなようで、あーやっぱりそっち方面のファンでありがちな「ジャズ>ロック」みたいにロックを見下すタイプなのね、と苦笑しました。
私もここしばらく洋物ジャズもいろいろ聴いてきましたが、心惹かれたのはジョン・マクラフリンやアル・ディ・メオラあたりの、アタックが強くてロックファンにもアピールする人たちでした。そして何より先日の「GUITAR TORNADO」で様々なジャンルのギタリストを見て聴きましたが、矢堀さんにはぶったまげたけど、他のジャズ/フュージョン系ギタリストの方々の大半が退屈で、ロックの方々と比べて優れてるとは思えませんでした(あくまで個人的な感想)。大トリの恭司さんのプレイを目の当たりにしたら、「これでもロックがジャズより劣ってると言える?」と、私がずっと信奉してきたのが間違いでないと実感しましたね。

そして、この方がB'zより優れてるとのたまったアジカンことアジアン・カンフー・ジェネレーション、確かにロックバンドとしてはいい感じだけどB'zより優れてるかと言えば「?」だったし(あくまで個人的な感想)、そもそもロックに「洗練」を求めてるって、いかにも「ジャズ>ロック」な方の考えそうなことだなあ…別に「初期衝動、様式の破壊こそロック」とは言いませんが、「洗練」は年取ってキャリアを重ねた結果生じるもので、最初からそれを目指すのはやっぱり違うと思います。で、他にもマキシマム・ザ・ホルモンとか先日めざましテレビで取り上げられてたSiMあたりもYouTubeで聴きましたが、どちらも熱いものは感じられたものの、やかましいばかりで楽曲の魅力が伝わってきませんでした(あくまで個人的な感想)。迫力とともに、楽曲の良さも伝わることが大事なんじゃないですかね?だからこそ歌詞に込めたメッセージも伝わるんじゃないかと。いくら歌詞を重視したってリズムに乗せて喋ってたり、字余り連発で座りが悪いものは心に響きません。逆にメロディが良くても歌詞が薄っぺらならそれもまた同じ。要はバランスなんですよ、バランス。

あーやっぱりこういう話になると暴走してしまうんだわ。でも、歌と演奏に加えて楽曲の魅力も伝わってこそのロック、そういう信念を持ってるからそうなるわけで、その辺は大目に見てやって下さいな。

 先月は1回しか書いてないし、今月も1回だけ。実際にはもっと行ってたんだけど、いろいろ忙しかったり、体調も良くなかったりで書く気力が削がれております。おまけに「絶歌」について思うことを書いたもんだから、あれでエネルギーを消耗して余計に、ということもありまして。

 今月は先々週のKRUBERABLINKA書いたっきりだけど、先週も水樹奈々行ってたんですよ。ただ、前日から体調が良くなくてフラフラしながら行ったもんで、前半あたりはもやもやしながら見てたんです。曲目とかMCの内容とか詳細に記録してくれてる人がいるから、それを参考に自分なりのものを書いてもいいんだけど、自分の中から沸き上がってくるはずの執筆意欲が沸き上がらず、だからそんな状態で書いても良いものが出来ないと思って断念しました。

 更に昨日は某所で山本恭司さんを見るためにチケットまで取ってたんですが、ご存知の通り台風の影響でそっち方面のJRが完全ストップ、ライブ自体は開催してるのに足が無いという忌々しき状況だったので涙をのんで断念となりました。いや新幹線は走ってたから行けないこともなかったんだけど、大阪からあそこまで新幹線使うのもどうかなあっていうくらいの短距離だったので、それにバカ高い特急料金使うくらいなら、というわけじゃないんだけど、急遽西九条の方に行ったという顛末です。まあね、恭司さんは来月に大阪でもやるし、まあいいってことよ。

