2009年06月

イメージ 1

①オン・ザ・ユニヴァーシティ・ストリート
②涙のワンサイデッド・ラヴ
③思い出のサマーデイズ
④イズント・イット・オールウェイズ・ラヴ
⑤ホールド・オン
⑥J-Boy
⑦ブルー・ホライズン
⑧ドリーム・オブ・ユー~レモンライムの青い風~
⑨かえらぬ面影
⑩グッドバイ・ユニヴァーシティ


 79年発表の2ndアルバム。

 前作から半年という、今の彼女からは考えられない短いインターバルで届けられた本作だが、基本は前作の延長で、本人は①②の作詞・作曲のみ、他はやはり加藤和彦、杉真理、大貫妙子、そして山下達郎の作品で占められている。
 ただ、今回は④⑩が全編英語詞で、米国留学で培った発音の良さを知ることが出来る。
 各曲の出来は良いし、彼女の歌唱力も確かなので、これも聴いて損はないと思う。

 まりやのデビューは78年11月だったので、79年度の新人賞の対象となったわけだが、「私のハートはストップモーション」の桑江知子とそれを争う場面が多かったらしい。あちらさんがその1曲のみの印象が強いのに対し(実は根強く活動を続けているが)、まりやは本作からも⑧がヒット、その後も次々ヒットを飛ばし、その人気は確かなものになっていくのである。

 当時のまりやのポジションは、今の人で言えば「島谷ひとみ」に近いのではないかと思う。ルックス良し、歌唱力あり、そして時には自分で作る(あまり知られていないが、島谷も少しは自作している)という点が共通している。アイドル性もある実力派、といったところか。
 ただ、島谷はカバー曲の印象が強く、まりやは後にほとんど自分で作るようになった。それが最大の違いであろう。

 余談だがちょっと可笑しいのは、①が大学生活を歌った歌で、4年で卒業する内容だったのに、実際の彼女は厳格なゼミに在籍したため、学業と音楽活動の両立が出来ずに留年→中退となってしまったことである。
 あ、これは言ってほしくないか・・・

イメージ 1

①グッドバイ・サマーブリーズ
②戻っておいで・私の時間
③夏の恋人
④輝くスターリー・ナイト
⑤目覚め(Waking Up Alone)
⑥ジャスト・フレンド
⑦突然の贈りもの
⑧おかしな二人
⑨ムーンライト・ホールド・ミー・タイト
⑩サンタモニカ・ハイウェイ
⑪すてきなヒットソング(My Hit Songs)


 78年発表の1stアルバム。

 島根県で生まれ、慶応義塾大学の音楽サークルで歌っていたまりやは、在学中の78年末に本作とシングル②でデビューするのだが、高校時代にアメリカ留学の経験もあったことで、それまでにない洗練されたポップ感覚が当時の音楽界に新風を吹き込んだ。

 それまでの日本では歌謡曲が全盛で、フォークは湿っぽい、ロックはアングラと言われ、もう一つ抜け切れない感じであった。私はそのアングラ臭が好きなんだが・・・しかし、70年代も後半になると、その流れが変わってきた。渡辺真知子、庄野真代、八神純子といった実力派が次々デビュー、ロックでもフォークでもない洗練されたタッチの音楽は、旧来のロック&フォークも含めて「ニューミュージック」と呼ばれ、徐々にその勢力を拡大してきた。元々「ニューミュージック」という呼び名は、松任谷由実の音楽のことを呼んだものだが、「歌謡曲」ではない、自作自演の人々を指す言葉として広く使われるようになった(但し、その定義は非常に曖昧)。
 それまでにも、原田真二やCHARがロックと歌謡曲を股にかけて活躍していたが、同じ78年にはサザンオールスターズもデビューし、この辺から流れが大きく変わってきたのである。

 本作は、まだほとんどが外部ライターによる作品で、加藤和彦や細野晴臣、高橋幸宏の提供曲の他に、大貫妙子のカバーである⑦や、同じ大学のサークルの先輩である杉真理による⑤⑨(⑤は後に本人が歌詞を変更して「ガールフレンド」としてセルフ・カバー)、そして後に夫となる山下達郎の③の存在が目を惹く。まりや自身は、⑩の作詞と⑪の作詞・作曲だけだが、既にこの辺で「作られたアイドル」ではないことを主張している。まあ、「アイドル」と呼ぶには年齢が行きすぎた気もするが・・・

