2011年11月

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① Don't be so mad
② 太陽
③ だれも
④ 砂山
⑤ 業火


赤尾和重:Vocals
鈴木広美:Guitars
岡田英之:Keyboards
泉谷賢:Drums
小笠原義弘:Bass


 ついに出ました(ってもう先週出てるんだけど)、待望の、ほんまに待望の赤尾さんの新バンドのミニアルバム!

 結構前から、広美さんと岡田君とボンさん(泉谷さん)で何やら制作してるという話は耳に入ってたんだけど、その実体が公表された時にはぶったまげましたがな。まさか赤尾さんがそれに加わっててというか、テラ・ローザ解散後に今井(芳継)さんとやってた「M'mah」以来の新バンドで作品を出そうとは!ちなみにバンド名は「クルベラブリンカ」と読みます。赤尾さんは「マハリクマハリタ?テクマクマヤコン?」って自分でボケてたけど(笑)。

 で、M'mahでは作品を出してなかった(だよね?)から、レコーディング作品としては95年の金谷幸久「EAU ROUGE」、09年の三宅庸介「LOTUS AND VISCERAL SONGS」といったゲスト参加作品はあるけど、バンドの一員としての純粋な新作としては(08年の「TERRA ROSA OF ANGRY WAVES」は旧作の再録音がメインだった)21年ぶり、元・某Vのシンガーさんみたいにミュージシャンから足を洗った(ということになっている、表向きは)わけでもないのに、それ以上の寡作ぶりとライブの少なさでずっとやきもきさせてくれたあの人が、ついに動き出した!ってことで、その作品の出るまで待ち遠しかったの何のって・・・

 そして、先週発表されてすぐ購入したのだが・・・これがまた素晴らしい!

 5曲のみ収録のミニアルバムなのだが、全体的に曲が長めなので、収録時間は30分少しある。そして中身は、フルアルバム並の充実した内容!

 いきなりハードな①で圧倒させてくれるし、ヘヴィな②も聴き応え十分。B!誌で「カルメン・マキ&OZが『BIG FOOT』をやったような曲」と書かれたのはこの曲だろうか?そう言われればそんな気もするし、的外れな気もするし。で、軽快なシャッフルの③もいいし、スロー・ブルース④も味わいたっぷり。そして再びハードな⑤でガツンと盛り上げて締めくくり。

 各曲の解説が簡単だけど、これは発表間もないから仕方ないってことにして下さい。でも、今でも全曲詳細に書けそうなくらい聴いてるし、とにかくどの曲も強い印象がある。これはとにかく、かつてテラ・ローザが好きだった&今も好きな方、そしてもっと広くハード・ロックの好きな方なら聴いて損はない!というか聴かなきゃ損でっせ!と言いたくなる。とにかく騙されたと思って買って聴いてみて下さい。よっぽど偏屈な方でない限り、満足出来ることは保証します。そのために簡単な解説で済ませたんです(ほんまかいな)。

 赤尾さんの歌声の凄さは言うことなし、と言うか先に書いたゲスト参加作品での歌唱より数段パワーアップしてるし、広美さんのギターも近年のインスト作品でのプレイ(そっちはそっちで素晴らしいんだけど)とは全く違ったハードさでその歌唱を支えている。そして他のメンバーの演奏も見事なサポートぶり!

 で、実はと言うか御存知の通りと言うか、ベースの小笠原さんだけはほんまのサポート参加で、現在バンドは正式なベーシストを募集中。早く決まって、ライブやってフルアルバムも出してほしいなあ・・・今からそんな欲求が出てきている。
 そんで、ベーシストは「ピック弾きで4弦以下(4弦より少ないベースはないだろうに)」が条件ってことらしいけど、それなら私が期待したMさんとかWさんは無理やん・・・どっちも5弦以上だし指弾きだし・・・

 とにかく、とにかく!何も言わずに聴いてみて下さいな!今年出た日本のハード&ヘヴィ系作品では、サーベルタイガーの「DECISIVE」と並ぶ大傑作!そう言い切ってしまいます!これを聴かなきゃ今年は終われない!そして来年の本格的な活動開始を祈願して、年が明けても聴きまくろうぜ!

 昨日は朝の5時くらいに起きて準備して(前の晩は仕事で遅くなったから準備出来ず)7時半に部屋を出て、大阪駅に着けば8時半。で、うちの田舎への特急列車は9時過ぎ発だったもんで、始発駅の新大阪まで行った。で、そこのホームを上がったとこには本屋があるんだけど・・・

 「週刊ダイヤモンド」の「今、親のためにしたいこと」っていう見出しが目について・・・で、実はそれが3月号なのになぜ今頃あるんだっていうのは後で気付いたことなんだけど、何だか今の私のために店頭に置かれていたようで、運命的なものを感じてしまった。他にも「ガン治療薬最前線」って記事もあったし・・・

 で、豊岡駅に到着してからホテルの場所を確かめて昼飯を食べ、それから病院に向かうんだけど、バス乗り場がどこにも見当たらなくって、タクシー乗り場にもタクシーが見当たらないという有様。おかげで駅から病院まで歩いて行きましたがな。2kmの道のりを、しかも山の上の病院まで。

 到着してから喫煙所でひとまず一服。点滴を腕に刺しながら煙草吸ってた患者さんもいて、そこまでして吸いたいんかいっ!って思いつつ、面会中は途中で吸いに抜けるのも何だしなあということで。

 そして父の病室へ。母が付き添いしていた。早速、大安寺で買ってきた癌封じのお守りを渡したら喜んでくれた。やはり病気が病気なだけに、食事はずっと流動食のようで、前日に「塩昆布食べたい」と言ったら看護師さんに「絶対ダメ!」と言われたとか、いつもの憎まれ口叩くとこだけなら「思ったより元気そう」となるんだけど、やっぱり現状を考えると、素直に笑えなくて・・・

 だから、私が実はどれだけ父のことを目標にしてきたとか、来年は一緒に紅葉観に行こうなとか言いたかったんだけど、そういう話をすると逆にもう会えないような気になってしまうから、下らない世間話でお茶を濁した感じ。笑いながらも胸が詰まってしまってねえ・・・

 今のところ転移は見つかってないし、手術本番は来週以降で、今は投薬で抑えてる状態なんだけど、ほんまに無事成功することを祈るだけだ。

 母も毎日、自宅と病院の往復だから大変だ。疲れが出ないように「しんどかったらいつでも呼んでくれ」と言っておいた。

 4時過ぎに父方3番目の叔父さんが来て、5時には私と母も一緒に病室を出て、それから晩飯。母も付き添いで通い始めてから食事も満足に取れない日々が続いてるようなので、叔父さんが気遣っておごってくれた。

 で、私はホテルのチェックインが6時だったので、それに間に合うように到着、ここで母・叔父と別れることに。この時間なら大阪まで日帰りも無理ではなかったが、病院には泊まれなくても近くにいる方がいいかなと思い、予約しておいたというわけ。
 周りに何もないとこだし、その晩はホテルからも出ず、風呂に入った後はしばらくゆっくりして、9時ごろには早々と眠りに就いた。

 さて、朝は4時過ぎに目が覚めた。寝るのが早ければ起きるのも早い。それから帰り支度して、6時からの朝食を食べ、そのまま駅へ。一番早い特急までにもまだ時間があるなと思いつつ、切符を買ったら乗車券は豊岡~大阪までだけど、なぜか特急券は福知山から、ということに。なぜ?と思ったら、ホームに降りればすぐに各駅停車が来る様子。それは福知山行きで、福知山発の特急に乗り換えというコース。結局私が部屋にたどり着いたのは10時半くらい。思いのほか早く帰り着いたので、投票も年末調整の書類書きも夕方までには全部済ませられた。

 さて、次は正月かなあ・・・手術後の経過によっては、それまでにもう1回くらい足を運ばねばならないだろうけど、出来れば実家で皆揃って正月を迎えたいよなあ・・・

 以上が今回の見舞いの様子なんだけど、やっぱり父のためにもっと元気にしていてあげたかったように思った。手術が成功して、早く元気になってもらうには、私自身が元気でなければ。
 そんなわけで、しばらくライブ行くのも回数は減るけど、好きな音楽も聴けない状態からは抜け出しつつある。山下達郎の「希望という名の光」を聴いてたら涙が出てしまったが・・・でも、その後には水樹奈々、そしてクルベラブリンカでエネルギーは充填出来た。これが父にも伝わればいいな。クルベラを直接聴かせたら「うるせー!」って言われそうだけど。

 そんなわけで、中断してたBOW WOW~VOW WOWレビュー・シリーズもぼちぼち再開します。これから書こうとしてる時期は、私が受験生~大学生の時期に符合してるし、いろんな目標に向かって突き進んでたあの頃、彼らの音楽を聴きながら奮起したわけだし、その頃の気持ちを思い出して元気出したい。その元気が父にも届くように、今まで以上に暑苦しい文章を書きまっせーっ!

 ・・・その前に、せっかくクルベラブリンカのアルバムも出たことだから、まずはそっちから書くかな。これらの作品のレビュー書いてる時って、私の気持ちは高揚してるんだから、そのパワーが父にも、そして母にも届けば幸いと思ってる。
 まあ、読んで頂く皆さんは単純に楽しんで頂ければ良いと思います。皆さんが楽しんで頂ければ、それも私の力になります。だから、そっちも是非期待しておいて下さい!

 父親のその後ですが、今は検査入院しており、大腸にもポリープが見つかって、そっちは悪性じゃないから簡単に取れるそうだけど(以前もやってるから「またかよ」って感じ)、大元の本格的な手術は来週からということになるらしく、その前に一度顔を出しておこうと思い、今週末に見舞いに行ってきます。

 心配だけど、今は運を天と担当医に任すしかない・・・

 そういうわけで、この週末はお守りを持って帰ります。心配頂いた皆さん、ありがとうございます。
 今年は紅葉は断念だけど、父親の命の方が大事だし、紅葉はその気になったらいつでも観れるし。

 皆さんから頂いた祈りと家族・親族の思いで、何としても生還させて参ります!