 それに水樹奈々、今回は書けないなと思ったのは…やっぱり年々エスカレートしてテーマパーク化しているステージ演出、これをどう表現するか?そもそも私はシンプルに「歌と演奏で勝負!」なライブの方が好きなもんで、だから同じ長時間でも山下達郎みたいに大した演出も無く歌と演奏と話だけなら(危ない話は割愛しながらも)まだ書きやすいんですよ。演出が大掛かりでもKISSくらいなら書けると思うし、水樹奈々も一昨年のは書いてた通り、あの時の演出はまだ「まず歌ありき」でそれに華を添える演出でした。が、今回は乗り物系が多かったり、謎解きだとかのストーリーが設定されてて、それに沿った歌を中心に選曲というやり方だったので、それじゃ本末転倒じゃない?という疑問も抱きましてね…だから今後も彼女のライブ行き続けるかは、そもそもチケット取れるかにもかかってるけど、あんまり演出が大掛かりになり過ぎたり、それや年々増えてきてる観客をちょっとでも多く収容するためにドームでやるようになったら厳しいなあ(あそこ、音響が極悪だからね)という思いもあるんです。

 そんなこんなでまだしばらくライブは行ってもレポが書けないという状態は続きますが、気が向くまで皆さんお待ち下さい。
 

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 昨日もあちこちでいろいろ被ってたんだけど、迷った結果こちらへ。

 ボンさんが事故で怪我したためにこのバンド始まって以来2回目の不参加となり、サポートを務めるのがなんと、あの、板倉淳さん!というのが今回の注目事項だった。ベースは再び鎌田さんだし、つまりまるっきりTERRA ROSA+MARINOなメンバーなわけだけど、もうクルベラとしてのアルバムも3枚+配信限定1作品出してるし、曲が出揃ってなかった初ライブでTERRA ROSAを1曲やった時とは違うわけで、ひょっとして過去のバンドの曲をやるんじゃないかということは端から頭になかった。むしろすっかりバンドの屋台骨となっているボンさんの代わりに板倉さんがどういうテイストを加えてくれるか、そっちの方に関心があったわけで。

 2回目となるこの会場、全席指定で料理を食べて飲みながら見れるという、およそこういうハード・ロックには似つかわしくない場所なんだが、前回意外に良かったこともあり、今回はもう違和感を感じることもなくすんなり受け入れられた。ってか前売りチケットは完売の盛況で、にも関わらず私の席はステージ真ん前。まあ、出演の皆さん既に顔馴染みの方ばかりなのでそれで緊張することもないんだが、既に配置されていた楽器の並びからすれば上手側から鎌田、板倉、赤尾、鈴木の順になるわけで、私の前方はMARINO、下手側に目を向けたらTERRA ROSAになるという面白い並びだった。

 さて、予定より10分くらい押してメンバーが続々登場。赤尾さんの足元に目をやれば…下駄!もちろん赤い鼻緒の女性用だったんだけど、衣装も祭り半纏みたいな感じだったし、こういうのはいつものロックなライブハウスじゃ出来ないであろう芸当で、この会場だからこそ、という気もした。そして最初からMCも飛ばしてたし、こういうこともこの会場だから出来ることであろう。
 まずはお馴染み「海図」からスタートするが、板倉さんのドラムは…あら?思いのほかしっくりはまってますやん。元々ボンさんが迫力あるドラミングの人だから、少々タイプが違う…丁寧なボンさんと比べてもっと豪快な板倉さん…という違いはあるものの、ズッシリしたドラムのおかげでさほど違和感もなく受け入れられた。以前たまりゃんが叩いた時は線の細さが気になったんだけど、さすがは確かなキャリアとお互いを知り尽くした間柄が成せる業と言うべきか。
 「マンダリン」に続いて「砂山」、ムーディなこの曲では鎌田さんがベースソロを披露。鍵盤抜きになってからこういうことでその穴埋めをしてるわけだけど、もう「穴埋め」ではなくそれがすっかりこの編成ならではの持ち味になってきてるのも面白いと思った。
 さて、その後でメンバー紹介になるんだけど、赤尾さんがPAのバイトをしてた時にその会場でライブやってたのがMARINOだったとか、板倉さんの背中に1文字「神」のTシャツに引っかけて「何だか今日はご利益がありそうです」などとくだけた感じ。そして広美さんが忘れられそうになるというお茶目な一面も。まあ、竹内まりやだっていつもバンマスの旦那=山下達郎の紹介を忘れそうになるそうだから、それはそれで逆に空気のように不可欠な存在ってことを示してるんじゃないっすか?
 続いてはロマンティックな「夜光虫」、味わい深い広美さんのギターにしみじみ心を打たれ、その後は極悪へヴィな「ギドラン」…この曲の最初で板倉さんが入るところを間違えてやり直すという一幕も。これがボンさんなら「ごめんなさい」と照れ笑いしながら両手を合わせて頭を下げてるとこだけど、豪快に笑いながら「やってしもたがな」みたいな感じになるのは板倉さんならでは。でも仕切り直しで始まったこの曲はさすがにズッシリ聴き応え十分だった。そして第1部ラストの「サイコロ」。前回は間奏で赤尾さんの面白い台詞が入ってたんだが、今回は台詞というかほぼ「雑談」。内容は「ここだけの話にして下さい」とのことだったしちょっと書きにくい話でもあるから割愛するけど、でもやっぱり面白かった。というわけで第1部終了、休憩に。