 後に「大物」と言われることになる彼女の、まだ初々しい姿が窺える本作は、その時代背景を考えて聴くと、また違った趣きが出てきて面白い。これはこれで楽しめる作品である。

イメージ 1

①BLOW
②君の声に恋してる
③LOVE GOES ON(その瞳は女神)
④HAPPY HAPPY GREETING
⑤MISTY MAUVE
⑥TO WAIT FOR LOVE
⑦好・き・好・きSWEET KISS!
⑧潮騒(LIVE VERSION)
⑨モーニング・シャイン
⑩FIRST LUCK-初めての幸運-
⑪I DO
⑫ヘロン(GUITAR INSTRUMENTAL)
⑬JUVENILEのテーマ~瞳の中のRAINBOW~
⑭スプリンクラー(LONG VERSION)
⑮いつか晴れた日に(STAND ALONE VERSION)

 
 02年発表のアウトテイク集。

 達郎はムーン・レーベル設立後(「MELODIES」以降)、長い年月の間に発表したアルバムの他に、シングルの発表もいろいろあったわけだが、アルバムの流れに合わないとか、収録時間の関係で外された曲も多く、シングルを買いそびれた人にはそれらを聴く機会がなくなってしまった。そこで、オリジナル・アルバム発表までの間を持たすのも兼ねて(多分、いや間違いなく)制作されたのが本作である。

 早い話が「在庫総ざらえ」なのだが、そこは達郎のこと、さすがにクオリティは低くない。
 ①⑦⑨⑩⑪はシングルのカップリング曲、②⑬が近作「COZY」以降に発表されたシングル曲、④はKinKi Kidsへの提供曲、⑤は鈴木雅之への提供曲、③が01年の新曲、⑥が「SEASON’S GREETINGS」から漏れたカバーで、他はシングルのカップリングだが、それぞれ括弧内に書かれたバージョンである。

 改めて聴いてみれば、良い曲であってもアルバムの完成度を重視するために外されたものが多いことが実感出来る。しかし、ライブ・バージョンやインスト・バージョン、ロング・バージョン等の収録は如何なものかと思ってしまう。確かにそれらの出来は良いが、こういうことをするから本作が「寄せ集め」と呼ばれてしまうような気もする。シングルのカップリング曲で、ライブ・バージョンのみの「二人の夏」とか「こぬか雨」とかも漏れてるし、どうせなら⑧はそれらと一緒にライブ・バージョンのみのアウトテイク集を作って入れるとか、次回ライブアルバムが出るならそのおまけ、とかしたら良かったのでは?と思う。その代わりに「高気圧ガール」の未発表バージョンを入れた方が、全曲スタジオ録音ということで「統一感」は出たと思う。

 そんなこんなで散漫な印象ではあるが、オリジナル・アルバムと「TREASURES」と本作を持っていれば、彼の残したスタジオ音源は一通り網羅出来るわけである。そういう意味で、便利なアルバムではある。

 ・・・以上で、山下達郎アルバム・レビュー・シリーズは終わりです。
 ライブアルバムと「ON THE STREET CORNER」シリーズがないのは、私が持ってないからというだけなので、いずれそれらも入手することがあれば、レビューしてみたいと思います。
 いつもハード・ロック/へヴィ・メタルを中心に聴いてるような奴が好き勝手に書いたことなので、的外れなことを書いてるかも知れませんが、そこは大目に見て下さい。

 さて、次は「竹内まりや特集」だぞ。こちらも大変だけど、お楽しみに! 

イメージ 1

①高気圧ガール
②スプリンクラー
③ゲット・バック・イン・ラブ
④風の回廊(コリドー)
⑤アトムの子
⑥エンドレス・ゲーム
⑦踊ろよ、フィッシュ
⑧ターナーの汽罐車
⑨土曜日の恋人
⑩ジャングル・スウィング
⑪世界の果てまで
⑫おやすみロージー
⑬クリスマス・イブ
⑭さよなら夏の日
⑮蒼氓
⑯パレード


 95年発表のベストアルバム。

 91年に「ARTISAN」を発表後、92年に竹内まりやのアルバム、93年に「SEASON’S GREETINGS」を挟み、95年には待望の新作発表がアナウンスされていたが、蓋を開けてみれば、実際に出たのはベストアルバムだった。新作の制作が難航し、それでも何らかの形でアルバムは出さねばならない。そこで急遽、こういう形になったと思われる。