 今回は深刻な話です。

 先日、夜遅くに部屋の電話が鳴り、「こんな時間に誰やねん」と思って出たら、実家の母親だった。

 「父親に食道癌が見つかった」

 最近、食事をするのにもつかえ気味で、何か違和感を抱えていたという。そして医者に行ったら癌が発覚したと。
 
 私は一瞬、目の前が真っ暗になった。そりゃあ7年前に脳梗塞を患ってから言葉が不明瞭になってるし、以前より弱ってきたとはいえ、まだ野良仕事も出来るくらいだから大丈夫だろうと思っていたのだが・・・

 医者は「もっと早かったら内視鏡で取れたのに」と、決して早い発見ではなかったように言ってたそうだ。

 桑田佳祐も食道癌の手術をしたが、あれはごく初期の発見だったから簡単な手術で済み、今は元気に歌っているけど、ネットでいろいろ調べたら、はっきり癌だとわかる頃にはかなり進行しており、また治療はかなり難しいという。転移することも多いと・・・

 父親本人は「そんな大袈裟に心配するな」と至って平気な顔をしてるらしいが、そんな話を聞けば気が気じゃいられない。医者は更に「早い内に親族にも会わせるべきだ」って言ってたそうだが、そこまで悪いのかよ・・・

 この土日は実家の方も忙しいから、詳しい検査結果を聞いて、それから次の週末にでも戻ってこいとのことだったが、この話を聞いてから仕事中も心配でならず、ずっと沈んでいた。

 いつも両親揃って「田舎で就職してれば良かったのに」と愚痴をこぼされるが、実際今回も私に帰郷させようかという話になったらしい。でも、「今帰ってきても仕事はないし、このまま今の仕事を頑張った方がいい」って言ってるらしいが・・・この辺はいつもその場の気分次第なんだよな。
 そりゃあ実際、これだけ転職してたら&この年ならもう仕事にありつくのも難しいことはわかってる。両親の小言がうるさいからと、田舎にも盆と正月くらいしか帰ってないことがずっと続いていた。でも、父親にもしものことがあったら、実家には母親1人になってしまう。あの家に1人で暮らせるのかよ・・・
 田舎には叔父さんたちが何人か住んでおり、父方の3番目(父親は長男)の人は3人の子供たちにこれまた3人ずつくらい子供がおり、田んぼのこととか、何かあった場合の手助けはしてくれるだろうけど、私がこんな状態でいいのか・・・

 私が結婚して子供もいれば、もっと力になれるかも知れない。でも私は相変わらず1人。力仕事とかは何とかなるだろうけど、家事全般となったら、今までずっとものぐさなまま過ごしてきたから、非常に心配だ。
 それに、親戚との関係もややこしくて・・・父方3番目の人は、祖父(私が生まれる前に亡くなった)の妹さんが嫁いだ旦那さんの世話で仕事に就いた関係もあって、その一族に頭が上がらないようだ。で、そこの爺さん(祖父の妹の旦那)が昔から口やかましい人だから、うちの両親も何だかんだで文句の言いにくい立場なようだ。私が家族を持ってれば、それが自信になって、うちの一族の中心として発言力も持てるのに・・・

 だから、今は両親だけでしんどい思いをさせてるけど、やはり私がもっと力を持たなければ、そう考えるとまだ田舎へ戻るのは難しい状態だ。とは言え、相変わらず心の病の方も完治してないし(かなり良くなってはいるが)、一家の、そして一族の大黒柱となるにはまだ心もとない。

 そういう「これから」の不安以上に、今は父親の現状が心配だ。治療が難しくても、まだまだ生きていてほしい。私が結婚して子供を作るまでは元気でいてほしいし、そりゃあまだガキの頃には鬱陶しいと思ったことも多かった(今でもそうだけど)。でも、魚群探知機の修理者として活躍、地元の漁師さんたちの信頼も厚かったし、そんな父親が自慢だった。だから、他に内定も無くて入った前職で、総務から追い出されて持込修理関係の部署に移ったけど、父親のやってた仕事と接近出来て内心嬉しかったりしたものだ。だから、いろんな資格を取り、主任になった時には「これで少しは父親に近付けたかも」と思ったり。
 だから、まだまだ私にとっては「乗り越えるべき壁」として健在であってほしい。今はこんなでも、もっと力をつけて、乗り越えられる自信がついた時、その時こそ私が一族の中心になるべきだと思う。

 そんなわけで、昨日は雨の中、奈良の大安寺まで癌封じのお守りを買いに行ってきた。交通の便は良くないが、少しでも御利益のあるお守りを持って帰って手渡したい、そんな思いからわざわざ行ってきたわけ。

 ・・・ということで、今年は紅葉を観に行くことは諦めました。今の状態じゃとても楽しめないし、いつ急な呼び出しがあるとも限らないし。看病する母親の方も心配だし。
 それに、ライブもしばらく控えめにします。昨日はアライブもブランニューも楽しそうなイベントがあったし、今日もAGTセッションだけど、これまた同じ理由で断念しました。また、とりあえず年内も既にチケット持ってるとか予約済み(鬼束ちひろ、「METALLIC DREAM」、鈴木広美)以外で考えていたものは全て断念になると思います。だから、アライブとブランニューとファンジで迷ってた12/10も、翌週のブランニューも断念です。ステージから私の姿を発見するのが楽しみの方も意外に多くおられるようだし、よく会うお客さんとか、そういう皆さんには本当に申し訳ないんですが、こういう事情ですのでご理解下さい。

 また、現在執筆中の「BOW WOW~VOW WOWアルバム・レビュー」のシリーズも、しばらくストップすると思います。あと2枚分書けば、皆さんお待ちかねの「V」なのに・・・でも、区切りのいいとこまでと思って樋口宗孝のアルバムについて書いてる時、彼も癌だったことを思ったら、いつもの調子が出なくなって・・・そんなわけで、もう少し気分が落ち着いてから再開したいと思います。

 とは言っても、このブログ自体を辞めるわけではないし、病状の途中経過も書く必要があるだろうし、また時には気晴らしも必要だから、気が向いた時にはゆっくりでも何か書くつもりです。

 とにかく、うちの父親には林家木久扇師匠や小林邦昭、ケーシー高峰みたいに、癌に打ち勝ってほしいと願ってます。それには私自身が元気を出さなきゃ。カラ元気でもどうにかこうにかやっていきます。なので、しばらくご無沙汰してもお待ち頂ければ有難いです。

 あ、そうそう。これを読んでる同郷の皆さん、このことは皆さんの家族の方々には内緒にしておいて下さい。こんな大っぴらに書いて何言ってるんだと言われそうだけど、まだうちの一族の間の話で済ませておきたいので、そこはご理解下さい。

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① LAW BREAKER 「M」
② JET FIGHTER
③ TIGER
④ PRAYER
⑤ RUNAWAY FROM YESTERDAY

⑥ IN THE DARK
⑦ DEATH
⑧ GROWING POWER
⑨ DESTRUCTION


樋口宗孝:Drums
山本恭司:Guitars(①③⑤⑥⑦)
北島健二:Guitars(②④⑨)
松澤浩明:Guitars(⑧)
CHAR:Guitars(⑨)
中島優貴:Keyboards
渡辺建:Bass(①③④⑤⑧)
鳴瀬喜博:Bass(②⑥⑦⑨)
片山圭司:Vocals(③)
山田信夫:Vocals(⑤)
JJ:Vocals(⑥⑦)


 ラウドネスのドラマー・樋口宗孝(08年逝去)、83年発表の1stソロアルバム。

 恭司さんはオリジナルBOW WOW活動中から数多くのレコーディング・セッションに参加しており、ヘヴィ・メタル・アーミーの1stアルバムにMr.X名義で参加(これはジョージ吾妻との説もあるが、どう聴いても吾妻さんの音とは違うし、随所で恭司さん印のフレーズが聴けるのでまるわかり)、その流れで中島優貴の1stソロアルバム「大予言」にも1曲参加、そしてBOW WOWの他のメンバーとともに、当時数多くデビューしたアイドル的な女性メタル・シンガーの1人である早瀬ルミナのアルバムにも・・・他にもまだまだあるらしいが、ご本人も覚えていないのが結構あるそうな。
 で、そうしたセッション参加アルバムの中でも特筆されるべきなのが本作である。

 82年の恭司さんのアルバム発表のペースも凄かったが、ここにもっと凄い人がいた。それが本作の主人公・樋口宗孝であった。
 当時のラウドネスは、バンドとしてのアルバムは年1枚ペースだったが、その間に各メンバーのソロアルバムや、高崎プロデュースの本城未沙子、樋口プロデュースの浜田麻里のアルバムも・・・というわけで、83年の樋口さんの叩いた作品数はほんまに凄かった。ラウドネスのスタジオ盤1枚、ライブ盤1枚、本城未沙子1枚、浜田麻里2枚、その上にこのソロアルバムだから恐れ入る。ただ、この人は基本的に曲をあまり書かない(共作はあるがどのくらい関わっていたかは不明)ので、創作面での負担は大きくなかったろうが、6枚のアルバムを作ってその上にツアー・・・よく体力が持ったものだと感心する。

 さて本作、ドラマーのソロアルバムらしく全面にそのドラミングが強調されているが、それだけでなく、豪華なゲスト陣とのスーパー・セッションとしての一面もある。
 恭司さんは本作の半数以上である5曲に参加、その存在感を強烈にアピールしている。まずはインストの①からして全楽器陣のソロが披露されてるし、BOW WOWに入りそこなった?渡辺建との共演が聴かれるのもポイント。他にも③で一緒に演奏しているが。その③はハードなヴォーカル曲で、ギターとドラムのバトルが凄い。で、これも格好いいんだけど、やはり本作中の最大の聴きものは⑤だろう。山田信夫の情感たっぷりのヴォーカルと恭司さんの泣きのギターが映えるバラードで、ドラマティックで実に感動的。浜田麻里も同じ曲を(歌詞を少し変えて)歌っているが、両者の個性の違いがよく出ていて面白い。ちなみに、両者のレコーディング・メンバーは、樋口・中島両氏が同じで、麻里さんバージョンのギターは北島健二、ベースは長沢ヒロ。
 ⑥⑦はヘヴィ・メタル・アーミーの中心メンバーが2人いるのでそれっぽい雰囲気もあるが、やはり樋口・恭司・ナルチョの存在感の大きさで、見事に「別物」になっている。

 恭司さんの参加していない曲でも、②は北島さんのギターとナルチョさんのベースが光るインストで、途中のドラムソロは、樋口さんの個性がたっぷり味わえる。
 ④もいきなりドラムソロで始まるインスト。でも、1分半の半分以上がドラムソロなんだよな(笑)。
 ⑧はちょっとファンキーなノリが異色な曲。こういうのもまた面白い。松澤さんはこれ1曲のみだが、他のギタリストたちとはまた違った個性を発揮している。なお、松澤さんと山田さんは翌年、「MAKE-UP」としてデビューすることになる。
 そして⑨。樋口さん得意のスピーディな曲で、中島さんのキーボードがメロディを奏で、そのバックでナルチョさんのチョッパーが炸裂。そして樋口さんの起伏に富んだドラムソロの後には、これまたこの曲のみ参加のCHARがソロを弾きまくる。この後そのプレイから熱気が薄れていった感じのあるCHARだが、ここでは凄く熱いプレイが味わえる。

 以上、ドラマーやドラムに興味ある人だけでなく、ギターや他の楽器に関しても凄く楽しめる作品に仕上がっている。ジャパニーズ・メタル史の中でも一際輝く名盤として、今でも十分に聴き応えのある作品だと思う。

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① I'LL WAIT A LIFETIME
② COULD THIS BE MAGIC
③ YOMEGASHIMA
④ LOVE SOMEONE
⑤ SMILE AWAY

⑥ JUST CAN'T TAKE IT
⑦ ON THE EDGE
⑧ SATURN
⑨ LOVE LIES BLEEDING
⑩ E BOW CONCERTO IN D MINOR


山本恭司 : Guitars,Vocals
Bob Hawthorn : Vocals
Bob Murray : Guitars
John Sinfield : Bass
Graham Waxman : Drums
Tommy Eyre : Keyboards


 82年発表の、ソロアルバム第2弾。

 本作を発表した82年という年は、BOW WOW本体で2枚のアルバムを発表、更には念願の海外進出も果たし、非常に精力的な活動をしていた年なわけだが、前に書いた通り、渡英した際にバンドのアルバムのみならず、恭司さんのソロアルバムまでも制作してしまった。これは当時のVAPが無茶をさせたのもあるだろうが、本人たちの創作意欲が凄いことになっていたからというのが大きいだろう。それが証拠に、本作を含む3作とも、カバーだとか以前の曲の焼き直しは1曲も見当たらず、全て新曲であることからそれがよくわかる。