 9時を過ぎて第2部がスタートしたが、最初は広美さんがアコギを弾いて赤尾さんとのデュオ形式でのアコースティックな「キウイ」。これがまたいつものバンド編成と違ったいい感じでねえ…こういうこともこういう場所でのワンマンだから出来ることかも。広美さんが「声デカくてうるさい」言ってたけど、そう、赤尾さんって地声が凄くデカいんですわ。真ん前の席だからよくわかったんだけど、マイクを通さない生の声が既にデカくて、それが直に聞こえてくる上に増幅された声もとなれば、どれだけ迫力あるかがおわかりかと。続いて「ゲストのパーカッショニストを呼びます。鎌田学!」って最初からいてますやん。鎌田さんは(呼び名わからんけど)小さいのをシャカシャカやったんだけど、その曲は新曲だという「天の川ラプソディ」、これが仮タイトルなのか正式タイトルなのかは今後次第?だが、これもまたいい感じで、バンド編成でどういうアレンジになって正式に世に出るのか非常に楽しみになった。「続いてもう1人ゲスト、板倉淳!」って、この人も最初からいるのに(笑)。そして板倉さんがカフォンを叩いて披露されたのはまさかの「単細胞」。バンド最速というこの曲が全く違った形になってたのは非常に興味深かった。このアコースティック・コーナーの最初の方で赤尾さんが「ストリートでこういうのやってみようか?」と言ってたけど、それも面白いかもしれない。あの強烈な歌声ゆえ、きっとすぐに人だかりが出来ると思うけど。
 さて、ここで通常のバンド編成に戻って、まずは「メロン」。果物シリーズ第1弾と言ってるけど、実は「キウイ」の方は果物じゃなくてその名の由来となった鳥のことだそうで、厳密に果物タイトルはこの歌だけみたい。でもちょっと異色なこの歌、意外に好きな人も多いみたいだし、私も結構好きだったりする。その後は緊張感あふれる「ブランコ」、そしてラストは突っ走る「火の玉が海を泳ぎきる」で本編は終わった。
 そしてアンコール。「だれも」で全編が終了、カッコいい曲と歌・演奏で沸かせ、楽しいMC(いろいろ面白い話してくれてんけど、さすがに全部は覚えられなかった)で笑わせたライブは全編が終了した。

 今回板倉さんが加わったことでTERRA ROSA出身者3人になってたわけだけど、そもそも岡垣さんがいないからTERRA ROSAになるわけもないし、クルベラの音楽性は(じっくり聴いてる人ならわかることだけど)あちらとは全く違うわけだから、まあWHITESNAKEにジョン・ロードとイアン・ペイスまで加わっててもDEEP PURPLEの再現にならなかったのと同じく、板倉さんを迎えても「ドラムの感じが違う」だけで済んだのはクルベラとしての個性がしっかり確立されていることの証明だろう。もちろんリズム隊がMARINOだからと言ってそっちの雰囲気を感じることもなく、「今のクルベラ」を改めて実感した次第である。

 幸い、ボンさんの怪我も快方に向かっているそうなので、次のライブはまだ未定だそうだけど、これからもまだまだ楽しみが尽きない、そんな感じである。

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