 こう書けば、苦しまぎれで出した作品に思えるが、⑮以外はシングルで発表された曲ばかり、しかも②⑩⑪⑫はアルバム未収録で、⑦⑧はアルバムと違うシングル・バージョンということで、オリジナル・アルバム全て持っていても聴き逃すことの出来ない作品である。「NIAGARA TRIANGLE Vol.1」でしか聴けない⑯もおまけで入ってるし。

 アルバムに入ってなかった曲では、ドラマ「ベスト・フレンド」の主題歌に使われた⑪が好きである。松雪泰子と深津絵里のダブル主演で、なかなか面白いドラマだったのだが、その内容と相まってこの曲も印象に残っている。
 アルバムと別バージョンと言えば、①はシングルもアルバムも同じバージョンなのだが、実はアルバム用にレコーディングされた別バージョンが存在し、「地味だから」という理由でお蔵入りになったのだが、私は高校生当時、達郎がパーソナリティをやってたラジオ番組でその別バージョンを聴いたことがあるのだ。現在まで正式な音源になっていないことを考えれば、その時に録音しておけば良かったか・・・でも、テープしかなかった時代だから、どうせ伸びてただろうなあ・・・

 本作以前の正式なベストアルバムと言えば、RCA時代の「GREATEST HITS!」があるが、そちらの売りはシングルのみだった「あまく危険な香り」と「FUNKY FLUSHIN’」の別バージョンが入っているということくらいで、しかも今はどちらも同時期のアルバムのボーナス・トラックになっているので、今となってはあまり存在意義がない。でも、「とりあえずベストから」という人は、そちらと本作を持っていれば大体の美味しいところは押さえることが出来る。
 そして、「オリジナル・アルバムなら全て持ってるよ」という人も、本作でしか聴けない曲が多いということで、やっぱり持っておくべき作品であると思う。
 嬉しいのか哀しいのか、よくわからんアルバムだなあ・・・

 今回は、3月に京都でアルハンブラを観た時、オープニングに出ていたD_DRIVEが良かったから彼らが目当てで行ったのだった。

 会場は、最近おなじみになってきた、「西九条ブランニュー」です。

イメージ 1


 はい、出てます、出てます。

イメージ 2


 知らんバンドばかりだけど、私は1曲も知らなくてもそれなりに楽しめるようになってるので、まあいいってことよ。

 今回は、いつもと比べても客の入りは少ない。これが最後の方になっても、会場は一杯にならなかったのだから、やはり知名度の高い人がいないとキツイのね。

JACK

 ヴォーカル(女性)、ギター、ベース、ドラムスの4人。平均年齢20歳前後の若いバンド。でも、どちらかと言えば伝統的なHMだった。ヴォーカルがなかなか上手かったと思う。

BLASDEAD

 東京のバンド。ヴォーカル、ギター、ベース、ドラムスの4人。ややパワー・メタル寄りだが、曲のインパクトは上々。

GUN CLOUD

 ヴォーカル、ギター×2、ベース、ドラムスの4人。正統派HMだが、ちょっと個性には欠けるか。

D_DRIVE

 今回の目当てです。
 ギター×2、ベース、ドラムスの4人で、ギターの片方とドラマーは女性。二人とも若くて、ギターの子は3月の時点で21歳とのことだった。男性2人は、それなりの年齢だろう。
 今回唯一のインスト・バンドなんだけど、今回もスリリングで格好いい演奏を聴かせてくれた。特に、ギターのYUKIちゃんは、「黒髪のあゆ」といった感じの可愛い子なんだけど、その腕は見事なものだった。もう一人のギターのSEIJIさんとのバトルも格好良かった。

BLACK STEEL RAIN

 VRAINやWINDZORと一緒に出た時は最初に登場した彼らが今回のトリ。
 ヴォーカル、ギター×2、ベース、ドラムスの4人。パワー・メタルだが、これまた曲のインパクトはある。迫力ある演奏を聴かせたけど、最後の曲が終わってもアンコールの拍手がなかったのは、やはり知名度の差なのだろうか。