 で、前の恭司さんソロ「HORIZON」は、ポップ路線に転向させられて溜まっていた不満を解消するべく制作されたであろうが、ハード・ロックに戻って思う存分自分たちのやりたいことをやってるであろうこの時期に、なぜ?とは思う。だが、本作を聴けば何となくその存在意義も見えてくるというもの。

 恭司さん本人以外は現地のミュージシャンばかりで、まあこれはせっかくイギリスまで行ったんだから、向こうの人たちと一緒にやるのも刺激になっていいだろうという意図があったと思う。だが、その参加ミュージシャンの中でも特筆すべきは、専任ヴォーカルとキーボード奏者の存在だろう。ヴォーカルのボブ・ホーソーンという人は、当時ホワイトスネイクを脱退したギタリストのバーニー・マースデンが結成する「アラスカ」に参加する人物。キーボードのトミー・アイアーは、エインズレー・ダンバー・レタリエイションでデビュー、その後はセンセーショナル・アレックス・ハーヴェイ・バンドを経て、グレッグ・レイクやゲイリー・ムーアのバックで活躍、マイケル・シェンカー・グループのレコーディングにも参加という、経歴だけでも凄いがその腕も太鼓判の人物だ。
 BOW WOWはツイン・ギターでヴォーカルはギターの2人が兼任というスタイルのため、たまには前で歌ってる人のバックでギターのみに専念するのもいいかも、そして本人が昔から聴いて馴染んでいたバンド・・・ディープ・パープルとかジェフ・ベック・グループとかマウンテンとか・・・にはキーボードが入っており、それがハードな音の中で効果的に活用されていることから、そういう音楽をやってみたくなったという気持ちが大きかったのだろう。

 では本編の話に移るが、①は静かに始まり、やがてハードに展開する曲。ここでまずBOW WOW本体とは違ったものが味わえるが、気になるのはヴォーカルの線の細さ。後にVOW WOWバージョンがそちらのライブアルバムで披露されるが、ズバリそっちでの人見元基の方が数段迫力ある歌唱をしている。その印象が強いのでどうにもオリジナルが弱く思えてしまうのだが、こちらだけ聴けばそう悪くはないと思う。
 ②は哀愁の感じられるハードでポップな感じの曲。バックのキーボードやソロを奏でるベース等、聴きどころは多い。こういう曲にはボブのヴォーカルも合っている。そして泣きまくる恭司さんのソロがまた素晴らしい。
 ③は彼のトレードマークとなるE-BOWを使った短いインスト。「HORIZON」や「X BOMBER」でも既に使われているが、この曲ではそれが実に効果的に使われており、彼の表現力の豊かさを実感させられる。
 ④はボブと恭司さんが一緒に歌うバラード。これもVOW WOWの「MOUNTAIN TOP」でリメイクされており、そっちでの元基さんの印象が強いもんだから、どうもこっちが弱く感じられてしまう。いい曲なんだけどね・・・
 ⑤はヘヴィなリズムで、でもサビのメロディが非常に印象的な曲。トミーのオルガンをバックに聴かせる泣きのソロがまた見事。

 ⑥は軽快なテンポのポップなメロディを持った曲。当時人気のあったジャーニーあたりを思わせる雰囲気だが、日本人と英国人の組み合わせゆえに、決して明るいだけでなく、どこか湿った感触のあるのが面白い。この曲でのボブの歌唱もいい感じ。ところどころで恭司さんの声が掛け合い的に入るのはご愛嬌?
 で、その後は恭司さんの歌う曲とインストが交互に登場。⑦は恭司さんヴォーカル曲だが、この曲はかなりBOW WOWの雰囲気がある。とは言え、バックのキーボードとサビで入るボブのコーラスは、やっぱりこのメンバーならではといったところか。
 ⑧はギターとキーボードのみによるインストだが、これがまたムーディな曲で、ヴォーカルの代わりにギターが歌っているといった雰囲気。途中のシンセによるソロも見事。
 ⑨も恭司さんヴォーカルなのでBOW WOWっぽい感じもするが、やはり他の演奏陣が違うためか、いつもとはやや違った感触を受ける。アルバム終盤を盛大に盛り上げる、実にドラマティックな曲である。
 そして⑩はその曲名通りに再びE-BOWを使った1分程度の短いインストだが、これが静かな余韻を持って本作を美しく締めくくっている。

 さて・・・曲は良いものが多いし全体の完成度も高いし、恭司さんのソロアルバムの中では名作と呼ばれる本作、私もそれは否定しないけど、彼が参加した全バンドのアルバム、そしてソロアルバム全作品を聴いてしまった今では、彼のキャリアの中ではかなり異色の作品という印象を受ける。本人以外全員が外国人というのは本作だけだし、専任ヴォーカルが歌った曲、自分が歌った曲、そしてインストという、それまでのキャリアを思わせるものもあればその後のキャリアを予感させるものもあり、それらが混在しているのも本作だけである。そう言ってしまえば本作が散漫な作品かと思われるが、全体の構成はしっかりまとまっている。いろんなタイプの曲を1つの流れに集約した、ある意味完璧な作品ではある。
 但し、せっかくイギリスで現地のミュージシャンを集めて作ったはいいものの、キーボードのトミー以外は世間の認知度が低い人ばかりで、特にボブのヴォーカルは、その後に強力な日本人ヴォーカルと一緒にやることになってからはその弱さが気になったのであろう。VOW WOWで2曲をリメイクしたのも「あれだけいい曲が作れたのに、もっと良くなるはず」という思いがあったのかも知れない。
 で、現在バンド形式であれ彼1人の「弾き語り・弾きまくり」であれ、ソロのライブで本作からの曲をやったのを聴いたことがない。ソロではインスト中心だから、歌ものの多い本作の曲はやりにくいのかも知れないが、⑧くらいはやってもいいような気がするが。③は続編が作られているから、まあそれはそれでいいのかも。(追記:05年のソロライブで⑨は披露されていた。06年には⑦も)

 で、バンドが絶好調のこの時期にこのアルバムを制作したことで、彼の中に「違ったこともやってみたい」という気持ちが芽生えたのではなかろうか?翌年のツアーやシングルのレコーディングで、それから長い付き合いになる「あの」キーボード奏者を加えることもそうだし、自分がメインで歌うことに限界を感じてきたのかも知れない。実際、この時期に専任ヴォーカルを入れようか?という話が出てきたとも言うし・・・
 恭司さんが本作で「それまでのBOW WOWとは違ったこと」を表現したことと、それからしばらくして光浩さんが脱退したことは、全く無関係なのだろうか?前にも書いたけど、このアルバムが出たことで光浩さんがバンドの変化を予感して、たまたまARBから田中さん脱退という出来事もあり、思い切ってそっちに行こうと決めたということはなかったのだろうか?その辺は謎のままだが、光浩さんの後に「後任ギタリスト」ではなく、「専任ヴォーカルとキーボード奏者」を入れたことでバンドは大きく変身することになった。それを考えると、本作は「B」から「V」へ移行する転換期の作品として、非常に意義深いものがあると思う。

 さて、土曜の目黒ブルースアレイでの興奮も冷めやらぬまま、翌日曜のレポでございます。

 日曜の朝は早起きして始発に乗って9時半くらいに部屋に着いて早めの昼飯食べながらDVD観て昼寝してレポ書いて・・・まで行ったんだっけ?
 で、書き終わったらいい時間になったんで、少しゆっくりしてから部屋を出た。タワレコ寄ってから会場のSOMAに向かったんだけど、到着したらまだ開場30分くらい前だった。でも、既に10人くらい並んでて、それから続々人が増えてきたんだっけ。

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 過去2回行っててレポもしてるので今更ながらになるんだけど、このバンドのメンバーを書いておくと・・・

五十嵐久勝:Vocals

平山照継:Guitar

大久保寿太郎:Bass

永川敏郎:Keyboards

堀江睦男:Drums

 堀江さんだけオリジナル・メンバーじゃないけど、70年代末期に活躍したこのバンドは寿太郎さん以外のメンバーが「山水館」の高橋ヨシロウさんたちと合体して「ノヴェラ」に発展、後にアンジー(五十嵐)さんはサイクロンやらヌォヴォ・イミグラートやらエラスティック・トーンを、平山さんはテルズ・シンフォニアを、永川さんはジェラルドを、そして寿太郎さんはスターレスそしてファイガを・・・という具合に、各メンバーが自らのバンドを率いて活躍しているというわけで、それぞれが日本のプログレ界では根強い人気を持っている、それはそれは凄い人たちなのだ。スターレスつながりで入ったであろう堀江さんも自分がリーダーのバンドというのは無いけど、スターレスの他にもテラ・ローザやウルフで活躍、現在もセヴンス・ヘヴン、キングダム・サーガ、フェニックス・ライジングと、掛け持ちしているバンドは枚挙にいとまがない。
 後にそういう大物たちを輩出したバンドが再び集まって(って、最初にそれが行われたのは20年くらい前になるが)活動するというのは、バンド解散後にレインボーやホワイトスネイク、ギランといったバンドで実績を残した人たちが再結成した「ディープ・パープル」とダブってくる。勿論、音楽性は全く違って、むしろ彼らはユーライア・ヒープみたいなバンドをやりたくて結成したんだそうだが、その辺の話を始めると長くなるのでこの辺で割愛。

 つまりですよ・・・前日の6人衆に負けないくらい凄い人たちの集まりなわけですよ。ただでさえその技量の凄さがわかってる人たちが集まったらどんなに凄いことになるか・・・それを一昨年実感出来たわけ。凄腕が集まってもそれがプラスに作用しないバンドも多い中で、この人たちは人数分を遥かに超えるマジックを体感させてくれた。ほとんどの曲を覚えてないというのに、私はそのパフォーマンスの凄まじさにひたすら唖然としていたわけでござる。

 それだけに、昨年は平山さんが熱中症で倒れて4人だけのステージになってしまったことが残念で仕方なかったのだ。勿論、だからと言って拍子抜けさせることは全くなく、不在の穴を埋めて余りある気迫で感動の涙を誘ったことは記憶に新しい。

 さて、そんなわけで今回は昨年のリベンジも含めて、まさに待望の、本当に「待望の」という言葉がふさわしいライブとなったわけだ。今回はそういう期待を込めて来た人も多いのか、会場は後方まで溢れんばかりの人、人、人。開演時間直前に振り返ってぶったまげたもんだ。
 予定時刻を少し過ぎて開演。曲目は週末の東京行く人のために&自分が覚えてないから書けないけど、今回はハードな感じの曲が多かったように思う。メンバー全員から伝わってくる気迫に、それまで行った2回のライブ以上に圧倒された。

 途中で寿太郎さんと平山さんのMCが入るが、どちらかと言えば寡黙な印象のある2人が一生懸命面白い話をしてるのが微笑ましかった。前日のナルチョ・金子コンビの強烈な漫才には負けるかな?でもこれはこれで面白いと思った。

 でも、しつこいけどやっぱり各メンバーの技量には圧倒されっ放し。アンジーさんは年齢を感じさせないハイトーン、平山さんは華麗なギター、永川さんはジェラルドとは一味違った鍵盤さばき、寿太郎さんはしっかりボトムを支え、堀江さんは巧みなスティックさばきで、これがほんまに全員50過ぎたおっちゃんたちですかい?ってな感じ。