 JACKのメンバーは、出番が終わった後に自らアンケート用紙を配ってた。初々しくていいねえ。
 私は、D_DRIVEの出演前にYUKIちゃんとSEIJIさんの姿を客席で見つけ、「京都で観ました」と話しかけたんだけど、今回このおっちゃんが自分たちを観に来たということに喜んでくれた。
 で、同バンドのドラマーCHIICOちゃんは、京都では高熱を出しながら叩いてたんだけど、今回は体調も万全とのことだった。元気そうで何よりです。

 物販でもいろいろ買ったなあ。D_DRIVEのアルバムが出たのでそれが欲しかったのだが、早速購入。そして、BLASDEADとBLACK STEEL RAINも安かったので買ったし、JACKは1曲入りのが無料配布だったからもらってきた。GUN CLOUDだけ買わなかったのは申し訳ないけど、やっぱりちょっとインパクト弱かったからね・・・

 今回は、誰とも写真撮ってません。本当はYUKIちゃんと一緒に写りたかったけど、彼女は出演後に物販でCD売ってたから、出来なかったのよね・・・

 最近、土曜日になってもそんなに大食いはしてないんよな~。以前ほど、週末が近づくと食べたくなるということもなくなったようだ。

 それでも、昨日はやっぱりそれなりに食べたんだけど・・・

 まずは昼食。おなじみの・・・

「ぺこぺこ」

イメージ 1

 ここで食べたのは、当然おなじみの・・・

「ぺこぺこうどん」

イメージ 2

 この写真も、何回使い回したかなあ。でも、このブログになってからは初めてだよ。

 そして、夕食は・・・

「インデアンカレー」

イメージ 3

 ここで注文したのが・・・

「カレーライス大+生卵」

イメージ 4

 ここのカレーは、最初口にした感じは甘いけど、じわじわ辛さが広がってくるので、水を多く飲まねばならなくなる。でも、今回は生卵入れたから、ちょっとソフトな味わいになって、水もそんなにいらなかったよ。でも、やっぱり卵なしでビリビリ来た方が、ここのカレーらしくて良かったかも。
 なお、「大」つってもライスの大盛りなんだけど、そんなに多くはなかったな。

 これだけ?実は間にもちょこちょこつまんでるけど、主なとこはこれだけ。

イメージ 1

①ACAPPELLA VARIATION ON A THEME BY GLUCK(グルックの主題によるアカペラ)
②BELLA NOTTE
③BE MY LOVE
④ANGELS WE HAVE HEARD ON HIGH(グローリア)
⑤SMOKE GETS IN YOUR EYES(煙が目にしみる)
⑥SILENT NIGHT
⑦MY GIFT TO YOU
⑧IT’S ALL IN THE GAME
⑨JUST A LONELY CHRISTMAS
⑩HAPPY HOLIDAY
⑪BLUE CHRISTMAS
⑫WHITE CHRISTMAS
⑬CHRISTMAS EVE<ENGLISH VERSION>
⑭HAVE YOURSELF A MERRY LITTLE CHRISTMAS
⑮O COME ALL YE FAITHFUL(神の御子は今宵しも)


 93年発表のクリスマス企画盤。

 本作は、達郎の「一度はクリスマスにちなんだアルバムを作りたい」という希望から制作されたらしいが、恐らく(いや、間違いなく)純粋な新作発表に時間がかかりそうだから、その「つなぎ」のために発案されたと思われる。
 当初は、全編アカペラで構成するつもりだったらしいが、せっかくだからとフル・オーケストラをバックにレコーディングした曲も収録、結果、クリスマスとは関係のない曲まで入ることとなったのだが、「クリスマスを含めた冬の企画盤」ということで良いだろうと思ったらしい。

 選曲の幅も広く、賛美歌からドゥー・ワップ、ディズニーをはじめとする映画音楽も含み、ここでも彼のルーツの奥深さが感じ取れる。
 その中で、⑥⑫は「ON THE STREET CORNER 2」で発表済みのバージョンを使っているが、これはまあ、このアルバムにも入れて当然と言うべきだろう。
 ただ、やはり⑬の存在が気になる。確かにテーマとしては合うのだが、全編アカペラとオーケストラをバックにした曲が並ぶ中で、英語バージョンとは言え、この曲が入るのは全体の流れを考えれば「浮いている」ように思える。
 この辺は、レコード会社から「この曲も是非」という要望があったからではないかと勘繰るのだが、如何なものだろう?「クリスマスと言えば達郎」という認識が世間に浸透している中で、やはりクリスマス・アルバムにこの曲が入らないのはおかしいと考えたからだろうか。この辺は、本人もアルバムの解説に書いていないので、何とも言えない。

 「BIG WAVE」が夏、本作が冬と、対照的な季節の企画盤が出揃ったことで、改めて彼に対する世間のイメージの変遷も実感される。

 まあ、多少の文句は書いたが、出来は間違いなく良いので、年の瀬が迫った時期にはその雰囲気を楽しむために聴きたい1枚である。

イメージ 1

①THE THEME FROM BIG WAVE
②JODY
③ONLY WITH YOU
④MAGIC WAYS
⑤YOUR EYES
⑥I LOVE YOU・・・Part Ⅱ
⑦GIRLS ON THE BEACH
⑧PLEASE LET ME WONDER
⑨DARLIN’
⑩GUESS I’M DUMB
⑪THIS COULD BE THE NIGHT
⑫I LOVE YOU・・・Part Ⅰ


 84年発表のサウンドトラック盤。

 本作は、同名のアメリカ映画のサントラ盤として制作されたが、ほとんどが既発の曲で、書き下ろしは①③④の3曲だけである。②は「MELODIES」収録曲の英語バージョン、⑤は「FOR YOU」そのまま、⑥⑫はCMに使われた曲で、⑫「Part Ⅰ」は曲名を繰り返すバージョン、⑥「Part Ⅱ」は歌詞付きバージョンである。
 B面はほとんどがカバー曲で、新たにレコーディングされた⑦⑧⑨はビーチ・ボーイズの曲。⑩は「MELODIES」、⑪は「GO AHEAD!」に収録されたものと同じ。
 通して聴いて頂ければわかるが、本作は全曲が英語で歌われている。アメリカ映画のサントラ盤だから、当然と言えばそうである。

 早い話、半分近くの曲が使い回しなのだが、同年に彼がプロデュースした竹内まりやのアルバム発表もあったため、全部を新曲で構成する時間もなかったのだろう。既に彼のアルバムを揃えている人にとっては痛し痒しだが、半分が本作でしか聴けないという見方も出来る。

 書き下ろしの新曲はどれも出来が良く、特に①は「夏男・達郎」の本領発揮といったところである。彼自身が弾くギターの音も心地良く、私は大好きな曲である。とは言え、当時は小遣いの少ない高校生だったため、同時期に出たVOW WOWの「BEAT OF METAL MOTION」に出費したという事情もあり、この曲のシングルのみを購入したのだった。

 当時、達郎と言えば「夏」のイメージが強かったが、実は全編「夏」のイメージで統一した作品は本作だけである。しばらくしたら、「クリスマス・イブ」のヒットで「冬」のイメージになってしまうのだから、発表時期も丁度良かったのではないだろうか。

イメージ 1

①MIDAS TOUCH
②KISSからはじまるミステリー
③FOREVER MINE
④忘れないで
⑤風がくれたプロペラ
⑥ラッキー・ガールに花束を
⑦SECRET LOVER
⑧フェニックス
⑨LIGHTNING BOY
⑩白いアンブレラ
⑪太陽のえくぼ
⑫2000トンの雨
⑬WHEN YOU WISH UPON A STAR~星に願いを~


 05年発表の12thアルバム。

 またもや前作から7年ぶりの新作となった。まるでボストンのようだが、今回も竹内まりやのアルバム2枚と、自身の裏ベスト(と呼べば聞こえは良いが、要は在庫総ざらえ)発表があったので、決して動きが止まっていたわけではない。

 さて、前作からまた7年開いたので、今回も中身の濃い作品を届けてくれたかと思ったが・・・ちょっと今回は評価が厳しくなる。
 
 まず、それまでにシングルで発表された⑧④⑥③①⑪を収録したのは、まあ普通だろう(後日、⑩もシングルカット)。だが、今まではカップリング曲だとか、アルバムに合わない表題曲は外していたのだが、今回はそういう曲も全部収録している。「次回作との間隔を開けないため」らしいが、そのためにアルバムの流れを壊す曲を入れるのはどうかと思う。④のドラマティックな哀しさなんかは良いんだけどね・・・