 一応知ってる曲も書いておくとですね・・・「怒りの矢を放て」とか「少年期」とか、ノヴェラとして発表された曲も多くやったけど(というか今回の新作がノヴェラの曲をこのメンバーで、というテーマで作られたもの)、寿太郎さんいわくは、「僕がいる時に出来た曲がですよ、違うメンバーで世に出るって何だかしっくりこないじゃないですか。だから今、改めてこのメンバーでやってみたくなったわけですよ」
 確かに、ノヴェラとはリズム隊が違うだけなんだけど(ノヴェラにはギターがもう1人いたし)、メンバー構成の違い、そして重ねた年輪の分、同じ曲でも全く違う新鮮な響きが感じられた。

 2回のアンコールを含めても2時間弱と、そう長い時間ではなかったが、凄まじい演奏&歌唱と気迫で大満足のライブであった。
 前日の6人も凄かったけど、こっちも負けていないな~。いやマジで負けてないですよ。2日で11人の怪物たちの饗宴を味わえて、そりゃあ東京~大阪っていう長距離移動は大変だったけど、私は幸せもんですよ。

 で、終演後はサイン会。会場で購入の新作にメンバー全員のサインを頂いてしばらくウダウダして会場を後にした。

 その後は・・・

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 はい、「金龍」のラーメンです。キムチとニラを入れ過ぎて、汗ブルブルかいてしまった・・・

 で、今日このレポを書きながら新作「THE ORIGINAL ~SONGS FOR SCHEHERAZADE~」を聴いてたんですけどね・・・やっぱりいいわあ・・・前作も新作もまるっきりの新曲は無いけど、言われなきゃわからないくらいの素晴らしい内容。これはかなりおすすめかも。
 
 そして!東京近郊にお住まいの方で、一昨日のブルースアレイに行ったという方!もしも時間と財布に余裕があれば、恵比寿でシェラザードもご覧になってほしいなと。同じ日にゴダイゴもCCレモンホールでやるみたいだけど、ここは出来れば恵比寿の方に行ってみて、その凄さを味わってほしいな。あの6人に負けない凄いものが観れるから。これはほんまに保証付きです。

 以上、昨日と違ってシッチャカメッチャカでレポにもなってないけど、その辺は大目に見てやって下さいまし。

 いやー、ほんまに凄かった。なので、明日書くつもりだったけど、勢いのまま書いてしまおう!

 この1週間は残業続きでほんまにしんどかった。だから、当日の朝も毎回のように早起きしたまま早く出発とはならず、早起きしてアルバム・レビュー1発書いてもう1回寝て、結局8時半くらいに部屋を出た。
 それでも通常通りにのぞみに乗ったら12時過ぎくらいには東京に着くだろうと思ってたら・・・

「新岩国駅で信号系統のトラブルのため、ダイヤに乱れが生じております」

 んがーっ!全体的に20分くらい遅れて、直近は「ひかり」くらいという状態。それも10分くらい遅れてたが、背に腹は代えられないってことで仕方なくそれに乗った。
 
 で、車内で爆睡も出来ず、ウトウトくらいで12時40分くらいに東京に到着。まずは昼飯のために御茶ノ水へ。
 いつもならここで「ゴーゴーカレー」だが、今回は前から気になってた「はまかつ」へ。浪漫座別館のベースの人ではなく、トンカツ屋。関西では見かけないので、どんなものか試してみようってわけで。

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 ご飯、キャベツがお代わり可能なのは他のトンカツ屋と同じだが、ここは味噌汁も可能。なので、1杯目は赤味噌、2杯目は白味噌にしてみた。
 味は・・・「とんかつがんこ」の方が私好みかな?まあ、美味しいには違いなかったが。

 さてその後は、例によってCDショップ巡りだが、今回はあんまり時間も無いので駆け足で、目当ての品物を入手したらさっさと出て・・・を繰り返した。

 そうしてる内に、第1部開場時間が迫ってきたので目黒へ向かい、ブルースアレイへ。

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 ここで第1部のみの人から頂きものがあったので受け取り、他にも第1部のみの人、両方観る人と知り合いが大勢いたのでしばらく雑談、「整理番号順に並んで下さい」の指示が出たので一旦退散、五反田に予約していたホテルへ。
 今回はいつも飛び込みで行くとこではなく、予約済みの別の場所。わかりにくい場所ではあるが何とか到着、第2部開場までしばらく寝転がって過ごしていた。

 で、適当な時間になったので再び目黒へ。7時に到着してみれば、中から音が聞こえる。金子さんの声がまるわかりやん・・・
 出演者の名前が出てきたところで、今回の出演者全部の名前をご覧下さい。

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 どうですか、この豪華な顔ぶれ。スモーキー・メディスン→金子マリ&バックスバニーから2人、VOW WOWから2人、四人囃子から2人ですよ。こんな組み合わせ、滅多に観れるもんじゃないでしょうに。ついでに、料理の値段の高さも気になる・・・まあ、ここに行ったことのある人なら御存知でしょうが。
 で、第1部が終わり、中から観客がゾロゾロ出てきた。で、知った人たちと談笑後、第2部からの人たちが続々来たので今度は我々が並ぶ番。時間通りに入場が始まった。

 中に入れば、ステージ上手側の端の方のテーブルだった。まあ見えんことはない。但し、前の方にも横並びのテーブルがあるので、そっちが一杯になったらややしんどいかな?という感じ。
 料理のメニューを見れば、まーどれも値段の高いこと。なので、テキーラ・サンライズ(これはイーグルスの曲名で気になってたから)とガーリック・トーストでお茶を濁す。それでも会計時には2000円ちょっと取られたけど、他の料理に比べれば・・・ってことで。

 立見客も入り始め、後方を圧迫される感覚を抱きながら開演時間が迫る。BGMが聴きなれた「DON'T TAKE ME FOR A LOSER」(ゲイリー・ムーア)になってしばらく経った頃、ステージ下手の鍵盤群のところに観慣れた姿が。そう・・・

厚見玲衣!

 今回は狭い会場だからと言って赤NORDではなく、この店の所有らしい旧式ハモンド、そして玲衣さん本人が持ってきたと思われるシンセ数台。
 で、いきなり「SHOCK WAVES」のイントロを弾き始めてドキッとさせるが、その後に他のメンバーが続々入場してくると同時にそれは「HAPPY BIRTHDAY」に変わる。ここで出てきた元基さんが歌い出し、大体同じくらいに入ってきたナルチョさんを全員で祝うシチュエーションに。場内に大きな拍手。

 さて、その次からいよいよ本番なんだけど・・・いきなり1曲目から曲名知りません(苦笑)。いくら私がロックの名曲の数々を知ってるからって、どんな曲でもわかるわけじゃない。それでも演奏陣の凄まじさ、そしてヴォーカル2人の掛け合いの迫力・・・これにはひたすら圧倒された。このところ絶好調な元基さんは言わずもがな、初めて観る&聴く金子マリの歌声にも思わず惹き込まれる。途中のオルガン→ギターのソロも見事なものだった。
 続いてお馴染み「SITUATION」これの2人のシンガーの凄まじい掛け合いの後、ギター→ピアノとソロが。
 ここで感じたこと・・・実は私、四人囃子からの2人にはそんなに期待してなかった。それまで生で観る機会なかったし、他のベテランに比べると露出も少ないので、果たして昔みたいな演奏が出来るのか・・・それは杞憂というか、逆にいい意味で驚いた。岡井さんのドラムは上手いし、何といっても森園さん。今回Vから呼ばれなかった?恭司さんほどの押しの強い音ではないが、1音1音にゾクゾクする感覚を味わえた。さすがそのキャリアの長さは伊達じゃない。ちなみにこの人、私の知り合いでよく似た風貌の人がいます。Yahoo!じゃないけどブログやってて、たまにこのブログにもコメントくれて、大阪近辺のライブ会場でよく会う人(笑)。

 さてここで、ナルチョさんが「人見元基!金子マリ!」と歌の2人を紹介。その後はその2人、特に金子さんが延々と話し始めるもんだから、ナルチョさん「俺のMCだ!」と割って入り、話し始める。相変わらずその話のおもろいこと。そしてそれに合の手を入れる金子さん、まるで漫才みたい・・・
 その後は各メンバーの紹介になるのだが、先述の通り有名バンドから2人ずつ選抜してきてるから、その辺のエピソードなんかも話しだす。四人囃子が箱根でピンク・クラウドじゃなくってピンク・フロイドの前座をやったこと、VOW WOW海外進出のこと、そしてスモーキー・メディスンが学園祭に出演した時の話。金子さんが開演前にさんざん飲んで歌うもんだから、歌いながら寝てしまってCHARに心配されたとか。
 金子さんの実家(葬儀屋)の近所が火事になった時の話やら、いろんな昔話がポンポン出てくる。そして玲衣さんも、第1部では時間が押すから喋らなかったようだがこっちではかなり喋っていた。そんなわけで、次の「TONIGHT I'LL BE STAYING HERE WITH YOU」が終わる頃には、冒頭の「HAPPY BIRTHDAY」を除いて45分で3曲しかやってないことに気付いた。どんだけ喋っとんねん、このおっさん&おばはんチーム・・・

 ここでヴォーカル2人が一旦退場、他に歌えるメンバーが2人もいるからと、まずは玲衣さんがですね、ムーン・ダンサーじゃなくてタキオンの曲を披露!「中近東幻想」という、タイトル通りのバビロン路線の曲。イントロからハモンドが唸りを上げ、玲衣さんの(実は高音も出て声量もある)ヴォーカルが冴える。
 続いては森園さんが四人囃子の「空飛ぶ円盤に弟が乗ったよ」。この人、ギターは凄いんだけど歌は昔から上手くなくって、今でもやっぱりそれは変わってないし、でもそれを補って余りある味わいが・・・というでもない。でも、生で聴ける四人囃子の曲にちょっと嬉しくなった。

 その後、まずは金子さんが戻ってきて、第1部では元基さんが歌ったというオーティス・レディングの「TRY A LITTLE TENDERNESS」を1人で歌う。さすがの声量と表現力に驚かされる。この人は若い頃からおばちゃんみたいな声だったけど、この年になったら更に風格を増してた。今度は全編1人で歌うライブ観たいなと思った。
 
 続いて元基さんが戻ってきて、2人で「HALLELUJAH(I LOVE HER SO)」。その後は短いベースソロに導かれて「MOVE OVER」!メインで歌うは元基さん。ジャニスの歌なんだから、「下北沢のジャニス」と言われた金子さんも歌うのかなと思いきや、彼女はコーラスのみ。で、終盤の演奏がですね・・・ギターと鍵盤は「SPACE TRUCKIN'」ライブ・バージョンみたいな浮遊感を漂わせ、元基さんのヴォーカルは「WHOLE LOTTA LOVE」中間部みたいな叫びを・・・という面白い試みが。これがまた凄くってねえ・・・元基さんのシャウトの凄さにはまたもや震えが来た。

 次の曲は・・・わかりません。サビで♪Joy to the world~とか歌ってたような。でも「諸人こぞりて」じゃないのはわかるんだけど。
 そして「TIMチョ&宴ROCKS」でも披露された「SHOTGUN」。これは2人のヴォーカルが一緒にハモッてシャウトするのが凄かった。そしてオルガンソロで腕を振り回す玲衣さん。横でナルチョさんと元基さんも同じように腕を・・・(笑)。で、大きく盛り上がって本編終了。

 で、すぐにアンコール。金子さんが日本語で歌い出したので、彼女のソロ曲かと思いきや、2番を元基さんが英語で歌ったことで「STORMY MONDAY」と判明。ひょっとしたら両方を組み合わせたのかも知れないが。いくら私でもそこまで詳しくはありません。
 で、今度はヤケクソ気味の「HAPPY BIRTHDAY」が歌われて、ナルチョさんへのバースデー・ケーキが出てきた。ローソクを吹き消し、それはメンバーが食べる予定で、第1部のケーキは観客にふるまわれるとのこと。
 そして最後は「GOING DOWN」。凄い歌の掛け合い、そしてギターとピアノのソロ合戦で盛り上がって全編が終了した。

 しめて2時間丁度、時計は11時を指していた。充実したパフォーマンスと同時に、どれだけ話が長かったかってことかな?(笑)

 その後は顔見知りで雑談しながらしばらく過ごし・・・

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 はい、先述のケーキです。美味しかった・・・

 で、店を出てからもウダウダしてたら12時を過ぎており、皆はその後に飲みに行くコースになったけど、私は残業疲れと翌日(今日)もライブあるからそこでお別れ。ホテルに戻って風呂に入り、1時頃就寝。

 朝は5時に起きたのでそのまま帰り支度、始発ののぞみで帰ってきて、9時半には部屋に到着。頂きもののDVD観て(同時に早めの昼飯を食べて)その後昼寝して、起きてからこのレポを書き始めて・・・と言う次第。

 いやー、しかしほんまに凄いライブだった。まだ興奮冷めやらぬといった感じ。この勢いのまま、本日のシェラザードへ突入!となる予定なのでござる。以上、おしまい!