 そして、KinKi Kidsに提供した②の収録にも納得がいかない。
 実は前作にも、「硝子の少年」を入れる予定があったらしいが、「アルバムの完成度を下げたくない」という理由で外したのに、なぜ今回、あの曲より良いと思えないこの曲を?しかも、ケツメイシのメンバーのラップまで・・・
 これより少し前、浜田省吾もラップを導入して物議を醸したが、達郎がなぜこの時期にこういうことをやったのか?バブルの時代、チャラチャラした音楽が流行っていても自分のスタイルを崩さず、「僕の中の少年」「ARTISAN」という名盤を残し、小室ファミリーやビジュアル系が全盛の時代にも「COZY」という彼らしい作品を発表したのに、ここに至って若い人に媚を売るようなことをするのは、私には全く理解出来ない。ただの駄洒落としか思えない歌詞(とも呼びたくない)に、メロディ作りを放棄したとしか思えない奴らが幅を効かせている時代だからこそ、優れたメロディ・メーカーとしての彼の意地というか、職人気質を見せつけてほしかった。そう思うと残念でならない。

 そして、⑫⑬の存在。これらもシングルで発表済みの曲で、本人いわく、「この2曲はおまけみたいなもの」らしいが、オーケストラをバックにしたスタンダードのカバー⑬はまあ良いとしよう。だが、⑫は3rdアルバム「GO AHEAD!」収録曲のリミックス・バージョンなのだ。ヴォーカルを録り直しただけで、バックの演奏は同じ。どうせなら、バックも全く新しくすべきではなかったか?同じ曲を何回も別のアルバムに入れること自体、私は嫌いなので、そういうことをするならセルフカバー・アルバムを作った方が良いのではないかとさえ思える。

 これが「在庫総ざらえ第2弾」と揶揄されるのも仕方ないと思う。せめて本作だけの新曲の出来が良ければまだ救われるのだが、そんなこんなで冷静に聴けないので、それらの曲(って、3曲だけやん)の印象も残らない。

 いろいろ厳しいことを書いたが、彼ならもっと素晴らしい作品を作れると信じているからなのだ。これがもう1年、いや2年後になっても良かったから、「どうだ、参ったか!」と思える作品を届けてほしかった。
 今頃は、次なるアルバムに向けて曲作りをしている頃だろうが、今度こそは彼らしい、完成度の高い作品を待っている。

 ・・・本作が最新作だから、以上で山下達郎のオリジナル・アルバムのレビューは終わるけど、まだ企画盤が数枚あるから、もう少し続くよ。

イメージ 1

①氷のマニキュア
②ヘロン
③FRAGILE
④DONUT SONG
⑤月の光
⑥群青の炎-ULTRAMARINE FIRE-
⑦BOOMERANG BABY
⑧夏のコラージュ
⑨LAI・LA-邂逅-
⑩STAND IN THE LIGHT-愛の灯-
⑪セールスマンズ・ロンリネス
⑫SOUTHBOUND #9
⑬DREAMING GIRL
⑭いつか晴れた日に
⑮MAGIC TOUCH


 98年発表の11thアルバム。

 なんと、前作から7年ぶりのオリジナル・アルバムである。
 とは言え、その間ずっとお休みしていたわけではなく、92年に竹内まりやのアルバム、93年にクリスマス企画盤の発表があり、95年には新作が発表されるというアナウンスがあったのだ。ところが、蓋を開けてみればそれがベストアルバムに化けていた。
 実際、新作の制作は進めていたのだが、納得し得るものが出来ず、それでも何らかの形でアルバムは出さねばならなかったので、急遽ベストアルバムになったというのが真相らしい。
 それから待つこと3年で、待ちに待った新作が発表された。それが本作である。
 
 93年に発表されながら、ベストアルバムから外れた⑮、その後に発表された⑩⑬②⑭と、シングル発売された曲を多く含んでいることや、CM等で発表済みの曲も入っていることから、「またベストアルバム?」という錯覚を起こしてしまう。しかし、それだけ充実した内容であると言えるだろう。

 シングル曲の出来は勿論良く、特に②はそれまでしばらく落ち着いた感じの曲を多く作っていた彼が、久しぶりにインパクトあるアップテンポの曲を発表したということで印象に残った。
 新曲の出来もこれまた素晴らしく、⑤⑥あたりの深い味わいは何とも言えない。