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① SOLID MOVEMENT
② SUMMER GET AWAY
③ MARS
④ DOG FIGHT
⑤ GUITAR MAN

⑥ CRUSH THE ROCK
⑦ CHASIN' THE SHADOW OF YOU
⑧ PHOTOGRAPH
⑨ HORIZON


山本恭司:Guitars,Vocals
岡本郭男:Drums
渡辺直樹:Bass
田代マキ:Keyboards


 80年発表、ソロアルバム第1弾。

 当時のBOW WOWはポップ路線への転向を強いられ、それがメンバーの望まなかったことに起因する不満、そして売上不振といった要因で、その息抜きの場所が必要になってきた。それが前回の「銀星団」であり、今回の「HORIZON」そしてサントラ「X BOMBER」・・・バンドの正規なアルバム1枚の後にこうしたアルバムを1枚ずつ出してるのだから、よほど息が詰まっていたのだろう。

 そして今回取り上げる「HORIZON」は、恭司さんが本来やりたかった(と言うかバンド初期にやっていた)ハード・ロックや、専門学校時代に取り組んでいたフュージョン的な部分も感じさせ、彼の音楽性の幅広さを感じさせる。
 参加メンバーのリズム隊である岡本・渡辺両氏は、当時スペクトラムで活躍していた腕利き。Key.の田代マキは・・・知らん。でも、この人もかなりの腕の持ち主。高度な技術を持ったメンバーのサポートで、恭司さんは伸び伸びと弾きまくっている。

 ①③④⑦⑨がインスト、②⑤⑥⑧がヴォーカル曲という構成で、A面の②⑤は英語、B面の⑥⑧は日本語。この辺は後にバンドの「WARNING FROM STARDUST」の構成に生かされているように思う。なお、作曲は全て恭司さん自身。

 ①はアコースティック・ギターのイントロに重なるようにエレクトリック・ギターも入ってくるが、これが徐々に期待感を煽る役割を果たしている。そしてアルバム全体の期待感も煽ることに。
 ②は爽やかな印象のヴォーカル曲。これは旧ハード・ロック時代の曲にKey.を入れた雰囲気で、ここで既に恭司さん本来の姿が感じられる。なお、ここでのヴォーカルは以前のような幼い声ではなく、後の彼を思わせる迫力も加わっている。
 ③は口笛に導かれて始まり、静かに味わい深くイントロ部分が奏でられる。それが一段落したら、曲はハードに展開する。この移り変わりが絶妙。途中でドラムソロが入ったりして演奏陣の技量を見せつけた後、再び曲は静かな調子に戻り、余韻を持たせて終わる。
 ④はベースのチョッパー(当時はスラッピングとは言わなかった)も印象的なハードな曲。ブレイク部分で聴ける速弾きもかなり効果的。
 ⑤はアコースティックに始まり、サビではリズム隊も入って盛り上がるが、全体にはバラードと言って差し支えないだろう。泣きのソロも見事。この曲は現在、ソロライブ等でアコースティック1本で歌われることも多い。

 ⑥で再びハードなヴォーカル曲。これもハードだった初期BOW WOWを思わせる。
 ⑦は1分半程度の短いインスト。アコースティック・ギター1本で奏でられるが、これが実に美しく、味わい深い。
 ⑧はこれまたハードなヴォーカル曲で、6分に渡って劇的に盛り上がる。間奏のスライドを使ったソロもいい感じ。
 さて、⑧の6分で驚いちゃいけない。ラストを飾る⑨は10分半に及ぶ大作インストで、これがまた起伏に富んだ構成になっている。Key.の音で静かに始まり、それがアコースティック・ギターに受け継がれて静的な世界がまず展開される。このバックで初見参のE-BOWによる「尺八奏法」が効果的に入る。やがて曲はハードに展開、ベースをはじめとしたリズム隊が大きく目立つ。その間にもE-BOWは活躍、ハードなギターのバックでも深い味わいを出すことに成功している。エレクトリックのみによるソロの後にアコースティックになったり、E-BOWによるソロが入ったりで、長い曲ながら最後まで飽きさせない。そしてドラマティックに盛り上がってこの曲は終わる。

 全体的には恭司さんが当時やりたかった音楽性のありったけをぶち込んでみた感じだが、不思議と統一感がある。アルバム全体の構成の見事さゆえだろう。
 そして、①③④⑤は現在に至るまでソロライブでも演奏される機会が多い。それだけ本人も気に入った作品ということであろうか。願わくば⑨もライブで聴きたいところだが、ギターが3人いなければ生での再現は難しそうだから、安達久美・梶原順とのセッションでの再現を期待したいところである。(追記:09年のソロライブで⑨は披露されていた)
 
 バンド本体の「GLORIOUS ROAD」と「TELEPHONE」の間に挟まれて、普通なら目立たなくなってしまうケースが多いように思われるが、その優れた内容ゆえ、私は本作が同時期の作品では一番印象に残るように思う。
 本作を作った時、恭司さんはまだ24歳。この年齢でこれだけの作品を作れたということは、早くから彼の才能は光っていたということだろう。

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① 金銭偽体
② 好色一代男
③ 地獄如愛妹
④ 美女熱唇
⑤ 美眉秀麗的大廃人
⑥ 如何選択問題

⑦ 乱調五番
⑧ 暗躍人
⑨ 黄悪徳
⑩ 警邏哄笑
⑪ 天空警鐘


RAYZOR CRUISER : Guitars,Vocals
RICHARD HOPE : Guitars
ROBBY CRAFT : Bass
JIMMY DRIVER : Drums
DIGITAL ‘CHEAP’ SNAKE : Keyboards


 謎の覆面バンド、79年発表の1stアルバム。

 このバンドにまつわる話はいろんなところに書かれているのだが、その内容が複雑すぎて私にはまとめきれない。各自ググってお調べ下さい・・・で終わったらほんまの手抜きになってしまうので、一応書けるだけのことは書いてみようか。

 79年に突如として現れた、メンバー全員が覆面で顔を隠し、外国人の名前を名乗った謎のバンド、それが「シルバー・スターズ」だった。その外見も異様なら、アルバムも何だか不思議な内容。ギターをはじめとしてハード・ロック調の演奏が中心かと思ったらテクノ風味も感じられたり、何とも形容のし難い音楽であった。

 なんせ①からしてハード・ロック+テクノ+沖縄民謡風のメロディが混在する奇妙な曲だし、③はストレートなハード・ロックかと思いきや、バックのシンセがストラングラーズを思わせるし、④や⑤も中期くらいのストラングラーズみたいな雰囲気が感じられる。って、ストラングラーズはこの頃、アルバム「THE RAVEN」を発表してようやく変化の兆しが出てきた頃なのだが。⑥は少し、⑧はモロにレゲエだし、⑦に至ってはジャズのスタンダード「TAKE FIVE」である。どうですか、このハチャメチャぶり。
 
 さて、このバンドの正体は当時からいろいろ噂されており、「BOW WOWのメンバーが参加している」「そのローディーも」「他にもいろんな腕利きミュージシャンが」「総勢18人で制作された」などと、いろんな説が存在していて、何が何やらわからなくなってくる。
 だが、有力なのは・・・

その1:中心になっているのはBOW WOWのメンバー。

 そして・・・

その2:キーボードは無名時代の小室哲哉。

 確かに「その1」はよく聴けばバレバレかも。ヴォーカルにはエフェクトがかけられているものの、あちこちで恭司さんっぽい歌い回しが聴けるし、ギターも恭司さんとしか思えない音色やフレーズが随所で聴ける。⑨なんかモロだし、⑪になれば完全に開き直ってBOW WOWそのものになってるし。③のギターとベースのバトルの聴ける箇所では「キンさんってこんなに上手かったかなあ?」と思うので、この辺は誰か別の人が弾いていたのかも知れない。
 で、「その2」はどういうつながりか不明だが、彼もTM NETWORKでブレイクするまではいろんな人のバックで演奏し、いろんなセッションに参加していたので、全くナンセンスな話ではない。それにしても、後に各時代の最新テクノロジーを駆使して、本人の技量がどんなものかよくわからなくなる彼が、非常に多彩なプレイをして、しかも速弾きなんかもやってるし、実は大した腕の持ち主なんだなあと改めて感心・・・って、まだはっきり彼だとわかったわけじゃないんだけど。

 で、このバンドは本作発表後は実体を伴うバンドになるが、そこにBOW WOWのメンバーは誰もいなかった。そして新しいメンバーのまま2nd&3rdアルバムを発表し、バンドは解散するのであった・・・

 結局わかったようなわからないような内容で申し訳ないんですが、私自身もいろんな資料を流し読みしただけなので、さっぱり把握出来ておりません。
 ただ、何となく想像出来るのは、当時ポップ路線に転向させられて不満だったBOW WOWのメンバーが、気晴らしのためにこのアルバムを(いろんな人の手を借りて)制作したのではなかろうか?どうせレーベル移籍の谷間で時間も出来たし、この際やりたいことのありったけをぶち込んでみるのも面白いんじゃ?と考えたのでは、と思うのである。とは言え、前に所属してたビクター、そしてこれから移籍するSMSからではまずいので、匿名でトリオから発表したというのが真相ではなかろうか?

 まあ、そういう謎解きを抜きにしても楽しめるアルバムだと思うので、BOW WOWファンで興味のある方は一度聴いてみて下さい。それでどう思うかは聴いた人次第といったとこかな。


 ゆりのすけさん、いらっしゃ~い(爆)。

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① GETTING BACK ON THE ROAD
② YOU'RE MINE
③ TOUCH ME, I'M ON FIRE
④ CAN'T GET BACK TO YOU

⑤ DON'T CRY BABY
⑥ 20th CENTURY CHILD
⑦ DEVIL WOMAN
⑧ THEME OF BOW WOW

⑨ CLEAN MACHINE
⑩ STILL
⑪ SUMMERTIME BLUES

※⑨⑩⑪:BONUS TRACKS


山本恭司:Guitars,Vocals
斉藤光浩:Guitars,Vocals
佐野賢二:Bass,Crazy Voice
新美俊宏:Drums


 83年発表、ライブアルバム第2弾。そしてオリジナルBOW WOW最後のアルバム。

 前年に「ASIAN VOLCANO」「WARNING FROM STARDUST」を発表、日本国内のみならず香港やイギリスでも精力的にライブを行って好評を博したBOW WOWだが、その勢いは翌83年に入っても止まることがなく、春には再び渡英してこれまた大きな喝采を浴びたようだ。で、その時の記録が本作である。
 当時キンさんはスキンヘッドで眉毛まで剃り落とし、それはそれは怖い外見になっていた。まず頭だけ剃っても目が優しくて迫力が出なかったので眉毛も・・・となったらしい。これは彼なりの、海外のファンへのアピールだったのだろう。恭司さんが鏡獅子のカツラなら自分は逆の発想で、ということだろうか。

 さて、私は当時高2だったが、なぜか本作は買ってなかった。月2000円の小遣いをやりくりしながらじゃ、高価なLPなんかそう何枚も買えるもんじゃないし、それに当時から聴く音楽のジャンルも多岐にわたっていたから、本作にまで手が伸びなかったのだ。ライブアルバムは当時好きじゃなかったし。これはスタジオ作品と雰囲気が変えられてたり、音が粗かったり、拍手や歓声で1曲ずつ選んで聴くことが出来ないという理由だったのである。今じゃ考えられんな・・・

 それに、選曲も前年発表の2枚からのものと「THEME OF BOW WOW」だけで、それじゃあ自分が持ってるので十分だ(あ、「ASIAN VOLCANO」を買うのは84年の1月だった)と思ったのも大きい。その後長いこと廃盤の状態が続き、初CD化された2000年に念願の購入となるのだが、今聴き直しても78年の「SUPER LIVE」みたいにあのアルバムでしか聴けない新曲が入ってるでもなし、どうにかならんかったのか?このベタな選曲は・・・と思う。

 でも、いざ聴き始めると結構聴きどころも多かったりする。
 大体どの曲も原曲を大きく崩してはいないが、①はいきなり突っ走るように始まるし、「キンサケ」も随所で炸裂している。ただ、この曲と③は途中で端折られているのが気になるが・・・
 ④は途中でドラムソロ&ギター・バトルが入り、これはなかなかの聴きもの。⑤の間奏は原曲みたいにアコ→エレじゃなく、全編エレクトリックで通されている。エイドリアン・ヴァンデンバーグみたいに2本抱えて途中で持ち替えて弾く人もいるが、恭司さんにはそういう器用さはなかったということか(笑)。
 で、⑧は前ライブアルバムでもやってるが、日本とイギリスの観客の反応の違いとか、彼ら自身の演奏力の向上とか、いろんな違いを感じ取れるのが面白い。

 当時の映像というのは、結構前にDVD化された(今は廃盤のようだ)「ライブ帝国」で観れるが、これは私が初めて彼らを観て衝撃を受けたTV番組そのものだったりする。で、それを観れば如何に当時のライブでキンさんが大きな役割を果たしていたかがよくわかる。ステージ狭しと走り回り、飛び跳ね、叫び、観客を煽る。恭司さんがリードギターでほとんどの曲を歌っているのだから、恭司さんが一番目立ちそうなものなのに、それ以上にキンさんが目立っている印象を受ける。それでも「こいつ出しゃばりやがって」という感じはせず、むしろ好感が持てる。
 光浩さんも、「THEME OF BOW WOW」のリフを再結成後にはオルタネイトで弾いているが、この当時は全音をダウン・ピッキングで弾いている。これが曲に勢いを与えているのだが、ひょっとしたらキンさんが煽っていた影響があるのかも知れない。恐るべし、キンさん効果!

 余談が長くなったが、今回再発のCDには本邦初公開の未発表音源が3曲入っており、それが⑨⑩⑪なのだが、前年発表済みの⑨は本編の他の曲と同様、大きくいじられてないからいいとして、前ライブアルバムにも入っていた⑩⑪はこれまたそちらとの違いがいろいろ発見出来て面白い。⑩は前みたいに10分以上に引き伸ばされてはいないが、ラストに「GREENSLEEVES」のフレーズが入っているのが聴きもの。⑪もデビュー間もない時期の初々しい勢いではなく、海外進出を果たした時期ゆえの勢いが感じられる。

 さて、本作自体の解説が短いが、これは他に書くことがいっぱいあるからだ。

 まず、同時期にシングル「絆FOREVER」が発売されているのだが、この曲はドラマ「新ハングマン」のエンディングテーマに用いられ、大ヒットとはならなかったが当時それなりに話題を呼んだように思う。楽曲自体は哀しいバラードで、恭司さんの泣きのソロが冴える名曲だ。歌詞はまたもや森雪之丞だが、今回は都会的なラブソングなので、聴いてて恥ずかしくなることはない。
 で!この曲の大きなポイントは、キーボードが入っていること。ポップ路線時代には珍しくなかったが、初期でも81年以降でもハード・ロック期には例がなかったことだ。これは当時流行っていたシティ・ポップを意識していたのかも知れない。とは言え、ポップ路線時代に逆戻りしたわけではなく、あくまでハード・ロックのバラードとしての体面は保っている。
 なお、この曲のシングルB面の「MIDNIGHT YANNIGHT」は同じくKey.入りだが、こちらはやや能天気なロックンロールで、ギターソロも短く、特に聴きどころも無いように思う。これまた現在どのCDにも入ってないが、別にそれで悔しい思いはしていない。

 さて、このシングルのKey.を弾いたのが、これから彼らに大きな影響力を与えてくる人物だった。その名は・・・

厚見麗!

 え?字が違うって?当時の芸名はこの字だったんです!
 79年デビューの「ムーン・ダンサー」でKey.&Vo.を兼任していた彼は、その後「タキオン」を経て数々のセッションに参加、そうした中でどういう縁か今回BOW WOWのレコーディングに参加してきたのだが、同年の全国ツアーにも同行(東京公演のみと書かれた資料もあり。どっちが正解?誰か教えて!)、次のアルバムにも参加すると期待された。彼のKey.がBOW WOWのサウンドにどんな効果をもたらすか・・・

 そう、次のアルバム・・・その制作のために、同年のレディングには出演しないという情報もあったのだが・・・それから間もなく、とんでもないニュースが入った。

斉藤光浩、BOW WOWを脱退!

 これは大きなショックだった。そりゃあ山本恭司という達人の横で、一見目立たない印象を受けることも多いけど、彼のリズムギターは強力だったし、少ないながらもメインで歌う曲やソロでその存在感をアピールしていたから、「この先どうなんの?」と気がかりで仕方なかった。
 で、同時期にオフコースから鈴木康博、ARBから田中一郎と、有名バンドの看板ギタリスト脱退のニュースが相次いでいた。こりゃあどこかで「玉突き」が起きるな・・・と私は推測した。まさか光浩さんがオフコースにということは無さそうだから、田中さんがオフコースへ、光浩さんがARBへというのがありそうなケースかも、と(勝手に)思っていたが・・・
 蓋を開けたら、オフコースは補充なしの4人で活動続行、田中さんは甲斐バンドへ加入。そして光浩さんは・・・皆さんご存知の通り、ARBへ加入と相成ったのである。私の予想が当たったというか、同じことを考えた人も多かったと思うが。

 実は、田中さんのARB脱退が決まった時に光浩さんはそっちへの移籍を決めていたらしい。元々シンプルなロックンロールが好きらしく、そっちの路線に進みたくなったらしいのだが、それにしても長いことこのバンドで独自の存在感を発揮してきたのに、上り調子のこの時期になぜ?とは思う。ARBに入ったら専任シンガーがいるから歌えなくなるし、そのシンガー・石橋凌の存在感は大きいから、余計目立たなくなるように思ったのだが・・・

 ひょっとしたら、前年に恭司さんが発表したソロアルバム(これは後日書く予定)で伺える方向にバンドも進むのではないか?その上キーボード奏者まで入ったら、自分の居場所が狭められるのでは?という危惧を抱き、そうした時期にARBのそういう動向を知って(ひょっとしたら石橋&キースから誘いがあったのかも知れない)、そっちに行こうと考えたのでは?まあこれらは全て私の勝手な憶測だが。

 まあとにかく、光浩さんの脱退が決まった後、彼らは最後の全国ツアーを行い、ファイナルの東京公演では多くのゲストの飛び入りもあって、彼を盛大に送り出すこととなった。

 そして!そして!残されたBOW WOWのメンバーは、思いもよらぬ方向に進むのである!

 さーお待たせしました、いよいよ次回から・・・と言いたいとこだけど、それまでにまだまだ書くべきアルバムが何枚か残ってます。BOW WOW活動中に恭司さんが発表したソロアルバムやら、セッション参加作品やら、そしてこれから入ってくるメンバーたちの在籍したバンドの作品・・・まずはその辺を書いてからになります。
 それに、今めっちゃ仕事も忙しくて、今日も遅くまで残業して帰ってきてからようやく書き上げた次第だし、ライブ行ったりそのレポ書いたり、紅葉紀行のレポも(多分)書くから、ペースは更に落ちて、「新たな展開」について書くのはまだまだお待ち頂くことになるかもです。でも、その分お待たせした甲斐のあるものにするつもりなので、是非期待していて下さい!

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① YOU'RE MINE
② JETS
③ CLEAN MACHINE
④ CAN'T GET BACK TO YOU
⑤ HEELS OF THE WIND
⑥ POOR MAN'S EDEN

⑦ 20th CENTURY CHILD
⑧ ABNORMAL WEATHER
⑨ WELCOME TO THE MONSTER CITY
⑩ BREAK OUT THE TRICK
⑪ WARNING FROM STARDUST


山本恭司:Guitars,Vocals
斉藤光浩:Guitars,Vocals
佐野賢二:Bass,Vocals,Crazy Voice
新美俊宏:Drums


 82年発表、9thアルバム。

 同年5月に名盤(と言い切ってしまう)「ASIAN VOLCANO」を発表、それと前後して香港公演、更にはイギリスでのレディング・フェスティバルにも出演、大好評を博したBOW WOWだが、わざわざイギリスまで行った勢いで?もう1枚アルバムを制作してしまった。それが本作である。
 で、発表されたのは9月。前作からたった4ヶ月である。過去最短の、とんでもなく早いペースだが、これで驚いてはいけない。更にその翌月には恭司さんの2ndソロアルバムまで発表してしまうのだ。短期間の渡英でライブやってバンドのアルバムとソロアルバムを同時に制作って、これはやっぱり彼らの勢いゆえだろうか?それもあるが、彼らが所属していたVAPは当時、ジャンル関係なく新人や移籍してきた人たちにこういう無茶をさせまくっていた。同じ年にピンク・クラウドもバンドのアルバム2枚の上にCHARのソロアルバム1枚という、まるで同じパターンだったし、翌年デビューの杉山清貴&オメガトライブもアルバムを年2枚発表というペースで出していた。81年に設立したばかりということで、とにかく多くの作品を出すことで会社の勢いをアピールしたかったのだろうか?