 今回、カバー曲は⑦が入っているが、これは加山雄三の歌である。洋楽のスタンダードではなく、こういう曲を持ってくるあたり、達郎の奥深さを垣間見たような気がする。

 この時期に彼は、シュガーベイブの「SONGS」やRCA(現BMG)時代の作品のリマスター等、過去の作品の再生産も手掛けており、「過去の焼き直しばかりしてないで、もっと新しい作品を作ってくれよ」という声が聞かれたのも事実だが、急速な録音・マスタリング技術の進歩により、初期のCDは90年代後半となれば音が悪く感じられるようになったため、「旧作ももっと良い音で聴かせたい」と考えたためにそういう作業をしたのである。
 「過去の焼き直し」ばかりではなく、新たに作る楽曲も充実してたのだから、それはそれで良いではないか。
 そう、少なくとも本作の頃までは・・・

 元エボニー・アイズのギタリスト金谷幸久の、95年のソロアルバム「EAU ROUGE」発売記念ライブからの映像です。


 赤尾和重(ヴォーカル)、岡垣正志(キーボード)、堀江睦男(ドラムス)という元テラ・ローザのメンバーと、加瀬竜哉(ベース)という豪華メンバーです。
 テラ・ローザ以外のところで歌ってる赤尾さんの映像というのも貴重だな・・・

 なお、「EAU ROUGE」は7月末に、リマスターされて再発されます。赤尾さんが5曲歌ってます。彼女の歌を聴きたい人は、間違いなく「買い」だと思います。

イメージ 1

①アトムの子
②さよなら夏の日
③ターナーの汽罐車
④片想い
⑤Tokyo’s A Lonely Town
⑥飛遊人-Human-
⑦Splender
⑧Mighty Smile(魔法の微笑み)
⑨‘‘Queen Of Hype’’Blues
⑩Endless Game
⑪Groovin’


 91年発表の10thアルバム。

 途中にライブアルバムを挟んで、前作から3年ぶりに本作は発表された。
 シングルで先行発売されていた⑩と②が素晴らしかったことから、本作に寄せられた期待は大きかったものと思われるが、本作はまさにその期待を裏切らない、いやそれ以上の作品だった。
 ①は、亡くなった手塚治虫に捧げられた歌だが、本作に収録したくてたまらず、ハイスピードで仕上げて、スタッフに「いつもこのくらいで作ってくれたらいいのに」と言われたという逸話も残っている。
 ⑤⑪というカバー曲も含まれているが、それ以外のオリジナル曲も前作に劣らず優れた曲が揃っている。個人的には、④が味わい深くて好きだったりする。あ、③もいいな。
 
 先行発表されていた曲は、②も良いのだが、私はやはり⑩がとても好きである。達郎には珍しいマイナーキーのバラードで、聴く度に胸を締め付けられるような思いが込み上げてくる。個人的には、達郎屈指の名曲だと思う。
 当時、夫人の竹内まりやも「シングル・アゲイン」「告白」といった、壮絶な哀しみを持った名曲を発表していたが、それに影響されたのだろうか?

 本作は、ほとんどの曲が達郎自身による演奏で、ヴォーカルのみならず演奏まで一人でやるようになったことから、時間がかかるようになったのだろうか?とにかく、この時期は彼の「凝り性」な部分が良い方に作用しており、楽曲も音作りも非常に聴きごたえがある。

 前作から本作にかけての時期は、世の中はバブルの時代だった。軽薄な音楽が流行し、そういうものについて行けなかった私がハード・ロック/へヴィ・メタル以外で聴いていたのは、相変わらず達郎・まりや夫妻や矢沢永吉、井上陽水だったもので、周囲からはバカにされたものだが、当時人気のあった奴らのどれだけが今も生き残っているというのか。結局今も変わらず素晴らしい音楽を聴かせてくれるのは、私が聴いていたような人たちではないか。
 やはり、時代の流れに関係なく、自分のスタイルを持った人というのは、何年たっても色褪せないのである。人に何と言われようが、良いものは時代を超えて「良い」のだ。それを嗅ぎつける感性を持っている方が、流行に敏感なことより大事だと思う。これは、私のちょっとした自慢である。

 しばらく前まで、あんまり動画のなかったテラ・ローザだけど、ここしばらく急に多くの動画がアップされた。ひょっとしたら、すぐ観れなくなるかもしれないので、今の内にここでアップしとこ。