 まあその辺の詳しい事情はわからないが、本作もまた前作に劣らぬ優れた作品である。今回は③④を新美さん、⑦⑨をキンさん、⑧⑩を光浩さんが作曲、残り5曲が恭司さんという内訳。前作より恭司さんの曲が少ないが、さすがに前作で7曲作って更にソロアルバムもだから、今回は他のメンバーの力量に任せてみたのかも知れない。結果としてバラエティに富んだ作品になったが、どれもBOW WOWらしさをしっかり持っていて、全員の向いている方向が同じであることを強く感じさせられる。

 で、本作はA面が英語詞、B面が日本語詞と振り分けられており、これは今までありそうで無かった試みだ。A面は再び全曲John J.Stanley、B面は森雪之丞によるもの。で、B面は「世紀末」をテーマにして一貫した世界が表現されているが、これがどうも子供向けB級SFといった雰囲気で、聴いてて恥ずかしくなる場面もしばしば。
 お前ごときがそんな偉そうに言うなって言われそうだけど、私は中・高と国内・国外問わずSFの名作を読みあさっていたので、陳腐な内容じゃ満足出来ないんだな。森さんは普通のラブソングとかが得意だから、こういう世界は得意じゃなかったというか、バンドのイメージに合わせて一生懸命作ったけど、意欲が空回りしてしまったのかも知れない。スティーヴ・ハリス(アイアン・メイデン)やニール・パート(ラッシュ)みたいに、そういう世界の得意な人が作ればもっと凄かったかも知れないけど、日本にはそういう人はまだいなかったのかな?
 ぼやきが長くなってきたな。今回も前作同様「誰がどの曲を歌っている」「誰がどのソロを弾いている」が明記されているが、⑧⑩を光浩さん、⑨をキンさんが歌い、他は全部恭司さん。で、ソロは⑧⑨⑩を光浩さんが弾き、他は全部恭司さん。つまり、今回は1曲の中で歌う人とソロを弾く人が違うということはなく(キンさんの歌った⑨以外)、それはそれでわかりやすくていいんだけど、逆に意外性がないというか・・・
 じゃあ、もう本編の内容に行ってみよう!

 ①はいきなりのスピード・ナンバー。それまでの作品でも速めの曲で始まることは多かったが、この曲はオープニングの曲としては過去最高の速さだろう。それでも随所でブレイクが入ったり、テンポが途中で変わったりで、一筋縄ではいかないのが彼らの凄いところ。サビの「キンサケ」もバッチリ決まっているし、恭司さんのシャウトもキレがいい。この曲も彼らの代表曲の1つとなっている。
 ②はちょっとジャズ系?の一風変わった曲。それまでに無かった曲調で、本作の中では特に優れた曲とは言えないかも知れないが、これはこれで面白い。
 ③は哀しいメロディが印象的なミディアム・テンポの曲。曲の各所でアップダウンのメリハリが効いており、最後まで聴き応えあり。
 ④はやや明るいメロディの曲だが、イントロから弾きまくる恭司さんのソロが見事。間奏は音数少なめだから光浩さんかと思ったら恭司さんだった。この曲は光浩さんが弾いても良かったのに、というのは個人的な感想。
 ⑤はドラマティックなイントロで始まるバラード。でもメロディはメジャー・キーなので、切なさはあるが哀しい感じはそんなにない。
 ⑥は①同様のスピード・ナンバー。これまたソロの始まる前にブレイクがあったりで、なかなか凝った構成。恭司さんは間奏&エンディングで弾きまくるが、エンディングがいいところでフェイドアウトするように思えるのは、収録時間の関係?

 ⑦は明るいメロディでテンポもミディアム、最後までひねりもあんまりないし、サビの掛け合いも何だかちょっと恥ずかしいけど、それでもただの能天気な曲で終わってないのは彼らならでは、なのかも。
 ⑧はイントロのカッティングから印象的で、光浩さんの歌唱も迫力あり。彼自身の弾くソロもこれまたいい味を出している。
 ⑨は久しぶりのキンさんが歌う曲だが、以前の素朴な歌声とは違い、まるで魔物のような不気味な声にちょっと驚く。ここでの光浩さんのソロも格好いい。
 ⑩は光浩さんらしいワクワクする曲だが、やっぱり歌詞がちょっと・・・でも、歌声もソロもなかなかのもの。
 そしてラストを飾る⑪は、哀しいメロディが印象的でドラマティックな曲。これで歌詞がB級SFじゃなかったら・・・とは思うが、やはり名曲と言って差し支えないと思う。

 何だか文句が多くなってしまったが、曲自体は良いものが多いし、というか今回も「捨て曲」らしいものは見当たらず、これまた優れた作品に仕上がっていると思う。こんな信じられない短期間でこれだけ優れた作品を連発出来るとは、やはり当時の彼らの勢いは絶頂期だったのだろう。

 で、前回もちょっと書いたけど、私が初めて聴いたBOW WOWの作品は本作なのである。まずその年の暮れにTVで初めて観た時、「えらい格好ええバンドやな~」と思い、既に聴いていたラウドネス以上に気に入ってしまった。ヴォーカルは明らかに「普通の人」だし、ギターの音もあっちほどヘヴィじゃないのに?いやあ、それが逆に当時の私には良かったのかも知れないし、曲自体の魅力はこっちの方が上かも、と思ったもんで。2人のギタリストが交替で歌うスタイルも新鮮に思えたのかも。
 そんで、当時私がこういう音楽を聴き始めたことを知った同級生が、年明けに本作をテープに録音してくれてねえ・・・それから長いこと愛聴しましたがな。ありがとうね、その直後に留年してしまったM君。

 さて、それからも彼らは精力的に国内ツアーを行い、ラウドネスともどもハード&ヘヴィに攻める姿に多くのアマチュアたちが刺激され、ほどなく多くのメタル・バンドが続々デビュー、ジャパニーズ・メタルの一大旋風を巻き起こすきっかけになったのであった。
 が・・・結果的に本作は、オリジナルBOW WOW最後のスタジオアルバムとなってしまうのである。

 彼らに何が起こったのか?その辺は次回。まだもう1枚残ってるので、「さあいよいよVだ!」と思ってる人、早まらないように。

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① ROCK AND ROLL TONIGHT
② IN MY IMAGE
③ GET OUT OF MY LIFE
④ DEVIL WOMAN
⑤ DON'T CRY BABY

⑥ GETTING BACK ON THE ROAD
⑦ CANON OF MANON
⑧ TAKE ME AWAY
⑨ ROLLIN' FREE
⑩ TOUCH ME, I'M ON FIRE


山本恭司:Guitars,Vocals
斉藤光浩:Guitars,Vocals
佐野賢二:Bass,Crazy Voice
新美俊宏:Drums


 82年発表、8thアルバム。さーて、本作と次作は思い入れが強いからたっぷり書くぞーっ!

 ハード・ロックに戻った前作「HARD DOG」が好評を博し、その後のツアーや単発のフェスも大盛況、デビュー当時の、いやそれ以上の勢いを取り戻したBOW WOWだったが、次のアルバム発表までは1年少しかかった。まあ、本来はそれが普通なのだが、彼らはアルバム発表のペースが早いもんだから・・・
 この間には長期のツアーの他に、それまで在籍したSMSからVAPへの移籍という出来事もあった。どうも彼らは、路線変更した「次の」作品から移籍するのがお決まりになったようで・・・
 そして82年に入って本作を発表する前に、彼らは初の香港公演を開催、これがまた歓迎されたのである。そんなに遠くはないが念願の「海外進出」を実現させたことに間違いはない。そんで、そんで!その当時の勢いをそのままパックしたかのような本作が5月に発表されたのだった。

 それまでは(ポップ路線時代は除く)英語詞・日本語詞が半々くらいだったが、本作は光浩さんの歌う2曲以外(つまり恭司さんの歌う曲)は全て英語で、この辺にも海外進出への意欲が強く感じられる。そして本作と次作は、「誰がどの曲を歌っている」のみならず、「誰がどのソロを弾いている」まで明確に書かれており、それによって恭司さん・光浩さんの個性の違いを感じ取ることに貢献している。念のため、光浩さんは⑤と⑨を歌い、③⑥⑨でソロを弾いている。
 なお、作曲は⑤⑨が光浩さんで⑥がキンさん、他は全て恭司さん。今回は恭司さんメインで統一感を出そうといった意図だったのだろうか。

 まず①はシャッフルのリズムで、勢いよく突っ走った前作とここでまず違いを出してくる。それも結構凝った構成の曲で、間奏のソロに至るまでの期待感を煽る煽る。で、エンディングでもソロがあるのだが、両方で恭司さんの絶妙なテクニックが味わえる。
 続く②はスピーディな曲だが、イントロのリフからして速弾きの応酬。間奏のソロは同じフレーズを上下に振り分けて重ね録りしているのだが、1人でそれを繰り返し再現する恭司さんの技量をまざまざと感じ取れる。
 ③はヘヴィなリズムの曲で、本作中ではやや地味な部類だが、それでも「捨て曲」ではない。途中で3回聴ける恭司さんのシャウトのキレが悪いと言われたこともあるが、それがこの人の個性なのだから仕方ない。そして光浩さんのソロは、恭司さんほど流麗ではないものの、力強く迫ってきて、独特の迫力を加味している。このソロは光浩さんが弾いて正解だったろう。なお、サビで聴ける「キンサケ」も効果的。
 ④は私が本作で1番好きな曲。速めのテンポで2人のギターの複合リフから始まり、サビでのコーラス(と言うか半分掛け声)も見事。そして間奏で聴ける恭司さんのソロは速弾きにアーミング等、彼の持てるテクニックのありったけをぶち込んだ感じ。3分台のさほど長くない曲ながら、聴き終えた後の満足感はかなりのもの。
 ミディアム・テンポの⑤は光浩さんのヴォーカルが迫力満点。彼の声を聴いて「尾崎豊に似てる」と思う人もいるだろう。というかこっちの方が先なのだが。だから私は尾崎の歌を聴いて、「光浩さんに似た声」と思ったもんだった。で、この曲は間奏に入ってすぐ速いテンポになり、意表を突くガットギターのソロが入る。そして中盤からエレクトリックに移るのだが、これは恭司さんが1人で弾いている。光浩さんの歌う曲でこういう展開をするのは珍しいが、これが違和感なくはまっているのが凄い。

 さてB面に移って⑥。明るい曲だが、随所でひねりも効いており、決して単純で能天気な曲には終わっていない。ソロは光浩さんだが、これまた力強く押しまくるのが印象的。やはりこういう曲では光浩さんが弾いて正解だったろう。
 ⑦は間奏曲というか、⑧への序曲的な30秒程度の短いインスト。しかもアコースティック。恭司さん1人の多重録音か光浩さんと一緒に弾いたのかは不明だが、フーガのように同じメロディが追いかけながら展開されるのが印象的。
 そしてギターが泣きながらハモるイントロの⑧が始まる。これは哀しく切ないバラード。恭司さんソロも「本領発揮」とばかりに泣きまくる。
 続く⑨は再び光浩さんが歌うシャッフル・ナンバー。アイアン・メイデンの「RUNNING FREE」と似た雰囲気だが、メロディやフレーズをパクってはおらず、あくまで参考にした程度と思われる(ただの偶然だったりして)。ここでも光浩さんのヴォーカルの迫力は凄い。この辺の曲を聴いて、「こっち(光浩さん)が全部歌えば良かったのに」という声も聞かれるが、逆に全部この声だったら暑苦しかったかもよ。で、彼自身の弾くソロも格好いいもんだから、「恭司さんの出番がないな~」と思いきや、間奏前のブリッジ部分で歌っているのです。
 ラストを飾る⑩は、ヘヴィなリズムの曲。一旦歌が小休止して間奏に入ってからソロが始まるまでのブレイクでじらすじらす、これも非常に効果的。ソロも短いながら細かい技が効いている。そして、随所で聴かれる「キンサケ」、これはラストでも思いっ切り轟いている。
 
 ザラッとした音は前作同様だが、勢い重視でやや曲にバラつきの感じられた前作と違い、本作は非常に完成度が高い。捨て曲は全く見当たらないし、全員の演奏力の向上もはっきり実感出来る。特に初期は恭司さんがメインで、他のメンバーは引っ張られていた感じだったが、ここに来てチームワークが強化され、更に技量も上がった感じがする。新美さんは複雑なリズムを見事に叩き切っているし、キンさんのベースもバンド全体をグイグイと引っ張っている。そして光浩さんのギターはバッキングでの切れ味が増大し、ルドルフ・シェンカーにも迫るんじゃないかと思えるくらいのリズム職人ぶりだ。

 私が初めて聴いたBOW WOWのアルバムは次作なのだが、初めて買ったのは本作だった。ややこしいけど、次作は同級生が録音したテープを譲り受けたもの。で、そっちを1年くらい愛聴してたのだが、自分の小遣いで買うのは同じものじゃ芸がないし、その前作である本作(ややこしい・・・)も良さそうだからと、本作を買うと決めたのだった。既にバンドに大きな変化が訪れる節目の時期だったが、本作にして正解だったと思う。結果、凄く良い作品だったから、次作以上に愛聴することになったのだった。

 私は「最高傑作」という呼び方はあんまり好きじゃなくなったが(やってる方と聴いてる方の感じ方も違うし、聴いた人によっても「これが最高!」というのは違うから)、本作はBOW WOWの歴史の中でも傑出した作品だと思う。初期に「SIGNAL FIRE」があるなら、オリジナルBOW WOW後期は本作、そう言ってしまいたくなる。少なくとも、オリジナル後期でどれか1枚おすすめを尋ねられたら、間違いなく本作を推すだろう。

 余談だが、本作の英語詞を担当しているJohn J. Stanleyという人物は、八神純子の旦那さんとして御存知の方もおられるだろうが、実はアリス解散後に矢沢透が結成したバンド「BLEND」のヴォーカルでもあった。これは「TELEPHONE」を透さんがプロデュースしたことからのつながりだろうか?そう考えれば、暗黒時代と言われるポップ路線の時期も無駄にはなってなかったと思われる。

 余談その2で、本作からは⑧がシングルカットされているが、その歌詞は日本語になってたらしい。しかし・・・英語詞の和訳を読んでも「めめしい(漢字にすると問題があるから仮名表記)歌詞・・・」って思ったくらいだから、日本語だとどんな恥ずかしい歌詞になったことだろう?現行のCDにはどれにも入ってないが、それはそれで構わないかも。

 さて、本作発表後も彼らは国内を精力的にツアー、再び香港公演を行い、その勢いのままにイギリスへも渡り、ここでも高い評価を受けることになる。特にレディング・フェスティバル出演は彼らにとって記念すべき出来事となった。最初はブーイングも浴びたが、やがてそれは歓迎の声に変わり、最後はアンコールの呼び出しが止まなかったというから凄いもんだ。
 なお、この時に「東洋的なビジュアルでアピールしよう!」ってことで「THEME OF BOW WOW」で恭司さんが鏡獅子のカツラを被ったのが好評で、以来今に至るまでこの曲では毎回被って出てくることになったのだった。

 で、わざわざ渡英してライブやって好評を得ただけでなく、彼らは新作のレコーディングまでしてきたのであった。勢いのある内にってことだろうが、それだけ当時の彼らの勢いは凄かったということだろう。
 そんじゃ、この続きは次回へということで。

 さてさて、今回は会社の旅行で四国行きだったということで、旅レポ期待してた方も多いと思うけど、残念ながら写真を1枚も撮っておりません。なので、駆け足で大体の動きのみ書いてみます。

11/3(木)

 いつもの如く観光バスに乗り込み、飲んだくれコースに・・・ならなかった。まだ胆石が心配だから。実際、ここ数日また軽い痛みが走ってるし。昼飯ってどこで食べたっけ?何食べたっけ?もう既に覚えてない・・・
 で、倉敷の美観地区(この呼び方、実は好きじゃないんよね、味気なくって)と大原美術館を観る予定だったが、私はバスの中で爆睡してて、誰も起こしてくれなかったから観れなかった。大原美術館のギュスターヴ・モローの絵が観たかったのに(T_T)
 そして晩の宴会でははじけてしまって、飲んだ飲んだ。そのツケが翌日以降に回ってくるわけで・・・

11/4(金)

 翌日は朝から激しい二日酔い。それでも1度もゲロしなかったのは大したもんだ!?朝からの金刀比羅宮参拝はかなりキツかった。石段の数は、本殿まで800段弱。山形の羽黒山の2400段に比べれば少ないが、傾斜がキツイので本殿到着までにヘロヘロ。おまけに暑かったし。なので、写真まで気が回らず。
 で、昼飯の後は栗林公園。まだ頭がシャキッとしないので、1人でフラフラ歩いていたと。
 そしてまだ前日の酒も抜けないまま(この日は1滴も飲んでないのに)帰途に就いたのだった。
 とりあえず、明石海峡大橋のライトアップは綺麗だった。何だかんだで部屋に着いたら9時前になっていた。

11/5(土)

 で、本来この日は朝からちょっとした仕事があったのだが、私のその後の予定のために断ってきた。
 で、その後の予定・・・詩吟部の発表会のために西宮へ向かった。
 今回は学祭行事の一環として開催されるとのことで、会場の教室に到着すれば、いつもよりラフな格好の現役部員と、いつもより少なめ(笑)のOB諸氏。現役部員の吟はなかなか良い感じだったと思う。
 で、まさか「第2部」で一吟させられるとは思わなかった。到着していきなり言われたから、心の準備が出来てないっつーの。でも、どうにかこうにかこなした。
 
 その後は、いよいよ待ちに待った?山本恭司ライブのために梅田へ向かったのです!

 まずはタワレコでどっさり買い込んで、ポイントをがっつり稼いだのはいいが、出費はデカい。これじゃ金も残らんわ。そしてネットカフェで1時間くらい寝転んだ。少しうとうとしたために、ちょっと眠気もマシになった。

 さて、いよいよライブです!

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 会場の「ファンタイム・ボニーラ」は、お洒落なロックバーといった趣。原宿の「ラ・ドンナ」ほどゆったりしてなくて、やや窮屈な気はしないでもないが。7月に難波でやった「サウンドイン」よりは広いけど、私のテーブルは4人で一杯、しかもその内3人が同じピザを注文してたのは滑稽だった。
 で、今回意外だったのは、かなり多くのお客さんが入っていたこと。開演前には大体70~80人くらい入っていたのではなかろうか。ほぼ大入り満員に近かった。BOWWOWでもWILD FLAGでもなく、同じソロライブでもバンド形態ではなく、ほんまに恭司さん1人だけだというのに・・・玲衣さんがナルチョ・北島健二と一緒にやってもこの半分くらいだったというのに、いやー、恭司さんの人気も大したもんなんだね~、元基さん人気だけじゃなかったのね~と、少し嬉しくなった。とは言え、元基さんライブで見かける顔は誰もいなかった(笑)。まあ、5年くらい関西に「B」で来てないし、あとは京都で西野やすしや安達久美とのセッションばかりだったし、大阪で観る機会は激減してるから、待ちかねたファンがどっと押し寄せたわけやね。

 さあ、予定を10分くらいオーバーしての開演です!

 まずは、アコースティックで弾き語りのコーナー。いきなりWILD FLAG+2のBOW WOWの曲「極楽トンボ」・・・あれ?サウンドインの時と同じ・・・続いてはお馴染み、ジミヘンの「LITTLE WING」。アコースティックで聴くこの曲もまた良し。ここで、今年はBOWWOWデビュー35周年という話になり、デビュー前の合宿の話。で、その間に「HEART'S ON FIRE」の次くらいに出来た曲ってことで・・・「SILVER LIGHTNING」。
 うーん、やっぱり大筋はサウンドインの時と同じような感じなのね・・・まあ、あっちは日程が発表された時には既に「店の」常連さんで完売だったし(私は無理言って観れたのだが)、大半の人が観れなかったからと考えれば納得、かな?
 で、メタリカのメンバーがデビュー前にBOW WOWの曲をコピーしまくってて、ラーズが自分の好きな曲の5位に(メイデンなんかを差し置いて)BOW WOWを挙げてたという話も。
 WILD FLAGの「TURN THE LIGHT OFF」を挟んで、近年アコースティックでの創作にも積極的に取り組んでるってことで、そうした曲である「風のように生きる歌」。これがまたしみじみ聴かせる、いい歌なんだな。
 この辺で、この「弾き語り・弾きまくり」シリーズで愛用してる機材「ジャムマン」の紹介。サウンドインの時にも紹介してたけど、その場で弾いた音を即録音、1人で多重録音と同じ効果を出せるという優れものとのことだが、恭司さん以前にも高中正義が使ってたことは以前書いた通り・・・かな?
 続いては偉大なジャズ・トランペッターのルイ・アームストロングの「WHAT A WONDERFUL WORLD」。ジャズの名曲をブルース調でやり、しかも途中でオモチャのラッパを吹いてた。
 で、去年VOW WOWに来れなかった人のためにと「YOU KNOW WHAT I MEAN」。これも前と同じ。
 そして最後は「皆一緒に歌って!」とのことで「BORN TO BE WILD」。途中で曲は「GET BACK」(ビートルズ)に変わり、しまいに「THEME OF BOW WOW」へ。「Oh,Yeah!」の掛け合いで盛り上がり、第1部終了。

 アコースティックに本格的に取り組んだのは近年になってからとのことだが、やっぱりそっちでも上手いし、味わいがあっていいわ~。

 しばしの休憩を挟んで、今度はエレクトリックに持ち替えての第2部「弾きまくり」コーナー。
 まずは「VOYAGER」から始まり、泣きの冴える「RIVER OF TIME」へ。出演は恭司さん1人だから、勿論バックの演奏の音は打ち込みだが、ギターは相変わらず素晴らしいこと。
 それから昨年発表された「THE LIFE ALBUM」からの「DAYBREAK」「RUNNING WITH THE WIND」と続き、「ALONE」でまたしみじみさせる。
 その次は、地元・島根での某イベントで弾いたという「君が代」。この曲をやったからと言って「右」だとかの思想とは関係ないんだけど、って、日本人ならそんなのは言いっこなしで弾けばいいんです!単純に美しい曲だというのを再認識したって、それも日本人なら当然でしょ?
 で、恭司さんの御両親は父・92歳、母・89歳でいまだに元気だそうで、島根でのライブにもよく来られてるとか。で、お父さんのことを考えて作ったという「TIMELESS」。これまたしみじみ聴き入ってしまう。
 さて、続いては佐野史郎とのコラボでやってる「小泉八雲の世界」の効果音を披露した後、勢いのある曲をということで、「RAPID-FIRE」「SPANISH PIRATES」を連発。ここで場内は一気に盛り上がる。そして最後に「TIME」をじっくり聴かせて、本編終了。

 当然アンコール。まずはハードな「WARP ZONE」、そして1stソロ「HORIZON」からお馴染みの「MARS」。安達久美とのセッションでもほぼ毎回披露されてるが、やっぱり名曲だね~。というわけで、ここで全編が終了した。

 終わったら9時半くらい。私はまっすぐ帰宅したが、毎度のことながら恭司さんのギターの味わい深さには感動する。アコースティックも見事なもんだし、エレクトリックは言うまでもない。
 「まだまだ聴いてほしい曲多いから、大阪にもまた来ます」って言ってたし、その時には行きたいけど、出来たらBOWWOWでも来てほしいなっと。

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