 歌声も演奏も、凄い迫力です。

 解散ライブのビデオからなんだけど、これってDVDにならんのかねえ。そして、去年の1月の再結成ライブのもまだだよねえ。どうなってんのやら・・・

イメージ 1

①新・東京ラプソディー
②ゲット・バック・イン・ラブ
③The Girl In White
④寒い夏
⑤踊ろよ、フィッシュ
⑥ルミネッセンス
⑦マーマレード・グッバイ
⑧蒼氓
⑨僕の中の少年


 88年発表の9thアルバム。

 前作から2年ぶりということになるが、87年には竹内まりやのアルバム発表を挟んでいることを考えれば、まだ早いペースだったのではないだろうか。

 さて本作だが、これが実に素晴らしい出来である。前作ではまだ未消化だったコンピューターの導入が、完全に板に付いたようで、達郎自身のヴォーカルや生演奏と違和感なく溶け込んでいる。
 そして、曲の出来も素晴らしい。既にシングル発売されていた⑤と②は別バージョンでの収録だが、華やかな⑤と、味わい深いバラードで、久しぶりの大ヒットとなった②の対照的な味わいが何とも言えず良い。
 他の曲の出来も良く、昭和初期へ思いをはせた①や、味わい深い③、ストリングスの響きがドラマティックな④、神秘的な⑥、ファンキーなリズムの中にも重厚さを感じさせる⑦、まりやの他に桑田佳祐・原由子夫妻もコーラスに参加した味わい深い⑧、ポップな曲調ながら聴きごたえのある⑨(この曲は、全パートが達郎自身によるもの)と、捨て曲は全く見当たらない。これほど優れた曲の集められたアルバムは、「FOR YOU」以来だと個人的には思う。

 私にとって達郎の最高傑作は「FOR YOU」だが、あちらが彼の華やかな部分を代表するとすれば、本作は彼の持つ「深み」を感じさせる、聴けば聴くほどに味の出る「裏の最高傑作」と言えるだろう。いや、「裏」でなくても十二分に素晴らしい作品なのだが・・・

 本作から次作の発表までまた3年空くが、この時期の彼が作り出す楽曲の充実度は尋常ではなかった。まりやも次々ヒットを飛ばしていた時期だし、夫婦そろって「向かうところ敵なし」だったと言えるだろう。

イメージ 1

①土曜日の恋人
②POCKET MUSIC
③MERMAID
④十字路
⑤メロディー、君の為に
⑥THE WAR SONG
⑦SHAMPOO
⑧MOONLIGHT
⑨LADY BLUE
⑩風の回廊(コリドー)
⑪MY BABY QUEEN


 86年発表の8thアルバム。

 84年に企画盤「BIG WAVE」の発表はあったものの、前作「MELODIES」からは3年ぶりの作品となった。この辺から達郎のアルバム発表のインターバルが開き始めるのだが、84年には妻・竹内まりやのアルバムもあり、こちらも全面プロデュースということで、自身とまりやのアルバムを交互に手掛けていくようになったことも、その要因になったようだ。

 さて本作、初めて本格的にコンピューターを導入して制作されている。アナログ盤からCDへの移行が始まり、デジタルな音が普及し始めた時期である。それまでは生楽器の響きを生かした音作りが魅力だったのだが、本作のピコピコした音には、最初かなりの違和感を覚えたし、今聴くと、当時は最先端だった音が逆に古く感じられてしまう。他の人(YMOの人たちとか)がやるならまだしも、達郎がやるのはどうかなあと思ったものだ。
 まあ、本作でのコンピューター導入は、まだ実験的なものであり、試行錯誤していた時期だったのだろう。おかげで未消化な感じは拭い去れないのだが、次作でこの「実験」は実を結ぶことになるのだ。

 曲の方は、よく出来た曲が多いのだが、やはりデジタルな音に違和感があり、もっと生っぽい音だったら名曲になったのにと思うものが多くて、歯痒い思いをしてしまうのだ。正直、個人的に印象に残るのは、CMに使われた⑩と、「オレたちひょうきん族」の主題歌だった①くらいか(どっちもシングルで先行発売されてるし)。⑥は大村憲司がギターソロを弾き、珍しくメッセージ色の強い歌詞が話題になったが、それほど強い印象は残らない。

 なお、⑪はCDのみのボーナス・トラックである。これはなかなかの佳曲で、本編に入ってても良さそうなのに?と思うが、やはり全体の流れからは外れるのだろうか。

↑このページのトップヘ